GMとともに アルフレッド・P・スローンJr. (著), 有賀 裕子 (著) #165

7月 25th, 2011 by blogown

本書は、世界屈指の巨大企業、GMを率いた歴史的リーダー、アルフレッド・P・スローンが、経営哲学、組織、制度、戦略などについて書いたもの。

印象的だった部分のひとつが、報酬制度についての部分だ。

ボーナスは一部ないし全部がGM株式で支払われるため、経営の舵取り役が株主を兼ねることとなり、経営陣と株主の利害が一致するのだ。

このため、経営陣は常に多数のGM株式を保有しているー「多数の」というのは、発行済み株式全体に占める比率が高いのではなく、個人資産に占める比率が高いという意味だが。

個人資産のかなりの部分が自社株で占められていれば、経営者は単なる雇われ経営者としてではなく、株主と利益を一つにしていると強く意識しながら任務に当たれる。

この種の問題は、コーポレートガバナンス(企業統治)の問題だ。

経営陣が自分たちは、自社株を有していないとなると、会社がつぶれてもいいことになるし、真剣味もでないし、リスクも負わない。悪いケースになると、会社から自分たちのところに利益誘導を行うことになる。

これは、経営側と株主側の利害の不一致から起こる。

これを打開するには、結局は、利害の一致、つまりは、経営陣が自身の個人資産のかなりの部分を自社株で保有することが必要となる。

これによって、経営がうまくいかないと、自分の懐も痛むということで、真剣に動く。
本気で動くことになる。

本質的な部分で大事なのは、この本気度だと思う。

一般に「ワンマン」は悪い意味で使われがちではあるが、優位な点もある。
それは、ワンマンな人が全部のリスクを背負い、全部の責任も背負って、本気で働くからだ。
自分で出資し、自分で経営する。そして、自分で借金も個人保証するのだ。

そういうリスクや覚悟が、本気度につながり、結果が出る。

それが、いわゆる経営者とサラリーマンの違いでもある。

巨大企業でさえ、初期のころには、財務コントロールができていなかったり、組織体制もきちんとしていなかったという話もでてきて、どこも同じなのだと感じる。

マイクロソフトのビル・ゲイツも本書を愛読書だと述べている。

それほど厚みのある(内容の厚みも、ページ数の厚みも500ページで厚いが)本だ。

GMとともに アルフレッド・P・スローンJr. (著), 有賀 裕子 (著) #165

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競争戦略論〈1〉マイケル・E. ポーター (著)#143

6月 30th, 2010 by blogown

ハーバード大学の著名な教授、マイケル・ポーターの論文集を書籍にしたものが本書。

「一体、戦略とはなんぞや?」と思いますが、
マイケル・ポーターが端的に述べています。

『競争戦略の本質は差別化である』、『戦略の本質は、活動そのものにある。同じ活動をライバルとは違うやり方で進めたり、競合他社とは違う活動に着手する、それが戦略である』という。

わかりやすい例として挙げられているのが、
フルサービスの航空会社とサウスウエスト航空の対比。

フル・サービスの航空会社:
・ほぼあらゆる発着地間で乗客を輸送する体制
・乗り継ぎできるように、ハブ・アンド・スポーク・システムを採用
・ファーストクラスやビジネスクラスを提供
・スケジュール調整、手荷物引き継ぎ
・機内食を提供

サウスウエスト航空:
・特定のタイプの路線のみ
・発着作業時間がわずか15分なので、少ない機数で運航可能
・機内食、指定席、手荷物引き継ぎ、高級クラス、すべてなし
・機体はボーイング737で標準化

ライバルとは違う活動をするということは、言い換えてみれば、業界の標準のようなモデルがあって、それから、「何をして、何をしないのかを決める」ということだと思う。

たとえば、サウスウエスト航空の場合は、低価格にして、機内食、指定席、手荷物引き継ぎ、高級クラスなどなどをしないと決めたわけだ。

これは、想像以上に難しいことで、それは心理的に大きな壁があるからだ。

ライバルとはいえ、なかなか同じビジネスをしている人たちと違う活動はしづらいもの。
誰だって、人と同じようにしているのが安心な気持ちになるので。

だから、ライバルとは違う活動をして、
しないことを決めて、実際にしないでいることは正しい。
しかし、それを行うのは、また難しい。

けれども、そうしなければ、多くの同業他社と同じで
業界で埋没した存在になり、儲からない会社になってしまう。

ビジネスは簡単ではないですね。

競争戦略論〈1〉マイケル・E. ポーター (著)#143

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サプライチェーンの経営学 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (著) #126

