
6月 10th, 2010 by

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京セラを設立し、株式上場、第二電電(現KDDI)を設立、日本航空の会長に就任という経歴を持つ、著名な実業家である稲盛和夫氏が、ありふれたビジネスを魅力ある事業に成長させる秘訣、経営の悩みに答えたのが本書。
全体的に会社経営、ビジネスをしている人には、非常に参考になる内容。
個人的に印象的だったのは、ビルのメンテナンス業をしている人との問答。
テーマは「トップとして何を優先課題に取り組むべきか」。
質問内容は、要約して言えば、
『先代から引き継いだビルのメンテナンス業をしていますが、利益率が低いです。その理由は、自分なりに考えたところ、当社の従業員が、私が言ったことしかやろうとしないからではないかと思っております。それで、色々やったのですが、どれも中途半端。何からすればよいかわからない状態です。どうすればいいですか??』
稲盛氏の回答はうならされるもので、非常に参考になる。
その前に、この質問者の問いにつっこみを入れたくなる。
『従業員から質問されても、答えに窮している自分に自信をなくしています。逃げるつもりはないのですが、先代から受け継いだ事業であり、自分がやりたくてやったわけではありません。誰にも負けない努力をしろと言われても、弱音を吐きたくなるというのが本音です』
本音が出てるー(笑)。
ただ、覚悟を持って受け継いだからには、自分の力でやるべきだ、とも思う。
稲盛氏の回答は、
『あなたはビルのメンテナンス事業と清掃事業に徹するべきです。清掃事業であれば、「掃除のことなら私どもにお任せ下さい。床でもタイルでも、どこよりもピカピカにしてみせます」と言えるように技術を磨き、誠意あふれるサービスを提供するのです。そうしてお客さまの信頼を得ることができれば、注文が次々と舞い込むはずです』
つまり、本業を徹底的に突き詰めること、というわけだ。
本業のコアの部分。
清掃事業でいえば、掃除の品質。
そういう一番コアの一番肝心なところを徹底的に突き詰めること。
品質の向上。
それが本当は一番大事なことなのだと気づかされます。
高収益企業のつくり方 稲盛 和夫 (著) #139 You can buy this book on amazon.
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3月 6th, 2010 by

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ニューコア – Nucor Corporation。
ニューコアはすごい。
ニューコアのすごさは、たしかにインテグレーテッド・ミル(高炉)ではなく、ミニミル(電炉)を活用している点や、薄スラブ連続鋳造技術の導入といったテクノロジーが背景にあるのかもしれない。
しかし、それと同時に、従業員と経営陣との関係、経営姿勢がすごい。
その経営姿勢が、自らが大企業にもかかわらず、常識を常に疑う姿勢を保てている要因なのだと感じた。
では、その「経営姿勢」とはどのようなものなのか。
それをちょっと見ていきたい。
端的にそれを示しているのが、明確な原則である。
ニューコアでは、従業員と経営者の関係は次の四つの明確な原則の上に成り立っている。
(1)従業員がその生産性に応じて報酬を受ける機会を持てるように会社を経営することは、経営者の義務である。
(2)今日の職務を適切に果たしさえすれば明日もまた自分に仕事があることを、従業員は確信できなくてはならない。
(3)公平な処遇を受けることは従業員の権利であり、従業員は自分が公平な処遇を受けるであろうことを確信できなくてはならない。
(4)処遇が公平でないと思う従業員には、改善を申し出る何らかの方法が与えられなければならない。
このような原則、ある意味、当たり前のように感じるが、たいていはできていないようなことが実際に原則として提示されてあることは意義深い。
では、実際にどのように運営されているのか、その前に、著者・ケン・アイバーソン氏の主張を聞いてから見ていきたい。
人がやる気を起こす理由は、煎じ詰めれば次の三つの理由による。
(1)平均以上の収入を得るチャンスがある。
(2)雇用が保証されている。
(3)昇進のチャンスがある。
給料がよくて、クビになる心配がなく、昇進の見込みがあるのでなければ、そのほかのことはたいして意味を持たない。
それでは、実際にニューコアでの運用を見ていこう。
・ニューコアの生産労働者の基本給は業界平均より低い。
それは、基本給をはるかに上回る週間ボーナスを稼いでおり、低いときで基本給の100%、高いときは200%超だという。
現場勤めの典型的な従業員は、時間当たり8-9ドルの基本給に加えて、出来高払いのボーナスを時間当たり16ドル以上受け取ることもあるということ。
ニューコアの工場労働者の1996年の平均年収は6万ドルを超えた。これは業界最高水準。
・週間ボーナスを得るために必要なことは、1.チームで働き、2.生産すること。
1チーム、20-40人。チームに対して、生産基準量が設定されている。
その基準を超えた生産量に対し、ボーナスが支給される。
・生産部門以外の従業員にもボーナス支給基準がある。
エンジニア、秘書、事務職員、受付係など、非現業社員たちにも独自のボーナス支給基準がある。
これはそれぞれの事業所の総資産利益率に基づいて算出されている。
これによって彼らは仕事の能率を上げ、顧客との関係を強化し、生産労働者の助けになることなだったら何でもするように動機付けられる。
根底にある思想について、こう述べられている。
「われわれは製品に含まれる人件費が問題だと考えています。競合他社の二倍の給料を払ったとしても、社員がやる気を出して、よその三倍の生産を上げるなら、わが社の製品は相対的に安くなる計算じゃありませんか」
1996年、ニューコアの人件費(付帯給付を含む)は、鋼材1トン当たり40ドルをきった。大手鉄鋼会社のおよそ半分だ。
鉄鋼会社としては、ローコスト、ロープライスの製品を販売しているポジションのニューコア。
たしかに、製品コストは、ローコストなのだが、従業員の給料は業界最高水準。
そのギャップは、やる気を引き出すための報酬体系、インセンティブによって形成されているのだ。
総じて感じることは公平さ、フェアである、ということだ。
フェアな環境づくり、重要である。
真実が人を動かす―ニューコアのシンプル・マネジメント ケン アイバーソン (著) #133 You can buy this book on amazon.
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12月 18th, 2009 by

