小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡 鬼頭 宏昌 (著) #146

7月 15th, 2010 by blogown

スモールビジネス紹介センター代表取締役。元「旗篭家」オーナー。大学中退後、22歳で父親の経営する飲食店に入社。25歳で経営を託され、6年で同社を赤字状態から20店舗・年商20億円の外食チェーンに育て上げ、優良企業のうちに事業売却。

その後、FUTURE CONNECT株式会社(現・株式会社スモールビジネス紹介センター)を設立し、代表に就任。執筆やコンサルティングを手がける。

現在は「横浜桜木町日の出らーめん」「やきとん大黒(大国)」「宅配とんかつ専門店ぶたみち」のフランチャイズ展開に尽力中という著者、鬼頭宏昌氏が、店舗のデザイン、繁盛店作りの法則、経営の原理原則、成功軌道に乗るための方法等、大きな利益をもたらした、本物のノウハウを厳選して掲載したものが本書。

本書の特徴をまとめると、「飲食ビジネスの構造が、客観的に分析されている」。

著者の鬼頭宏昌氏は、非常に分析的な思考をされる方のように感じます。

それは、「儲かる」という言葉の数字的根拠が「投資収益率(ROI)」にあるのだと断言していることからもうかがえます。

飲食ビジネスでの成功パターンは、「1店舗ごとの採算性を確保した上で、1店舗の年商を1億円と仮定して30店舗を出店したから30億円の企業になる」というものです。

つまり、店舗として収益の上がる業態を開発し、適切な立地を見つけ、店舗開発を継続してし続けることにあるというわけです。

また、本書では、非常に実践的で有益な内容が書かれているのですが、特に印象的だったのは、個人店経営が大手に勝つ方法です。

鬼頭宏昌氏の持論だそうですが、個人店経営の場合、人件費は基本的に自分たちの給与が中心となり、FLコスト(食材費と人件費のコスト)の配分はチェーン店に比べてはるかに自由度が高くなる

だからこそ、個人店経営で初期投資を大きく抑えて出店した際は、思い切って原価率をかけることが勧められる。

資本力ある大手がお金をかけて立派な店をつくり、熟練した店長や店員を配置した大型飲食店をつくったとすれば、同じコスト構造で戦うのは無理。

であれば、料理のコストパフォーマンスで勝負するのが王道とのこと。

ケースとして、鬼頭宏昌氏の知人がレストラン経営をしていて、客単価4000円で原価率30%のメニューを、客単価8000円で原価率50%のメニューに変更して大成功した人がいるとのこと。

つまり、食料原価を高め、「おいしい」「高質な」料理を提供することで、顧客満足度を高めるというわけです。

単純に大手企業が攻めているからといって、戦えないわけではない。

たしかに、真っ向勝負を仕掛ければ、大敗を喫してしまうだろう。

しかし、コスト面での強みを生かしたり、自由度を効かせることで、大手企業にはできないことをする。

そうすることで、個人店でも勝てる。

色々な戦略のバリエーションを考えさせられます。

良書。

小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡 鬼頭 宏昌 (著) #146

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ザ・プロフィット エイドリアン・J・スライウォツキー (著)#144

