ヤマダ電機に負けない「弱者の戦い方」―セブンとアトム、ヤマグチに学ぶNo.1企業との共存の法則 月刊「技術営業」編集部 (編集) #150

8月 11th, 2010 by blogown

弱者の戦い方 月刊「技術営業」編集部 (編集) #150

結構なスローペースで読書感想文を書いているわけですが、ようやく150冊目になりました。

そういう節目の一冊は、「弱者の戦い方」という本です。
正直言って、掘り出し物の一冊です。

家電小売業界では、大型量販店が圧倒的な存在感を持っています。
それは、業界人でない自分でもわかります。

たとえば、家電小売業界No.1企業のヤマダ電機は一社で売上高1兆7,678億円。
一社だけで、ものすごいパワーで攻めている状況ということです。

そういう業界環境下で、苦境に喘いでいるのが、いわゆる「町の電器屋さん」と呼ばれる「地域店」「地域の小さな電器専門店」です。

大型量販店の圧倒的な床面積、販売面積に比べて、弱小な経営基盤に、狭い床面積。

弱者です。

熾烈な競争下で、減少の一途をたどる弱者なのです。

しかし、一方で、このような大型量販店との競争を勝ち抜いている弱者もいるのです。

本書では、そんな勝ち抜いている3人の経営者に、強者と戦うための基本的な考え方、具体的な戦略・戦術を丹念に取材した内容が書かれています。

その3人の経営者とは、「セブンプラザ」山口社長、「でんかのヤマグチ」山口社長、「アトム電器チェーン」井坂社長の3人です。

本書に書かれている内容は、どれも非常に興味深いのですが、最も印象的なのは、大型量販店との競争を勝ち抜いている3人それぞれが、戦い方が各自異なっているという点です。

■「セブンプラザ」山口社長
九州の地域電気チェーン「セブンプラザ」。
「セブンプラザ」の戦略は、「お客様の近くでかかりつけの電器店」、つまり、「コンビニ家電店戦略」です。

「コンビニ」のように、明るく、清潔感のある店舗で、最寄品、小物商品、消耗品のような商品を多数扱うことで来店頻度を向上させ、「お茶だしサービス」などのおもてなしもきっちりと行う
加えて、加盟店の経営者にそれぞれきっちりとした経営知識を身に付けさせるなど、きっちりと、ぴっしりと経営をさせています。

■「でんかのヤマグチ」山口社長
東京町田市に大型店を構えるでんかのヤマグチ

でんかのヤマグチは、良客育成。
大型量販店の攻勢に、でんかのヤマグチは、「きめ細やかな顧客サービス・顧客満足」によって対抗しています。

1.お客様に呼ばれたらすぐにトンデ行くこと
2.お客様のかゆいところに手が届くこと
3.お客様に喜んでもらうこと
4.お客様によい商品で満足してもらうこと

経営的には、粗利益重視の姿勢で、値段は安くない。
しかし、その価格の高さは、実際には、「サービス料」。
お客様(たとえば、お年寄り)が説明してほしいといわれると、4回、5回行くように、懇切丁寧なサービスを実現するためのサービス料分なのです。

そのために、「お客を選ぶ」ということも。
1996年には、創業期から蓄積してきたお客を半分以上減らしたそう。
約3万世帯あった管理顧客数を13,000世帯にしたという。
3万世帯には、きめ細やかなサービスは無理だということ。

ちなみに、客層としては、ヤマグチの得意客には高齢者が多いそう。

■「アトム電器チェーン」井坂社長
全国500店を超える電気屋チェーンを組織するアトム電器チェーン

アトム電器チェーンは、全国主要量販店8社の店頭価格をデータ調査、さらに、メーカーや販売会社との良好な関係づくりによって、仕入れにおける大きな購買力を持つことで、価格面での力も持つ。

