読書進化論 勝間 和代 (著) #58
admin 経済評論家でベストセラー作家の勝間和代氏が、ウェブ時代の読書について解説したのが本書。
本書の概要は、次の通り。
第一章は、勝間氏による読書についての全般的な議論。
第二章は、ウェブ時代における本の読み方について。
第三章は、ウェブ時代における書き手について。
第四章は、ウェブ時代における本の売り方について。
読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブにまけたのか
はじめに
勝間和代著作一覧
序章 成功や自由は、読書で手に入れる
第一章 人を進化させる読書がある
第二章 進化している「読む」技術
第三章 「書く」人も進化する
第四章「売る」仕組みを進化させる
終章 これから「読みたい」「書きたい」「売りたい」と思っているみなさんへ
私を進化させた20人の著者
巻末資料
おわりに
ベストセラー。
ウェブ時代の読書、という観点から書かれた本ではあるが、通常では、第一章や第二章のように読者側のテーマである読み方などがメインテーマであろうが、読者としては、直接、関係しない部分である書き手について、本の売り方についてなど、「メイキング」的な要素が半分程度を占めているというのも珍しい。
個人的に、非常に印象的だったのは、著者である勝間氏が本を書く上で、「読者を自分の本の中に閉じ込めない」ということを心がけているという部分だ。
この本で紙面が足りずに書ききれないものや、すでに市場に出ている優良な関連コンテンツについては、ウェブや書店で自由に検索して参考文献に当たってほしい、というメッセージです。
また、本の発表後も、講演やサイン会を行ったり、ブログで感想を集めたり、ブログ上の読者の書評などもこまめに観察していきます。そして、さらにそういったその後の経緯や読者の反応を集計してブログでまとめるなどして、読者とコミュニケーションを取りながら、一緒に進化していけるよう、環境を整備しています。
このようなやり取りをしていくと、本の部分のどこがわかりやすく、逆にどこの部分について、読者がもっと情報が欲しいと思っているのか、そしてその情報のうち、既存の書籍でカバーされていないところはどこなのかが、わかってきます。
そのような情報をまとめて、読者のみなさんが欲しがっている本を新しく出版し、その本を使ってさらに読者と一緒に進化していく、というように、オープンシステムをつくりながら、新しい本を作っていくことを心がけています。
本書のこの部分を読んで、僕は、勝間氏がベストセラーを連発する理由の大きな一端を垣間見た気がした。
それは、これまで、勝間氏が採っているようなオープンシステムを用いて、執筆活動をしている著者がいなかったからだ(少なくとも、僕は知らない)。
これまでの著者(もちろん、現在もであるが)は、基本的に「雲の上の存在」といったイメージで、執筆活動もクローズ、日常の情報もクローズ、読者とのコミュニケーションも少ない、というパターンが典型的だと言える。良くて、ブログ上の書評を観察する、といった程度だろう。
しかし、著者は、それを行ったというわけだ。
たしかに、著者の勝間和代氏はベストセラー作家となり、カリスマ的なイメージを持つ。
しかし、一方で、公式ブログのタイトル「私的なことがらを記録しよう!!」のように、私的なことがらをオープンにするような手法で、親近感をもたらし、読者とのコミュニケーションを図ろうとしている。
これは、著者が別の著作で述べていたように、世代的な要因、つまり、ウェブ親和性が高い世代であることが、大きいのかもしれない。
著者の平均年齢はよくはわからないが、50代から60代といったところだろう。この年代になると、ウェブベースで活動することは非常に障壁が高い。
メール、ネットサーフィン程度であれば可能かもしれないが、ブログの開設は困難であるし、本書のなかで言及されているようなスタイルシートをいじるなどといった行為は、非常に難しいだろう。
このように、オープンシステムを実行する著者がいないなか、勝間氏だけが、それを敢然と実行したということ。
それが、勝間氏がベストセラーを連発する理由のひとつとなったように感じた。
本書だけを見ても、さまざまなURLが散見されるし、巻末資料もさまざまな本が紹介されており、また、「私を進化させた20人の著者」というかたちで、影響を受けた著者を挙げ、読者に指針を与えている。
これは、以前、ある書店で見かけたフレーズ「どうしたら、勝間さんみたいになれるんですか?」という読者の声を反映しているように思える。
要するに、本書の主旨であるウェブ時代の「人生を変える本の使い方」をまさに実践しているというわけだ。
読者のダイナミズムを、ウェブなどを通して活用し、著書に反映させる。
また、その著書が、次なる読者の波を生み出していく。
そういうフィードバック・ループを活用し、執筆活動ができるというのも、ウェブが普及したからだといえよう。
しかし、このスキームを用いて、執筆活動ができるのは、勝間和代氏のような自己啓発分野や一般ビジネス分野のようにブログ開設者の多いカテゴリに限定されてしまうとも見ることができる。
そのため、比較的ニッチな分野の場合は、難しいとも言えるが、これから先は、このようなスキーム、オープンシステムと類似の方法論を用いて、執筆活動が行われるようになるのかもしれないな、と思った一冊。
58冊目
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1 Comment »| タグ: ベストセラー, 自己啓発




10月 6th, 2008 at 17:23
もしかして「クラウドソーシング」?