7月 5th, 2010 by blogown

本書は、経営コンサルタントのエイドリアン・スライウォツキーが
利益をテーマに、経営戦略などの観点から、ビジネスモデルを見通していったもの。

全体として、ビジネスをやっていく上では、非常に有益なポイントが多いのだが、
今回、個人的に特に参考になったのは、次の点。

・製品ピラミッドのなかで、廉価商品は利益を上げるために存在しない。

製品ピラミッド利益モデルについての解説から。
バービー人形を販売している会社マテルが例にとられて説明されている。

バービー人形は、20ドルとか30ドルで売られている。
他社はこの低価格史上には簡単に参入できる。

そこで必要なのが防火壁(ファイアウォール)だ。
他社の追随を防ぐために、10ドルのバービー人形を売り出して
廉価市場への他社の参入を封じ込める。

ここではほとんど利益は上がらないが、
他社が自社の顧客と関係を結ぶ道を塞ぐことはできる。

ピラミッドの最下層にはファイアウォールとして機能する防衛のための製品が、
そして最上層には強力な利益製造マシーンが配備されている。

このテーマについて端的に表現されているのが、この箇所だ。

そもそもピラミッドとは、低価格帯商品を売ることで、
他社がもっと安い値段で市場シェアを奪う可能性を実質的に断ち切るシステム
なんだ。

「なぜ、製品ライン、製品ピラミッドが存在しているのか」ということの回答。
それは、ライバル・競合他社に、付け入るスキを与えないため。

ビジネスって戦争ですね。

ザ・プロフィット エイドリアン・J・スライウォツキー (著)

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「ダイナシティの挑戦」鶴蒔靖夫 (著) と「1R(ワンルーム)男」杉本宏之 (著) #141,142

6月 25th, 2010 by blogown

「ダイナシティの挑戦」鶴蒔靖夫 (著) と「1R(ワンルーム)男」杉本宏之 (著) の2冊を読んで、まとめてみること・・・

それは、「倒産した不動産デベロッパーにその流れを学ぶ」である。

マンションデベロッパーになるルートは、次の通り。

1.マンションの仲介、または販売代行をする。
これは、つまり、元手をかけずに、マンションを販売していくということだ。
もちろんマージンは低いが、元手をかけず、営業の力を示す効果がある。

2.人脈から物件を仕入れて、販売する。
これは、1で種銭をつくった後、販売する物件を仕入れて販売していくということだ。
物件を仕入れることで、在庫リスクは増えるが、マージンは厚くなる。

3.仕入れる規模が大きくなっていく。
これまで、仕入れる物件も、マンション数戸程度であったのが、
マンション数フロアとなっていき、最終的には、マンション一棟を仕入れることになったりする。

4.自社で土地を仕入れて、デベロッピングし、販売する。
ここまでで蓄えた資金と銀行からの借金で、土地を買い、1年近くかけて建物を建築して、販売する。

ここからは、新興デベロッパーがたどりやすいルート。

5.デベロッピングによる成功で、大きな成長を遂げる。
たとえば、エスグラントコーポレーションの場合、年商179億円へと成長を遂げた。

6.売れない物件も出てくることで、在庫が積みあがる。
完売すればいいものの、すべてがすべて売れるとはかぎらず、売れない物件も出てくる。
そうなると、不良在庫が積みあがってしまうことになる。

7.仕入れた土地の価格が下落し、販売マンションに利益が乗せられず、収支が狂う。
さらには、もし、土地の価格が下落局面であった場合、
デベロッピング用に仕入れた土地がその資産価格を減少させることになる。

販売マンションの価格には、もちろん、仕入れ値(土地の購入代金)分が含まれており、
それが現在に比べて高いということは、割高な仕入れ値であるが、それを価格に転嫁させなければならない。

しかし、マンションの販売価格はというと、周辺の価格と比べられるため、そこまでの値上げは困難。

であるために、マンションを販売していったところで、利益は出ず、収支が狂う。

8.かといって、人件費などの固定費の支出は必要となり、状況はまずいがデベロッピングし続けないと、経営が回らなくなる。

土地の価格が下落しているときは、何もしなければいいのだろうが、
何百人も雇用していたり、自社ビル含めて、オフィスを借りていたりするのだから、
何もしなくても出て行くお金はあるわけで、売上を上げ続けるためにも、デベロッピングし続けなければ、なかなか回らない。。。