戦い方としては、大型量販店のウリが低価格で、地域店のウリが人間関係・サービスだとすれば、アトム電器チェーンは、低価格とサービスを両立させようとするもの。

もちろん、地域店一店舗のみでは、仕入れのための購買力が不十分。

だからこそ、アトム電器チェーンというかたちで、集まって強力な購買力を生み出し、低価格とサービスの両立を目指そうというのです。

圧倒的な力を持つ強者に対して、弱者はどう戦うべきか。

そのやり方は、いくつもあるということに気づかされます。

非常に考えさせられる内容です。

ヤマダ電機に負けない「弱者の戦い方」―セブンとアトム、ヤマグチに学ぶNo.1企業との共存の法則 月刊「技術営業」編集部 (編集) #150

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地道力 國分利治 (著) #148

7月 30th, 2010 by blogown

帯にあるフェラーリが印象的な本書は、ヘアサロン・グループ「EARTH」を率いる株式会社アースホールディングス代表取締役、國分利治氏が、工業高校卒で片田舎のヤンキーあがりから、新宿・歌舞伎町の美容院に住み込みでキャリアをスタートさせ、今や年収4億円、年商200億円を稼ぎ出す一大FCチェーンに成長させるまでの経緯を書いたもの。

本書は、帯にある國分利治氏のチャラい雰囲気とは異なって、いたって地道な努力が描かれている。

國分利治氏の目的意識が変わったという経緯があり、歌舞伎町の美容院では、「真面目に」「勤勉に」「休まない派」で努力することになる。

そして、それこそが、國分利治氏自身が述べるように、成功要因であった。そうわかる。

たとえば、本書に書かれている部分で印象的だった部分を書き出してみる。

美容院に入社して、店舗を移籍したときの話。

歌舞伎町店から新しい店舗に移籍してすぐに、その店の売り上げ低迷で喘いでいる理由が分かりました。

客がいない時、スタッフの多くがヘラヘラと遊んでいたのです。酷い時は、ピンポン球でキャッチボールすらしていました。店が暇だというのに、彼らの顔には危機感がまるでないのです。もちろん、休日は当たり前の顔をして休みます。

結局、成績の悪い人、パフォーマンスの低い人は、サボっているというわけだ。
客がいないとき、集客努力をして店に呼ぶというような「真面目に」「勤勉に」動いたりはせず、休日は休日で当たり前のように休む。

だからこそ、売上が低迷し、成績が上がらないのだ。
要は、何もしていないというわけなのだ。

その他にも、印象的な部分がある。

若いスタッフの中には、「どうすれば社長のように成功できますか?」と、ストレートに聞いてくる人もいます。

私は自分の経験から、「休みなしで3年間働いたら成功できるよ」とアドバイスします。

例えば、このアドバイスをそのまま受け入れて、地道に実践できる人が一番成功する可能性があるのです。

この地道さ。
それが彼の成功要因だ。
休みなしで3年間働く。

たしかに、ハードワークだといえよう。
しかし、そのハードワークがあるからこそ、十分な経験が蓄積でき、能力も高まり、人より成果をあげることができるのだ。

國分利治氏の地道さは、会社で行っている行動の部分でもそれがあらわれている。

サービスの原点は掃除
不況による客足の低下を受けて、私がオーナーを通じて各店の店長に指示したことは、「店の掃除」でした。というよりも、今は「掃除をしろ」としか言わなくていいとすら思っています。

私は、サービス業の原点は掃除だと考えています。(中略)

掃除のスタートは入り口、玄関からです。中からキレイにしていくのではなく、お客様を迎え入れる表からキレイにしていくことが掃除の基本です。それも、自分の店の前だけキレイにするのではなく、「店の前の道の、1キロ圏内をキレイにするつもりでやれ」と指示しています。

店の掃除。
単に自分の店の前だけキレイにするのではなく、「店の前の道の、1キロ圏内をキレイにするつもりでやれ」というほど、徹底したもの。

徹底的に「真面目に」「勤勉に」仕事をすること。
それこそが、本質的に重要な部分なのだと改めて気付かされる。
良書。

他にも参考になる部分を引用。

「どうしたらお金持ちになれますか?」という質問を受けることがよくあります。(中略)

