クリエイティブ資本論 リチャード・フロリダ (著) #57
admin トロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネジメント教授である著者、リチャード・フロリダ氏が、新しい社会階層であるクリエイティブ・クラスの台頭について述べたものが本書。
リチャード・フロリダ氏の主な主張は、次の通り。
- 現在では、クリエイティブ・クラスと呼ばれるまったく新しいタイプの労働者が総労働人口の3割を占めるようになっている。
- 場所がいまも重要な経済的・社会的な構成要素で、彼らは暮らしたい環境がある場所を選び、移動していくため、クリエイティブ・クラスが集まる地域とそうでない地域の間で経済成長の格差が拡大している。
- そのため、経済成長に必要なのは企業・雇用・技術だけではなく、3つのT、つまり、技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerance)によってもたらされる。
1章 日常生活の変化
第1部 クリエイティブ経済の時代
2章 クリエイティブ精神
3章 クリエイティブ経済
4章 クリエイティブ・クラス
第2部 新しい働き方
5章 機械工場と美容室
6章 水平な労働市場
7章 カジュアルな職場
8章 クリエイティビティの管理
9章 不規則な時間
第3部 日常生活と余暇
10章 経験の追求
11章 ビッグモーフ
第4部 コミュニティ
12章 場所の力
13章 クリエイティビティの地図
14章 経済成長の三つのT
15章 社会資本からクリエイティブ資本へ
16章 クリエイティブなコミュニティの構築
17章 クリエイティブ・クラスの責任
では、具体的に本書のテーマである「クリエイティブ・クラス」とは、どのような人たちなのかということについて述べておこう。
「クリエイティブ・クラス」には、科学者、技術者、大学教授、詩人、小説家、芸術家、エンターテイナー、俳優、デザイナー、建築家、ノンフィクション作家、編集者、文化人、シンクタンク研究員、アナリスト、オピニオンリーダーなどがひとつ。
もうひとつが、「クリエイティブ・プロフェッショナル」と呼ばれるタイプで、ハイテク、金融、法律、医療、企業経営など、さまざまな知識集約型産業で働く人々である。
つまるところ、リチャード・フロリダ氏が述べたいことは、主流経済が、従来の製造業から、知識集約型産業へのシフトが起こっており、それぞれの産業の生育要因が異なることから、地域間格差がおこるということだろう。
たとえば、製造業は一度、工場を建設してしまうと、おいそれとは移動できない。そのため、定着率が高くなる。
一方で、知識集約型産業に従事する人たちは、基本的な生産要素は頭脳(+肉体)であるから、基本的にはどこに移動しても問題ないという側面がある。このことから、クリエイティブ・クラスにとって、暮らしやすい地域か否かというだけで、経済成長に差がついてしまうというわけなのだ。
僕自身もクリエイティブ・クラスに属しているし、また、周りにいる多くの知り合いもまた、クリエイティブ・クラスに属している。これは、つまり、このクリエイティブ・クラスが非常に一般的になってきているということでもある。その基礎条件が整った今、導かれることは、リチャード・フロリダ氏が述べているような経済発展の地域間格差だろう。
フロリダ氏の主張する3つのT、つまり、技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerance)が地域経済の発展にポジティブな影響を与えるということだ。
もし、地域の経済を発展させたいと望んでいたり、地域経済発展に関係しているのであれば、このリチャード・フロリダ氏の主張は、非常に重要で、価値ある提言といえよう。
また、これからの時代がどのようなものなのかを認識する材料として、本書を読んでみるのもいいだろう。
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