9.経営が厳しいところに、銀行の融資も渋くなり、資金繰り難になり、倒産する。

そうなると、やはりすべての計算が狂っていき、銀行も貸してくれなくなり、
かといって、マンションも売れず、含み損も増えていく。

ゆくゆくは、資金繰りに窮するようになり、多くは倒産への道をたどる。

デベロッパーというのは、巨額の先行投資を行い、
1-2年かけて、物件を完成させ、販売して、回収していくビジネスであるのだから、
土地の価格リスク、在庫リスク、資金繰り問題など、色々と難しい経営課題を背負っているモデルだと感じる。

ダイナシティの挑戦 鶴蒔 靖夫 (著)
1R(ワンルーム)男 杉本 宏之 (著)
上記の著者の経営していた会社、ダイナシティ、およびエスグラントコーポレーションは、両社とも、民事再生法が適用されています。

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借金の底なし沼で知ったお金の味 金森 重樹 (著) #140

6月 19th, 2010 by blogown

金森重樹氏の著書。

率直な感想を述べると、「生々しい」。

25歳でフリーターだった金森氏。
先物取引によって数千万円の借金をつくってしまう。。。

結局は、借金1億2000万円、利息24%ということに、、、

当時の破産法では、投機的な行為での借金は免責不許可事由とされて、破産もできない状態。

絶望感に満ちた日々。
それが、金森氏の東京に出てきてからの18年間。

その話が、克明に描かれています。

現実の社会では、あまり目にすることはないにしろ、こういうことも存在しているということが痛感させられる。

そういう状態で、彼が求めたのは「理詰めで億万長者になる方法」。

『事業はロジックによってきっちりと仕上げるもの』

『事業をやるのに度胸が必要だと考えるようでは、まだ不確定要素が潰しきれていませんので、その事業をスタートする段階ではありません』

その言葉たちからは、金森氏自身の高い知性と同時に、借金のプレッシャーのなかで苦しみ、叩き上げられた力が感じられる。

借金地獄を疑似体験できる、そんな良書。

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真実が人を動かす―ニューコアのシンプル・マネジメント ケン アイバーソン (著) #133

3月 6th, 2010 by blogown

ニューコア – Nucor Corporation。

ニューコアはすごい。
ニューコアのすごさは、たしかにインテグレーテッド・ミル(高炉)ではなく、ミニミル(電炉)を活用している点や、薄スラブ連続鋳造技術の導入といったテクノロジーが背景にあるのかもしれない。

しかし、それと同時に、従業員と経営陣との関係、経営姿勢がすごい
その経営姿勢が、自らが大企業にもかかわらず、常識を常に疑う姿勢を保てている要因なのだと感じた。

では、その「経営姿勢」とはどのようなものなのか。
それをちょっと見ていきたい。

端的にそれを示しているのが、明確な原則である。

ニューコアでは、従業員と経営者の関係は次の四つの明確な原則の上に成り立っている。

(1)従業員がその生産性に応じて報酬を受ける機会を持てるように会社を経営することは、経営者の義務である。
(2)今日の職務を適切に果たしさえすれば明日もまた自分に仕事があることを、従業員は確信できなくてはならない。
(3)公平な処遇を受けることは従業員の権利であり、従業員は自分が公平な処遇を受けるであろうことを確信できなくてはならない。
(4)処遇が公平でないと思う従業員には、改善を申し出る何らかの方法が与えられなければならない。

このような原則、ある意味、当たり前のように感じるが、たいていはできていないようなことが実際に原則として提示されてあることは意義深い。

では、実際にどのように運営されているのか、その前に、著者・ケン・アイバーソン氏の主張を聞いてから見ていきたい。

人がやる気を起こす理由は、煎じ詰めれば次の三つの理由による。

(1)平均以上の収入を得るチャンスがある。
(2)雇用が保証されている。
(3)昇進のチャンスがある。

給料がよくて、クビになる心配がなく、昇進の見込みがあるのでなければ、そのほかのことはたいして意味を持たない。

それでは、実際にニューコアでの運用を見ていこう。

・ニューコアの生産労働者の基本給は業界平均より低い。
それは、基本給をはるかに上回る週間ボーナスを稼いでおり、低いときで基本給の100%、高いときは200%超だという。
現場勤めの典型的な従業員は、時間当たり8-9ドルの基本給に加えて、出来高払いのボーナスを時間当たり16ドル以上受け取ることもあるということ。
ニューコアの工場労働者の1996年の平均年収は6万ドルを超えた。これは業界最高水準。