「人に好かれれば、お金は寄ってきますよ。協力者の数は年収に比例します」と。そしてこう続けます。

「年収1000万円の人には、協力者が10人。年収1億円の人には協力者が100人、年収10億円の人には協力者が1000人いる。協力者の年収は、少なくとも1000万円以上、理想を言えば、年収1億円以上の協力者が増えていくといいですね。だいたい、そんなイメージです」

本書からは、地道ということの重要さもさることながら、「人を使う」ということの難しさについても考えさせられる。

地道力 國分利治 (著) #148

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夢は、「働きがいのある会社」を創ること。ポール オーファラ (著), アン マーシュ (著)#147

7月 22nd, 2010 by blogown

コピーをメインとしたビジネスソリューション業務を行う
「キンコーズ」の創業者、ポール・オーファラの自伝が本書。

ポール・オーファラは、難読症(ディスレクシア)で
多動症(ADHD)で苦労した経験の持ち主。

そのために、誰か他の人の助けを必要とする人生を歩んできた。

それゆえにポール・オーファラが身に付けた
素晴らしい能力が「人に任せる能力」である。

本書には、その「人に任せる能力」について、
さまざまなエッセンスが詰め込まれている。

「自分で読み書きできないなら、
読み書きのうまい人に助けてもらえばいい」

たとえば、ビジネスの初期にポール・オーファラは、
『ビジネスに「追われる」のではなく、ビジネスを「追う」ことを心に誓った』という。

実際、キンコーズ1号店をオープンしたとき、
開店直後は一週間ずっと店に出たが、
それ以降は、週に二日しか出ていない。

だから、キンコーズを手伝ってくれるスタッフを雇い、運営を任せたのだ。

このため、彼は単調な作業の苦しみから解放されたとのこと。

数年後には、店が数か所に増えたが、
「業務」には一切関わらないことを決心したそうだ。

長年、ポール・オーファラが実践してきた
ビジネスを「追う」方法のひとつが、オフィスを離れることだ。

彼は、仕事にサイクルを設け、三週間ほど出張したら
次の三週間は本部オフィスに戻ることを繰り返したそう。

出張に出ると、全米各地に広がる地域ごとのキンコーズ・ネットワークの
さまざまな店に足を運び、同時に、できるかぎり多くのライバル店にも足を運んだ。

それは、ライバル店の工夫を探り出すためだ。

人に任せること。
それは、重要だが、心理的に難しい行為である。

夢は、「働きがいのある会社」を創ること。ポール オーファラ (著), アン マーシュ (著)#147

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小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡 鬼頭 宏昌 (著) #146

7月 15th, 2010 by blogown

スモールビジネス紹介センター代表取締役。元「旗篭家」オーナー。大学中退後、22歳で父親の経営する飲食店に入社。25歳で経営を託され、6年で同社を赤字状態から20店舗・年商20億円の外食チェーンに育て上げ、優良企業のうちに事業売却。

その後、FUTURE CONNECT株式会社(現・株式会社スモールビジネス紹介センター)を設立し、代表に就任。執筆やコンサルティングを手がける。

現在は「横浜桜木町日の出らーめん」「やきとん大黒(大国)」「宅配とんかつ専門店ぶたみち」のフランチャイズ展開に尽力中という著者、鬼頭宏昌氏が、店舗のデザイン、繁盛店作りの法則、経営の原理原則、成功軌道に乗るための方法等、大きな利益をもたらした、本物のノウハウを厳選して掲載したものが本書。

本書の特徴をまとめると、「飲食ビジネスの構造が、客観的に分析されている」。

著者の鬼頭宏昌氏は、非常に分析的な思考をされる方のように感じます。

それは、「儲かる」という言葉の数字的根拠が「投資収益率(ROI)」にあるのだと断言していることからもうかがえます。

飲食ビジネスでの成功パターンは、「1店舗ごとの採算性を確保した上で、1店舗の年商を1億円と仮定して30店舗を出店したから30億円の企業になる」というものです。

つまり、店舗として収益の上がる業態を開発し、適切な立地を見つけ、店舗開発を継続してし続けることにあるというわけです。

また、本書では、非常に実践的で有益な内容が書かれているのですが、特に印象的だったのは、個人店経営が大手に勝つ方法です。

鬼頭宏昌氏の持論だそうですが、個人店経営の場合、人件費は基本的に自分たちの給与が中心となり、FLコスト(食材費と人件費のコスト)の配分はチェーン店に比べてはるかに自由度が高くなる