1月 31st, 2010 by blogown


『サプライチェーンの経営学』の第2章「ザラ:スペイン版トヨタ生産方式」を読んで。

ザラ(ZARA)は、街角でも見かけ、知名度もそれなりに高いが、ビジネスの内部については、あまり公になっていない。秘密主義的なスタンスだかららしい。

そんななかでも、本書には、ベールに包まれたザラの一端を垣間見ることができると同時に、書かれている部分は、ビジネスを考える上で、とても興味深いことがたくさん書かれてある。

本書のメインは、ザラのサプライチェーン・プロセスの解明・解説である。
本書によれば、ザラはサプライチェーンの自己強化システムがあり、次の三つの原則のうえに築かれているという。

1.コミュニケーションの輪をつなぐ
2.サプライチェーンに全体に一定のリズムを与える
3.現有資産を活用してサプライチェーンの柔軟性を高める

私が本書を読んだときに、強く感じたことは、ビジネスでは、プロセス全体を通してのコミュニケーションの緊密さが非常に重要なのだということだ。

ザラの場合であれば、顧客と店長、店長とマーケターやデザイナー、デザイナーと生産担当者、バイヤーと下請け会社、倉庫管理者と各店舗の間での情報交換。

つまり、顧客のニーズ・嗜好を敏感に汲み取り、それをデザイナーから、生産担当者などにつなぎ、店頭に並べ、顧客に購入してもらう。

一連のプロセスのスムーズさには、必然的に、それらをつなぐ緊密なコミュニケーションが必要となる。

もし、コミュニケーションが悪ければ、不良在庫になったり、ミスが起こったりする。

それは、ザラのような商品寿命の短いタイプのビジネスにかぎらない。
どのようなビジネスにおいても、ビジネス全体に関与している人同士の密なコミュニケーションはよりうまくビジネスをするうえでは重要なことだろう。

最後に。
創業者・アマンシオ・オルテガ・ガオナのメッセージ「片手は工場に、もう一方の手は顧客に触れていなければならない」は名言である。

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プロフェッショナルの条件 P・F. ドラッカー (著),上田 惇生 (著) #109

9月 24th, 2009 by blogown


知識労働者にとって、時間という資源は最も貴重なものである。
そのことをドラッカーは芸術的に表現する。

『成果をあげるものは、時間が制約要因であることを知っている。
あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、もっとも欠乏した資源である。

それが時間である。

時間は、借りたり、雇ったり、買ったりすることはできない。
その供給は硬直的である。
需要が大きくとも、供給は増加しない。
価格もない。
限界効用曲線もない。
簡単に消滅する。
蓄積もできない。
永久に過ぎ去り、決して戻らない。
したがって、時間は常に不足する。
時間は他のもので代替できない。』

時間は代替不可能な資源であり、人生そのものでもある。
あらゆるプロセスにおいて、時間は必要であるし、かかる時間を減らせば、その分、別の事柄をすることができる。実現可能なコトの数・量を増やすためにも、充実した人生のためにも、時間を十分に意識することは重要だ。

ドラッカーの提唱する時間管理のヒントは、時間の使い方を記録した上で、仕事を整理することだ。

『第一に、する必要のまったくない仕事、すなわち、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、捨てなければならない。』

『第二に「他の人間でもやれることは何か」を考えなければならない』

『第三に、自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除しなければならない』

つまり、不要なコトを避け、他の人でもやれることは他人に任せ、それ以外の時間浪費要因をなくすことである。

実に基本的なアプローチではあるが、なかなか意識していたとしても、実行するのは難しい。そこにこそ、時間管理の難しさがあるのだろう。

最後にとても気になったのは、リーダーシップの本質についての記述。

『効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。
リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を決め、それを維持する者である。
もちろん、妥協することもある。』

リーダーについて、考えさせられる。

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