・週間ボーナスを得るために必要なことは、1.チームで働き、2.生産すること。
1チーム、20-40人。チームに対して、生産基準量が設定されている。
その基準を超えた生産量に対し、ボーナスが支給される。

・生産部門以外の従業員にもボーナス支給基準がある。
エンジニア、秘書、事務職員、受付係など、非現業社員たちにも独自のボーナス支給基準がある。
これはそれぞれの事業所の総資産利益率に基づいて算出されている。
これによって彼らは仕事の能率を上げ、顧客との関係を強化し、生産労働者の助けになることなだったら何でもするように動機付けられる。

根底にある思想について、こう述べられている。

「われわれは製品に含まれる人件費が問題だと考えています。競合他社の二倍の給料を払ったとしても、社員がやる気を出して、よその三倍の生産を上げるなら、わが社の製品は相対的に安くなる計算じゃありませんか」

1996年、ニューコアの人件費(付帯給付を含む)は、鋼材1トン当たり40ドルをきった。大手鉄鋼会社のおよそ半分だ。

鉄鋼会社としては、ローコスト、ロープライスの製品を販売しているポジションのニューコア。
たしかに、製品コストは、ローコストなのだが、従業員の給料は業界最高水準。
そのギャップは、やる気を引き出すための報酬体系、インセンティブによって形成されているのだ。

総じて感じることは公平さ、フェアである、ということだ。
フェアな環境づくり、重要である。

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情報楽園会社 増田 宗昭 (著) #125

1月 26th, 2010 by blogown

「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長・最高経営責任者である、増田宗昭氏が自身の創業記や考えについて述べたのが本書。

本書で印象的だったのは、増田氏のリスク回避の性格(石橋を叩いて渡る性格)についてと、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)のコンセプト、企画会社としての思想である。

普通、人は事を起こすにあたって、月にどれだけの売上げがあがるかを前提にする。しかし、私は万一うまくいかなかったらどうするか、売上げゼロだったらどうするか。まず、そのことを考える。売上げゼロでも家賃や人件費は払わなければならない。借金があれば返済しなければならないし、何よりも自分や家族が食っていかなければならない。新規の事業が売上げゼロでも、それだけの手当てができるかどうか。その手当ての方法をまず先に考えるのである。

まず、増田氏の性格として、リスク回避の性格であることが印象的だった。

通常、ドーンと借金して、多店舗展開。
勢いのある性格のように感じられるが、売上げゼロの場合を想定して、手当てする方法を考えた上で行動しているという、かなりのリスク回避性格。

慎重派であり、リスクを減らして色々な行動をとっていく際には、参考になる思考法であるといえよう。

次に印象的だったのは、企業の思想として、CCCは企画会社であるというものだ。

企画会社とは、このような付加価値のあるものを創造していく集団である。誰もが欲しがる新規事業の企画(ソフト)を考え出し、時代が切り拓く新しい市場に対応して、それを事業化する頭脳である。

私は企画会社としての条件には、次の三つのことが必要だと考えている。
第一は、情報の共有化ということである。(中略)各人のところで情報の組み合わせが行なわれることで、何か新しい発見、新しい企画がアウトプットされるかもしれない。これが知的生産ということだ。(中略)第二の条件は、ノウハウの共有化を推進して、個人のプログラムを強化することである。(中略)さて三番目の条件は、インセンティブ(報奨金)システムの導入、すなわち個人をきちんと評価するということである。

TSUTAYAが前面に出ているために、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は、どうしてもメディア流通企業のように感じる。