だからこそ、個人店経営で初期投資を大きく抑えて出店した際は、思い切って原価率をかけることが勧められる。

資本力ある大手がお金をかけて立派な店をつくり、熟練した店長や店員を配置した大型飲食店をつくったとすれば、同じコスト構造で戦うのは無理。

であれば、料理のコストパフォーマンスで勝負するのが王道とのこと。

ケースとして、鬼頭宏昌氏の知人がレストラン経営をしていて、客単価4000円で原価率30%のメニューを、客単価8000円で原価率50%のメニューに変更して大成功した人がいるとのこと。

つまり、食料原価を高め、「おいしい」「高質な」料理を提供することで、顧客満足度を高めるというわけです。

単純に大手企業が攻めているからといって、戦えないわけではない。

たしかに、真っ向勝負を仕掛ければ、大敗を喫してしまうだろう。

しかし、コスト面での強みを生かしたり、自由度を効かせることで、大手企業にはできないことをする。

そうすることで、個人店でも勝てる。

色々な戦略のバリエーションを考えさせられます。

良書。

小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡 鬼頭 宏昌 (著) #146

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小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略 竹田 陽一 (著), 栢野 克己 (著) #145

7月 10th, 2010 by blogown

本書は、中小企業コンサルタントの竹田陽一氏と零細企業コンサルタントの栢野克己氏が、
豊富な経験をもとに、実戦に即したかたちで、
中小企業が成功するための戦略とマーケティング、営業のノウハウを披露したもの。

10万部を超えるベストセラーの一冊。

あまりに良書なので、この読書感想文に書いた気になってましたが、
意外なことにまだ書いてなかったことに気づき、書きました。

僕自身は、著者のお二人、
竹田陽一氏と栢野克己氏は知り合いです。

そのため、どうしても公平な判断がしづらいとは思いますが、
そういう偏見、バイアス込みで、本書は本当に素晴らしい。

だからこそ、ビジネス書で、経営系の書籍で
10万部という常識外れの大ベストセラーなのだと思う。

本書を端的に述べると、
「深い」、そして、「わかりやすい」。

まず、ランチェスター戦略というかたちで、
経営において重要な部分をそれぞれ解説。

・商品戦略
・エリア戦略
・客層戦略
・営業戦略
・顧客戦略
・時間戦略

これらのフレームワークは、
大枠として、経営をどのようにしていけばいいのかを理論面で解説。

どのように行動すべきか、
深い洞察が得られる内容だと感じる。

加えて、本書が「わかりやすい」ものになり、
非常に読みやすく、気づきが得られるものとなっている要因が本書を甘く包み込む。

それが豊富な事例である。

たとえば、「エリア戦略成功例1 保険営業の場合」

小さな島でもコツコツ回ればエリアナンバーワンに

九州一のセールスレディは長崎の島、平戸というところの森聖美子さん。

20年連続!で九州でほぼ一位とのこと。

平戸は人口が2万人くらいしかない島にもかかわらず。

最初は泣かず飛ばずだったそうですが、
左遷された上司が戦略のある人で、
「あなたはこの島を一軒ずつ回りなさい」と指導。

その結果、森さんの独り占めで、
ナンバーワンになったとのこと。

このようなかたちで、示唆に富む事例が
各章にいくつも挟み込まれ、アイデアが刺激されます。

自分のビジネスでは、
どのように応用できるのか。

そう考えながら読むだけで、
色々なアイデアがうまれてくること請け合い。

個人的に、そう何度も読み返す本は、
想像以上に少ないのですが、
そのなかでも、本書は、何度も読み返す、数少ない本の一冊。

名著。

ただ、一点。

著者の栢野克己氏も話していたことではあるのですが、
本書の事例のなかで紹介された会社のなかには、
民事再生法が適用されたり、倒産したりという会社もあることも事実。