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本書はどのような本かというと、振り込め詐欺の実態に迫った本である。
犯行グループへの取材(大変だー)をしたり、聞き込みをしたりで、120日間かけて取材した結果だそうだ。
自分も同じようなことをしているから、その苦労がわかる。
なんといっても、振り込め詐欺について詳細を語ることができるのは、実行した人なのだから、つまりは、犯罪者なわけだ。
普通の取材とは違って、逮捕されていない犯罪者にインタビューとは、また困難なことだと思う。
そのような困難を通じて見えてくる、振り込め詐欺の舞台裏を垣間見ることができる。
本書を通して、振り込め詐欺を見たとき、感じたのは2点。
1.振り込め詐欺も、結局は、普通のビジネスとほとんど変わらない
2.優秀な人物は、たぶん、何をしても優秀なのだ
1.振り込め詐欺も、結局は、普通のビジネスとほとんど変わらない
”詐欺の男”タカハシは、振り込め詐欺の拠点のことを「店舗」と呼び、加えてこう語ったそうだ。
「だいたい1日にかけるのは、200件とか300件とか。もう普通のテレアポみたいな仕事ですよ。遅刻したら、その日の取り分はなしで。時間厳守で、普通の会社並みに、うるさくやってましたね」
さらに、タカハシは、手書きのA4の紙を取り出した。
それは、詐欺のマニュアルで、だましのテクニックを仲間内で共有していたという。
別のグループ、平成19年9月16日に逮捕された、仲間内から「キング」と呼ばれた戸田雅樹被告の話。
戸田被告の元には、それぞれ数人からなるグループが少なくとも6つあり、それぞれに現場責任者を置いて、まるで会社のような組織を作り上げていた。
構成図も本書には図表として挙げられているが、通称「キング」を中心に、それぞれの現場責任者がリーダーとなり、数名の部下(だまし役)を管理する組織になっている。まさに、企業の営業組織である。
2.優秀な人物は、たぶん、何をしても優秀なのだ
第7章に書かれた、十数の詐欺グループを統括しているという男”顧問”の話。
31歳で、もともと、東京の六大学を卒業し、数年前まで一部上場の一流企業に勤めていたという。
詳細は、長いので、書ききれないが、とにかく頭の切れる人物であることが、読み取れるのだ。
携帯電話やATMの仕組みを熟知した上で、警察の捜査の手の内まで読んで逮捕を免れようとする”顧問”。
完全に犯罪者なのだが、優秀な人物だと思う。
著者も同じように感じたようで、こう書いている。
それだけの頭脳や情熱を、社会の発展に振り向けられなかったのかと思わずにはいられなかった。
社会について、振り込め詐欺について、ビジネスについて、さまざまなことを考えさせられる一冊。
職業”振り込め詐欺” NHKスペシャル職業”詐欺”取材班 (著) #122 You can buy this book on amazon.
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11月 25th, 2009 by

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本書で、とりわけ印象的だったのは2点。
なぜなぜ分析で真の原因を「見える化」する
ある問題を解決したいとき、「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」とその因果関係を辿っていく。すると五回くらいで問題の本質に行き当たる、という思考方法のことだ。
中期計画からの課題「人事総務部門の体制強化、効率化」
現状の問題点「非効率」
なぜ1「各工場に業務の担当者がたくさんいるから」
なぜ2「同じような業務を、各工場でバラバラにやっているから」
なぜ3「各工場で異なるシステムを使っているから」
なぜ4「ローカルルールをに応じてシステムを作っているから」
なぜ5「「工場主義」により工場ごとにルールが決められているから」
昔、アニメの「一休さん」で、「どちて坊や」という子がいたのを思い出した。
「どちて坊や」は、なにかにつけて「どちて?」と聞く子で、多くの人が答えられなかったり、いらだったりするキャラクターなのだが、物事の追求に関しては、大変優れた子供だと思う。
なぜなら、一般的な先入観なしで、物事に対して、「どうして?」と問いかけ、本質を追求しようという姿勢を持っているからだ。
上記の「なぜなぜ分析」も、「どちて坊や」も同じこと。
一休さんにおける「どちて坊や」は、作者による何らかのメタファーなのでは、と思ったりした。
他には、感覚の曖昧さについて。
ヒアリングしながら気をつけたのは、質問に数字で答えてもらうことだ。
「すごく大変って、具体的には一ヵ月当たり何時間のことですか?」と聞いていく。
「ざっとでいいんですよ、三〇分か、三時間か、三〇時間か、というレベルでまずは把握したいので」
なんとか聞き出すと、同じ「すごく大変なんですよ」でも一〇分の場合もあれば、一〇〇時間の時もあった。
人の感覚は、曖昧なものだ。
ある人にとっての「簡単なこと」は、ある人にとっては「大変なこと」。
ある人にとっての「超えられない壁」は、ある人にとっては「ワクワクするハードル」。
明確に、その状況を把握するためには、補完的な部分ででも、きちんと数値で示さなければならないのだと感じた。
本書のメインの議論からは外れているかもしれないが、ふと強く感じたことがあった一冊。
プロジェクトファシリテーション 白川 克 (著), 関 尚弘 (著) #119 You can buy this book on amazon.
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