しかし、トップである増田氏の考え方は一貫していて、企画会社である、ということに尽きるという。
つまり、流通・小売のように一見すると見えるのであるが、実際には知識ビジネス、知識集約型のビジネスをしているというわけだ。

たしかに、TSUTAYAをフランチャイズビジネスとして、中央にデータベース+企画を据えた陣容となっている。

このビジネス思想は、一朝一夕ではないだろう。
つまり、創業期からずっと、一貫して、このようなハイレベルなビジネスモデル、ビジネス思想を持っており、そのビジョンを実現させていたということである。
驚嘆する話である。

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職業”振り込め詐欺” NHKスペシャル職業”詐欺”取材班 (著) #122

12月 18th, 2009 by blogown


本書はどのような本かというと、振り込め詐欺の実態に迫った本である。
犯行グループへの取材(大変だー)をしたり、聞き込みをしたりで、120日間かけて取材した結果だそうだ。
自分も同じようなことをしているから、その苦労がわかる。

なんといっても、振り込め詐欺について詳細を語ることができるのは、実行した人なのだから、つまりは、犯罪者なわけだ。
普通の取材とは違って、逮捕されていない犯罪者にインタビューとは、また困難なことだと思う。

そのような困難を通じて見えてくる、振り込め詐欺の舞台裏を垣間見ることができる。

本書を通して、振り込め詐欺を見たとき、感じたのは2点。

1.振り込め詐欺も、結局は、普通のビジネスとほとんど変わらない
2.優秀な人物は、たぶん、何をしても優秀なのだ

1.振り込め詐欺も、結局は、普通のビジネスとほとんど変わらない

”詐欺の男”タカハシは、振り込め詐欺の拠点のことを「店舗」と呼び、加えてこう語ったそうだ。

「だいたい1日にかけるのは、200件とか300件とか。もう普通のテレアポみたいな仕事ですよ。遅刻したら、その日の取り分はなしで。時間厳守で、普通の会社並みに、うるさくやってましたね」

さらに、タカハシは、手書きのA4の紙を取り出した。
それは、詐欺のマニュアルで、だましのテクニックを仲間内で共有していたという。

別のグループ、平成19年9月16日に逮捕された、仲間内から「キング」と呼ばれた戸田雅樹被告の話。

戸田被告の元には、それぞれ数人からなるグループが少なくとも6つあり、それぞれに現場責任者を置いて、まるで会社のような組織を作り上げていた。

構成図も本書には図表として挙げられているが、通称「キング」を中心に、それぞれの現場責任者がリーダーとなり、数名の部下(だまし役)を管理する組織になっている。まさに、企業の営業組織である。

2.優秀な人物は、たぶん、何をしても優秀なのだ

第7章に書かれた、十数の詐欺グループを統括しているという男”顧問”の話。
31歳で、もともと、東京の六大学を卒業し、数年前まで一部上場の一流企業に勤めていたという。

詳細は、長いので、書ききれないが、とにかく頭の切れる人物であることが、読み取れるのだ。
携帯電話やATMの仕組みを熟知した上で、警察の捜査の手の内まで読んで逮捕を免れようとする”顧問”。

完全に犯罪者なのだが、優秀な人物だと思う。

著者も同じように感じたようで、こう書いている。

それだけの頭脳や情熱を、社会の発展に振り向けられなかったのかと思わずにはいられなかった。

社会について、振り込め詐欺について、ビジネスについて、さまざまなことを考えさせられる一冊。

職業”振り込め詐欺” NHKスペシャル職業”詐欺”取材班 (著) #122 You can buy this book on amazon.