しかし、どんなに戦略に沿った経営をしている会社でも、
時代の流れで商品が売れなくなったり、
新規事業で大コケしたりもするので、
どうしてもうまくいかなくなる会社も出てくるだろうと思います。

そういう点も加味しつつ、
総じて名著だと感じます。

何度も読み返すことになる一冊。

小さな会社・儲けのルール―ランチェスター経営7つの成功戦略 竹田 陽一 (著), 栢野 克己 (著) #145

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ザ・プロフィット エイドリアン・J・スライウォツキー (著)#144

7月 5th, 2010 by blogown

本書は、経営コンサルタントのエイドリアン・スライウォツキーが
利益をテーマに、経営戦略などの観点から、ビジネスモデルを見通していったもの。

全体として、ビジネスをやっていく上では、非常に有益なポイントが多いのだが、
今回、個人的に特に参考になったのは、次の点。

・製品ピラミッドのなかで、廉価商品は利益を上げるために存在しない。

製品ピラミッド利益モデルについての解説から。
バービー人形を販売している会社マテルが例にとられて説明されている。

バービー人形は、20ドルとか30ドルで売られている。
他社はこの低価格史上には簡単に参入できる。

そこで必要なのが防火壁(ファイアウォール)だ。
他社の追随を防ぐために、10ドルのバービー人形を売り出して
廉価市場への他社の参入を封じ込める。

ここではほとんど利益は上がらないが、
他社が自社の顧客と関係を結ぶ道を塞ぐことはできる。

ピラミッドの最下層にはファイアウォールとして機能する防衛のための製品が、
そして最上層には強力な利益製造マシーンが配備されている。

このテーマについて端的に表現されているのが、この箇所だ。

そもそもピラミッドとは、低価格帯商品を売ることで、
他社がもっと安い値段で市場シェアを奪う可能性を実質的に断ち切るシステム
なんだ。

「なぜ、製品ライン、製品ピラミッドが存在しているのか」ということの回答。
それは、ライバル・競合他社に、付け入るスキを与えないため。

ビジネスって戦争ですね。

ザ・プロフィット エイドリアン・J・スライウォツキー (著)

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競争戦略論〈1〉マイケル・E. ポーター (著)#143

6月 30th, 2010 by blogown

ハーバード大学の著名な教授、マイケル・ポーターの論文集を書籍にしたものが本書。

「一体、戦略とはなんぞや?」と思いますが、
マイケル・ポーターが端的に述べています。

『競争戦略の本質は差別化である』、『戦略の本質は、活動そのものにある。同じ活動をライバルとは違うやり方で進めたり、競合他社とは違う活動に着手する、それが戦略である』という。

わかりやすい例として挙げられているのが、
フルサービスの航空会社とサウスウエスト航空の対比。

フル・サービスの航空会社:
・ほぼあらゆる発着地間で乗客を輸送する体制
・乗り継ぎできるように、ハブ・アンド・スポーク・システムを採用
・ファーストクラスやビジネスクラスを提供
・スケジュール調整、手荷物引き継ぎ
・機内食を提供

サウスウエスト航空:
・特定のタイプの路線のみ
・発着作業時間がわずか15分なので、少ない機数で運航可能
・機内食、指定席、手荷物引き継ぎ、高級クラス、すべてなし
・機体はボーイング737で標準化

