フリーエージェント社会の到来 ダニエル ピンク (著) #65
admin 大前研一氏の翻訳で有名なベストセラー「ハイコンセプト」の著者で、ゴア副大統領の首席スピーチライターだった著者、ダニエル・ピンクが、自身が組織から独立し、フリーエージェントとなった経験から、その現象についてリサーチした結果が本書。
第1部 フリーエージェント時代の幕開け(組織人間の時代の終わり、三三〇〇万人のフリーエージェントたち ほか)
第2部 働き方の新たな常識(新しい労働倫理、仕事のポートフォリオと分散投資 ほか)
第3部 組織に縛られない生き方(人と人の新しい結びつき、互恵的な利他主義 ほか)
第4部 フリーエージェントを妨げるもの(古い制度と現実のギャップ、万年臨時社員と新しい労働運動)
第5部 未来の社会はこう変わる(リタイヤからeリタイヤへ、テイラーメード主義の教育 ほか)
前述のようにダニエル・ピンクは組織に属した後、独立しフリーエージェントとなった。
ただ、それは、ダニエル・ピンクだけがそうしていたのではなく、実際には時代の潮流としてフリーエージェント化、つまり、フリーエージェント社会が到来していたのだということが書かれている。
まず、フリーエージェント時代とは、どのようなものなのか、というと、「組織人間の時代の終わり」と表現することもできるだろう。
つまり、組織に属して、組織の一部、歯車として活動する時代のことだ。
このような時代が変革されていった背景には、経済の基本単位の変化がある。
つまり、これまでの経済の基本単位は、組織であったが、これからは「個人」が基本単位となる、というわけだ。
ここで、時代の流れについて述べていく前に、ダニエル・ピンクが述べてきているフリーエージェント時代について理解しやすいように、背景となる情報を述べておく。
[フリーエージェントの3タイプ]
1.フリーランス
2.臨時社員
3.ミニ起業家[フリーエージェント時代4つの発生原因]
1.個人と組織の関係の変化
2.テクノロジー
3.繁栄(中流層の生活水準の向上)
4.組織の短命化[フリーエージェントの求める仕事・4つのキーワード]
1.自由
2.自分らしさ
3.責任
4.自分なりの成功[フリーエージェントの8つのインフラ]
1.スターバックス(コーヒーショップ)
2.コピー店(キンコーズ)
3.書店
4.レンタルオフィス
5.インターネット
6.大型オフィス用品店
7.私書箱センター
8.宅配サービス
組織人の時代から、フリーエージェント時代への変化が起こった原因として、テクノロジーはわかりやすい。
今では、インターネットは不可欠な存在となったし、メールがない状態での仕事など想像もつかない。
そして、もうひとつの大きな要因としては、個人の組織に対するスタンスの変化が大きい。
それについて、本書で象徴的な記述があったので、引用してみる。
1987年、IBMのジョン・エーカーズ会長は、「完全雇用は、従業員の我が社に対する忠誠心の礎である」と語っていた。しかし、第3章で紹介したように、IBMはその五年後、10万人を超す人員削減に着手するのである。
このような体験をした個人が、その後も組織に対して信じ続けること、信頼し続けること、忠誠心を保っていることができるだろうか。
個人は、このように期待を裏切られ続け、また、時代の変化のスピードがますます加速化している現代では、組織の短命化が進み、組織に期待すること、組織に依存すること、組織人間であることにリスクを感じるようになったというわけだ。
そうして、個人は組織との関係を変えていこうと考えるようになる。
さらに、テクノロジーの進展や生活水準の向上で、独立して仕事のできる環境、インフラが整ってきたということも重要な要因だ。
上記に掲げた8つのインフラは、ほとんどが近年できてきたものだ。にもかかわらず、ほとんどが現代生活には欠かせない存在になってきているものなのだ。
これらの背景、推移によって、個人はより独立した存在となり、フリーエージェント時代が到来する。
さまざまな問題点やリスクはあるのだろうが、時代はそのように進んでいくというわけだ。
現代の時代を見ていくうえでは、重要な一冊。
論考:クリエイティブ・クラスとフリーエージェント社会
クリエイティブ資本論 リチャード・フロリダ (著) #57
リチャード・フロリダの述べているクリエイティブ・クラスは、本書のフリーエージェントの概念と極めて近い。
それは、おそらく同じ現象について述べているからだろう。
これらの書籍の違いは、アプローチの違いといえる。
どちらも、個人の時代(「クリエイティブ・クラス」と「フリーエージェント」)について述べ、その発生要因について言及しているが、ダニエル・ピンクが、より「仕事」的なアプローチ、要するに、独立事業主などの仕事面でのアプローチが濃いのに対して、リチャード・フロリダのアプローチは、都市経済レベルでのアプローチ、つまり、クリエイティブ・クラス時代における都市経済成長といった、よりマクロ的な視点からアプローチしているという違いがある。
どちらが好きなのかは、読み手側の状況に左右されよう。
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