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Hot Pepperミラクル・ストーリー – リクルート式「楽しい事業」のつくり方」 平尾 勇司 (著) #100

6月 22nd, 2009 by blogown

本ブログもようやく100冊目になった。
100冊目は、それにふさわしいような名著である。

本書のタイトルには「ミラクル・ストーリー」とある。

これは「ホットペッパー」が4年で全国42版展開、売上約300億円、営業利益約100億円の事業となり、近年では500億円規模となったことを指しているのだろう。

ぼくにとっては、売上約300億円・営業利益約100億円の高収益モンスタービジネスについての、この種の企業秘密的な戦略情報、ビジネスシステムについて率直に書かれた本を、たった1,575円で手に入れることができることが「ミラクル」だと思う。

このモンスタービジネスは、何によって生み出されたのか。

ぼくが見るところ、それは「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」「高度なパターン化・システム化」「高い組織運営能力」によって生み出されたのだろう。

大きな、そして、鋭く研ぎ澄まされたシナリオは、迅速な拡張をもたらすように設計されており、高度なパターン化・システム化によって、労働力の迅速な戦力化を促し、高い組織運営能力がそれらを束ねる、という構図である。

まず、「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」について見ていこう。

『「まずは飲食コンテンツに集中する
半径2キロのコア商圏でNTTデータの飲食件数のうち15%を獲得すれば、読者のマインドシェアを獲得できて、流通段階でみんなが自ら喜んで手にとって持ち帰るインフラができる

その流通インフラが確立できれば、一気に効果のある媒体になれる。
その後に美容室、キレイ、スクール、リラクゼーション、ショッピングなどのコンテンツに展開を拡大する。
そして、街の生活情報誌になる。そのために、半径2キロにある街の飲食コア商圏内の飲食店へ、特に居酒屋へ営業に行く。
1/9スペースを3回連続で受注する。
1人1日20件の訪問を実行する」

これが『ホットペッパー』の勝つシナリオだった。』

「ホットペッパー」の勝つシナリオ、それは「研ぎ澄まされたシナリオ」であると同時に、容易にイメージしやすい、「これからどのようにすればいいのか?」という関係者全員の疑問に答えることのできる、シナリオである。

そして、「ホットペッパー」という高収益モンスタービジネスの根本であり、事業モデルであり、事業戦略であり、成功の秘密のひとつである。
つまり、「ホットペッパー」という高収益モンスタービジネスの基本レシピこそが、このシナリオなのである。

このシナリオは実に驚嘆に値する。
地域密着によるエリア支配、コア商圏におけるシェアの拡大、流通インフラの確立、拡張性の方向性とエレガントなまでに美しい。

ぼくは、この『「ホットペッパー」の勝つシナリオ』を見たとき、思った。
「ぼくも、こんなエレガントなシナリオを描いてみたいものだ」

もちろん、シナリオが美しいだけでは不十分である。それは、そのシナリオを実現するために行動しなければならないからだ。
その行動段階に組み込まれた仕組みが「高度なパターン化・システム化」である。

「ホットペッパー」は、組織構成として1,500名によって構成されているそうだが、その85%は非正社員だという。
また、創刊当初から、業務委託と契約社員(3年の契約社員)とアルバイトによって創られたという。

非正社員がほとんどの組織で、十分なトレーニングに基づくスキルを要する仕事をこなす、ということは非常に難しい。

にもかかわらず、そのような組織であった「ホットペッパー」がなぜ、ハイスピードの拡大を達成できたのか。

その答えのひとつが
「高度なパターン化・システム化」だ。

『後の営業戦略の中核となる「コア商圏・飲食・居酒屋・1/9・3回連続受注・20件訪問・インデックス営業」というコンセプトが生まれ、それを「念仏」と呼んだ。

「人通りが多く飲食店が集積する中心地を営業活動のコア商圏として設定し、飲食店のなかでも居酒屋にフォーカスして訪問する。情報量を確保できる1/9スペースを3ヵ月連続=3回連続セットで受注する。そのために一日20件を必ず営業訪問する」

一人ひとりがその念仏を唱え、自分の行動がその行動基準から外れていないかを毎日のなかで確認できる、それが「念仏」だった。
成功のコンセプトを日々の具体的な行動に落とし込むことが、もっとも大切なことだ。』