ライバルとは違う活動をするということは、言い換えてみれば、業界の標準のようなモデルがあって、それから、「何をして、何をしないのかを決める」ということだと思う。

たとえば、サウスウエスト航空の場合は、低価格にして、機内食、指定席、手荷物引き継ぎ、高級クラスなどなどをしないと決めたわけだ。

これは、想像以上に難しいことで、それは心理的に大きな壁があるからだ。

ライバルとはいえ、なかなか同じビジネスをしている人たちと違う活動はしづらいもの。
誰だって、人と同じようにしているのが安心な気持ちになるので。

だから、ライバルとは違う活動をして、
しないことを決めて、実際にしないでいることは正しい。
しかし、それを行うのは、また難しい。

けれども、そうしなければ、多くの同業他社と同じで
業界で埋没した存在になり、儲からない会社になってしまう。

ビジネスは簡単ではないですね。

競争戦略論〈1〉マイケル・E. ポーター (著)#143

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「ダイナシティの挑戦」鶴蒔靖夫 (著) と「1R(ワンルーム)男」杉本宏之 (著) #141,142

6月 25th, 2010 by blogown

「ダイナシティの挑戦」鶴蒔靖夫 (著) と「1R(ワンルーム)男」杉本宏之 (著) の2冊を読んで、まとめてみること・・・

それは、「倒産した不動産デベロッパーにその流れを学ぶ」である。

マンションデベロッパーになるルートは、次の通り。

1.マンションの仲介、または販売代行をする。
これは、つまり、元手をかけずに、マンションを販売していくということだ。
もちろんマージンは低いが、元手をかけず、営業の力を示す効果がある。

2.人脈から物件を仕入れて、販売する。
これは、1で種銭をつくった後、販売する物件を仕入れて販売していくということだ。
物件を仕入れることで、在庫リスクは増えるが、マージンは厚くなる。

3.仕入れる規模が大きくなっていく。
これまで、仕入れる物件も、マンション数戸程度であったのが、
マンション数フロアとなっていき、最終的には、マンション一棟を仕入れることになったりする。

4.自社で土地を仕入れて、デベロッピングし、販売する。
ここまでで蓄えた資金と銀行からの借金で、土地を買い、1年近くかけて建物を建築して、販売する。

ここからは、新興デベロッパーがたどりやすいルート。

5.デベロッピングによる成功で、大きな成長を遂げる。
たとえば、エスグラントコーポレーションの場合、年商179億円へと成長を遂げた。

6.売れない物件も出てくることで、在庫が積みあがる。
完売すればいいものの、すべてがすべて売れるとはかぎらず、売れない物件も出てくる。
そうなると、不良在庫が積みあがってしまうことになる。

7.仕入れた土地の価格が下落し、販売マンションに利益が乗せられず、収支が狂う。
さらには、もし、土地の価格が下落局面であった場合、
デベロッピング用に仕入れた土地がその資産価格を減少させることになる。

販売マンションの価格には、もちろん、仕入れ値(土地の購入代金)分が含まれており、
それが現在に比べて高いということは、割高な仕入れ値であるが、それを価格に転嫁させなければならない。

しかし、マンションの販売価格はというと、周辺の価格と比べられるため、そこまでの値上げは困難。

であるために、マンションを販売していったところで、利益は出ず、収支が狂う。

8.かといって、人件費などの固定費の支出は必要となり、状況はまずいがデベロッピングし続けないと、経営が回らなくなる。

土地の価格が下落しているときは、何もしなければいいのだろうが、
何百人も雇用していたり、自社ビル含めて、オフィスを借りていたりするのだから、
何もしなくても出て行くお金はあるわけで、売上を上げ続けるためにも、デベロッピングし続けなければ、なかなか回らない。。。

9.経営が厳しいところに、銀行の融資も渋くなり、資金繰り難になり、倒産する。

そうなると、やはりすべての計算が狂っていき、銀行も貸してくれなくなり、
かといって、マンションも売れず、含み損も増えていく。

ゆくゆくは、資金繰りに窮するようになり、多くは倒産への道をたどる。

デベロッパーというのは、巨額の先行投資を行い、
1-2年かけて、物件を完成させ、販売して、回収していくビジネスであるのだから、
土地の価格リスク、在庫リスク、資金繰り問題など、色々と難しい経営課題を背負っているモデルだと感じる。

ダイナシティの挑戦 鶴蒔 靖夫 (著)
1R(ワンルーム)男 杉本 宏之 (著)
上記の著者の経営していた会社、ダイナシティ、およびエスグラントコーポレーションは、両社とも、民事再生法が適用されています。

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高収益企業のつくり方 稲盛 和夫 (著) #139

6月 10th, 2010 by blogown

京セラを設立し、株式上場、第二電電(現KDDI)を設立、日本航空の会長に就任という経歴を持つ、著名な実業家である稲盛和夫氏が、ありふれたビジネスを魅力ある事業に成長させる秘訣、経営の悩みに答えたのが本書。

全体的に会社経営、ビジネスをしている人には、非常に参考になる内容。

個人的に印象的だったのは、ビルのメンテナンス業をしている人との問答。

テーマは「トップとして何を優先課題に取り組むべきか」。

質問内容は、要約して言えば、

『先代から引き継いだビルのメンテナンス業をしていますが、利益率が低いです。その理由は、自分なりに考えたところ、当社の従業員が、私が言ったことしかやろうとしないからではないかと思っております。それで、色々やったのですが、どれも中途半端。何からすればよいかわからない状態です。どうすればいいですか??』

稲盛氏の回答はうならされるもので、非常に参考になる。
その前に、この質問者の問いにつっこみを入れたくなる。

『従業員から質問されても、答えに窮している自分に自信をなくしています。逃げるつもりはないのですが、先代から受け継いだ事業であり、自分がやりたくてやったわけではありません。誰にも負けない努力をしろと言われても、弱音を吐きたくなるというのが本音です』

本音が出てるー(笑)。
ただ、覚悟を持って受け継いだからには、自分の力でやるべきだ、とも思う。

稲盛氏の回答は、

『あなたはビルのメンテナンス事業と清掃事業に徹するべきです。清掃事業であれば、「掃除のことなら私どもにお任せ下さい。床でもタイルでも、どこよりもピカピカにしてみせます」と言えるように技術を磨き、誠意あふれるサービスを提供するのです。そうしてお客さまの信頼を得ることができれば、注文が次々と舞い込むはずです』

つまり、本業を徹底的に突き詰めること、というわけだ。

本業のコアの部分。
清掃事業でいえば、掃除の品質。

そういう一番コアの一番肝心なところを徹底的に突き詰めること。
品質の向上。

それが本当は一番大事なことなのだと気づかされます。

高収益企業のつくり方 稲盛 和夫 (著) #139 You can buy this book on amazon.

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IKEA 超巨大小売業、成功の秘訣 (単行本) リュディガー ユングブルート (著) #138

6月 5th, 2010 by blogown

僕がイケア(IKEA)に対して、そもそも持っていたイメージは「安くて、デザイン性の高いものを売っている会社」そして、3兆円近い資産を有する世界でトップ10に入る億万長者「イングヴァル・カンプラード(Ingvar )」である。

本書には、イケアがどのように生まれ、どのように育ったのかが書かれている。
そして、それは創業者の物語でもある。

イケアの成功は、低価格であったことが非常に大きな割合を占めている。
つまり、そこそこの品質で、とびっきり安い価格の家具を売っているからこそ、誰もが買うというわけだ。

そして、その成功の秘訣を一言で言うと、大量生産である。

イケア総帥イングヴァル・カンプラードは、ケチで倹約家で、低価格が信条の男である。
彼がしたことは、均一の家具を大量に生産して、大量に売りさばくということだ。

現在、イケアはグローバルに活動しており、世界の36の国と地域に合計278店舗を展開しているが、販売している商品は、いくつかの例外を除いて、共通しているという。
つまり、イケアは全世界に均一な家具を販売しているというわけなのだ。

そして、もうひとつの要因「デザイン性」についてだ。
そもそも、イケア創業者には、デザインの才能や美的感覚はほとんどなかった。
それは、現実の生活とかけ離れていたということが理由としてある。

そういう状況下で、カンプラードの部下たちの推進によって、デザインを完全にあきらめるのではなく、デザインに生産性を伴わせ、安く大量生産できるようにしていったのだ。
だが、基本的に、カンプラードの頭にあったのは、価格・価格・価格であったのだが。

そういうイケアの物語。
興味深い。

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