まずは、行動プロセスのパターン化・システム化である。
この「念仏」もまた、シナリオと同様に美しい。

非正社員であれ、この「念仏」を唱えているだけで、自分の行動がシステムに沿っているのか、そうでないのかを判断できるからだ。
「念仏」そのものも、非常にシンプルに営業戦略がまとめられており、非正社員が迅速に戦力化され、ハイスピードの拡大を達成できた背景が見える。

この「高度なパターン化・システム化」は、営業戦略のみならず、よりミクロの営業現場での対処でさえ、徹底されている。

実はニーズは多様化していない。
『ホットペッパー』でも当初、顧客ニーズが多様化しているのに、それを型にはめるのは危険だという反対意見が出た。
型にはめることは個人の個性や成長を阻害するという反対意見も出た。
しかし、顧客ニーズを整理して絞り込むと、
団体をとりたい
回転率をあげたい
客層を変えたい
顧客単価をあげたい

せいぜいそんなものだった。

それら各々の課題を解決できた原稿パターンやクーポン内容パターン、それらの課題を解決できる商品設計や流通設計やプロモーション計画をまとめたツールパターンを用意した。
そのツールパターンを使った5分間の営業トークの完全シナリオをつくり、それを新規営業の「型」として完全に暗記して繰り返し、繰り返し徹底的に訓練した』

最初に顧客ニーズの分析によって、ニーズが多様化しておらず、実際には、『団体をとりたい・回転率をあげたい・客層を変えたい・顧客単価をあげたい』というニーズくらいであることを明らかにした。

次に、それぞれの課題に対応するアプローチをパターン化し、ツールパターンを用意。それらを「型」としてトレーニングする。

このような仕組みがあるからこそ、非正社員をインスタントに戦力化することが可能になるのである。

思わずうなってしまう。

最後の「組織運営」については、今のところ興味があまりないので、本書を読んでいただくとして、『フラット、業績把握、モチベーションを高める仕組み、評価システム』とスキのないつくりとなっている。

ぼくは本書を読み終えたとき、思った。

「ホットペッパー」が4年で売上約300億円、営業利益約100億円の事業となり、近年では500億円規模となったことは決して「ミラクル」ではないのだ、と。

思わず、美しいと言ってしまうほどの「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」と「高度なパターン化・システム化」、「高い組織運営能力」があるからこそ、そうなったのだ。

つまり、合理的に築き上げられたものであり、「なるべくしてなった」のだ。

ぼくは、別にこの読書感想文を書くことにお金をもらってはいない。

だが、ビジネスに関わる人であれば、本書に1,575円分以上の価値を見出すことは間違いないと思っている。

だからこそ、ぼくは1,575円の本書を押し売りしよう。

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面白いことをとことんやれば、「起業」は必ずうまくいく。 フレッシュネスバーガー社長の現場的発想法 栗原 幹雄 (著) #98

6月 2nd, 2009 by blogown

〈ほっかほっか亭〉の創業者の一人でありながら、「面白いことをやりたくて」退社、たった一人で〈フレッシュネスバーガー〉を創業した著者、栗原幹雄氏が自身の独創的な仕事術について語ったのが本書。

最初、この本を手に取ったのは、フレッシュネスバーガーの創業記が読めそうだと思ったからだ。

フレッシュネスバーガーについては、店で食べたことがあるということ、ファストフード業界では、マクドナルドというよりも、モスバーガーに近い印象があるということぐらいしか知らなかった。

なんとなく思い出したことといえば、羽田空港の出発ターミナルの地下にもフレッシュネスバーガーの店舗があって、何度か食べたな、ということだった。

まず、著者でフレッシュネスバーガーの創業者、栗原幹雄氏のプロフィールを見て、驚いた。

義兄とともに「ほっかほっか亭」の創業に参画、4年で1,000店を突破し、大企業に育て上げた経験を持っていたからだ。つまり、フレッシュネスバーガーは、「ほっかほっか亭」の創業メンバーが立ち上げたものだったというわけだ。

そう。
この本は、単純にゼロから、ハンバーガー屋を作った話ではない。

「ゼロから超巨大チェーンをつくりあげた経験を持つ人物が、ハンバーガー屋をつくるとどうなるか」が書かれている本なのだ。

まったくハンバーガーについて知らない状態から、渋谷区の高級住宅街の一角にあった木造平屋建ての小屋と出会い、ハンバーガー屋を開くことを決める。

基本構想、店舗イメージ、メニューなどを一晩のうちに決め、内装、外装、厨房と常識にこだわらない設計にした。過去に観た映画のワンシーンや、アメリカで視察してきたカフェなどの記憶がよみがえってきて、『「この店は、仕事じゃない。オレの作品だ!」』と割り切る。

その一方で、『飲食店の経営とは結局のところ、「客単価×客数」で決まる』のだとビジネス的な視点で見ることも忘れていない。

ある面では素人、しかし、ある面では、プロ。
そんな栗原幹雄氏のフレッシュネスバーガー創業記。

片手には夢を、そして、もう片手には、ビジネス的にチェーン展開を見据えた規模拡大を。
最初の段階から、チェーン展開を見据えた思考からは、ビジネスを大きくしていくことのヒントが見つかりそうだ。

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“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事 小暮 真久 (著) #93

5月 1st, 2009 by blogown

NPO法人・TABLE FOR TWO Internationalの理事兼事務局長・小暮真久氏の著書。

TABLE FOR TWOプログラムの仕組み
対象となる定食や食品をご購入いただくと、1食につき20円の寄付金が、TABLE FOR TWOを通じて開発途上国の子どもの学校給食になります。20円というのは、開発途上国の給食1食分の金額です。つまり、先進国で1食とるごとに開発途上国に1食が贈られるという仕組みです。

ぼくが本書から感じ取ったことは、著者である小暮真久氏の「ビジネスマンとしての優秀さ」「社会起業家が必ず向き合わなければならない壁」だ。

「ビジネスマンとしての優秀さ」は、コンサル時代に培われたフレームワーク的な思考と「営業」にそれが垣間見える。

小暮真久氏は、ロジックツリーを用いた、論理思考や問題解決を行い、活動地域、活動内容、展開の方法、考えられる課題などについて、考えられる要素をすべて列挙、整理し、できること、やるべきことを考えていったそうだ。それは、論理的で、理知的、非常にスマートなビジネスマンと見られる要素を兼ね備えているということになる。

加えて、地に足のついた営業。彼は、企業をリストアップし、電話をかけ、担当者を紹介してもらって説明に出向く、という地道な活動をしていったそうだ。それは、現実に提携先を探そうという営業活動であり、起業家としては必須の活動。

要するに、「頭」と「体」を動かすことができる、極めて優秀なビジネスマンだということなのだ。

ただ、小暮真久氏の行っている社会事業は、「内」と「外」の両方向から同時にプレッシャーをかけられるものであり、それらこそが「社会起業家が必ず向き合わなければならない壁」なのだと感じた。

彼は、こう述べている。

社会事業では、「いいことをやっているんだから」という気持ちが強くなり過ぎると、独善や独りよがりに陥る危険があります

自分自身に内在する危険性。

加えて、外部からのプレッシャーも相当なものだ。

たとえば、社会事業に対して、日本ではボランティアという目、無償でやるべき、という考えが散見されることは否定できない。そのため、社会起業家は批判にさらされやすい。なぜなら、社会事業をビジネスとして行うということをしなければならないからだ。

これだけ、高い壁のある社会起業家という立場で、優秀なビジネスマンである著者、小暮真久氏が今後、どのように発展させていくのか、それは興味深い未来。

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