ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を 菊地 敬一 (著) #163

4月 10th, 2011 by blogown

あまりに積みあがって、スペースを取り始めた書籍群を整理しようとしているとき、
一冊の文庫本が目に留まった。

それは、以前、買って、一度くらい読んだ本だった。

それが本書『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』だ。

『ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を』

本書は、1986年に名古屋で誕生した本屋「ヴィレッジ・ヴァンガード」の
創業者、菊池敬一氏によるエッセイ集。

文章も、多読家だけあって、ユーモアあふれる文章で、読んでいて面白い。

当初、僕が期待していたのは、
ヴィレッジ・ヴァンガードの創業記だったが、期待のものはそれほど書かれていなかった。

けれども、本書には、それに匹敵するようなことが書かれていた。

僕が本書を読み通して感じたのは、

「ヴィレッジ・ヴァンガードという本屋は、それ自体が、この菊池敬一という人物のキャラクターそのものなのだ」ということだ。

つまり、この会社、このビジネス自体が、創業者、菊池敬一そのものなのだ

菊池敬一=ヴィレッジ・ヴァンガード

本書では、ヴィレッジ・ヴァンガードのお客の一タイプをこう想定している。

「ヴィレッジ・ヴァンガードスタイル
A学院大学建築学部四年B君の部屋
自宅生。第二志望のデザイン会社に内定をもらったので、そこへ行くことに決めている。免許は持っているが、車は所有してない。最初に買う車は中古のロータス・セブンと決めている。アルバイトで得た金はかなりの額になるが、堅実な彼は、ローンの負担を少なくするため夏休みいっぱいアルバイトしようと思っている。それまでの足は二年前に買ったクラシックベスパで充分だ。このベスパも気に入っているので、セブンを得ても手放す気はない。夏休みが終わり、九月になったら、目をつけていたセブンを買い、信州をのんびり10日くらいかけてドライブ旅行したいと思っている」

ヴィレッジ・ヴァンガードという本屋は、それ自体が、
この菊池敬一という人物のキャラクターそのもので、ヴィレッジ・ヴァンガードのお客様も、
彼に似た人で、彼の考え、感覚に共感を持つような人物なのだ。

それは、もちろん本書でもうたわれていた。

ヴィレッジ・ヴァンガードの理念(のようなもの)

(中略)
一、オーナー、店長のパーソナリティ、バックボーンを店に反映させよう。

創業者の個性が、その会社の個性をあらわす

僕は、いままで普通の人よりも多く、経営者を見てきただろうし、ビジネスに触れてきたほうだと思う。

そうしたことから考えてみても、思う。

本質的に、会社・ビジネスは、オーナー・創業者のパーソナリティが反映されている

誤解をおそれずにいえば、
ビジネスはそのオーナーのパーソナリティそのものがあらわれているものだ。

だから、ヴィレッジ・ヴァンガードの創業者である菊池敬一氏そのものが、
ヴィレッジ・ヴァンガードであり、お客様もまた、ヴィレッジ・ヴァンガードに共感し、
好きだと思い、そして、同じように菊池敬一氏にも共感し、似ているのだ。

だからといって、儲かるって話でもない。

けれども、ビジネスというものは、そういうものなのだろう。

ビジネスは、創業者・社長そのものをあらわしているのだ。

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ザ・プロフィット エイドリアン・J・スライウォツキー (著)#144

7月 5th, 2010 by blogown

本書は、経営コンサルタントのエイドリアン・スライウォツキーが
利益をテーマに、経営戦略などの観点から、ビジネスモデルを見通していったもの。

全体として、ビジネスをやっていく上では、非常に有益なポイントが多いのだが、
今回、個人的に特に参考になったのは、次の点。

・製品ピラミッドのなかで、廉価商品は利益を上げるために存在しない。

製品ピラミッド利益モデルについての解説から。
バービー人形を販売している会社マテルが例にとられて説明されている。

バービー人形は、20ドルとか30ドルで売られている。
他社はこの低価格史上には簡単に参入できる。

そこで必要なのが防火壁(ファイアウォール)だ。
他社の追随を防ぐために、10ドルのバービー人形を売り出して
廉価市場への他社の参入を封じ込める。

ここではほとんど利益は上がらないが、
他社が自社の顧客と関係を結ぶ道を塞ぐことはできる。

ピラミッドの最下層にはファイアウォールとして機能する防衛のための製品が、
そして最上層には強力な利益製造マシーンが配備されている。

このテーマについて端的に表現されているのが、この箇所だ。

そもそもピラミッドとは、低価格帯商品を売ることで、
他社がもっと安い値段で市場シェアを奪う可能性を実質的に断ち切るシステム
なんだ。

「なぜ、製品ライン、製品ピラミッドが存在しているのか」ということの回答。
それは、ライバル・競合他社に、付け入るスキを与えないため。

ビジネスって戦争ですね。

ザ・プロフィット エイドリアン・J・スライウォツキー (著)

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借金の底なし沼で知ったお金の味 金森 重樹 (著) #140

6月 19th, 2010 by blogown

金森重樹氏の著書。

率直な感想を述べると、「生々しい」。

25歳でフリーターだった金森氏。
先物取引によって数千万円の借金をつくってしまう。。。

結局は、借金1億2000万円、利息24%ということに、、、

当時の破産法では、投機的な行為での借金は免責不許可事由とされて、破産もできない状態。

絶望感に満ちた日々。
それが、金森氏の東京に出てきてからの18年間。

その話が、克明に描かれています。

現実の社会では、あまり目にすることはないにしろ、こういうことも存在しているということが痛感させられる。

そういう状態で、彼が求めたのは「理詰めで億万長者になる方法」。

『事業はロジックによってきっちりと仕上げるもの』

『事業をやるのに度胸が必要だと考えるようでは、まだ不確定要素が潰しきれていませんので、その事業をスタートする段階ではありません』

その言葉たちからは、金森氏自身の高い知性と同時に、借金のプレッシャーのなかで苦しみ、叩き上げられた力が感じられる。

借金地獄を疑似体験できる、そんな良書。

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職業”振り込め詐欺” NHKスペシャル職業”詐欺”取材班 (著) #122

12月 18th, 2009 by blogown


本書はどのような本かというと、振り込め詐欺の実態に迫った本である。
犯行グループへの取材(大変だー)をしたり、聞き込みをしたりで、120日間かけて取材した結果だそうだ。
自分も同じようなことをしているから、その苦労がわかる。

なんといっても、振り込め詐欺について詳細を語ることができるのは、実行した人なのだから、つまりは、犯罪者なわけだ。
普通の取材とは違って、逮捕されていない犯罪者にインタビューとは、また困難なことだと思う。

そのような困難を通じて見えてくる、振り込め詐欺の舞台裏を垣間見ることができる。

本書を通して、振り込め詐欺を見たとき、感じたのは2点。

1.振り込め詐欺も、結局は、普通のビジネスとほとんど変わらない
2.優秀な人物は、たぶん、何をしても優秀なのだ

1.振り込め詐欺も、結局は、普通のビジネスとほとんど変わらない

”詐欺の男”タカハシは、振り込め詐欺の拠点のことを「店舗」と呼び、加えてこう語ったそうだ。

「だいたい1日にかけるのは、200件とか300件とか。もう普通のテレアポみたいな仕事ですよ。遅刻したら、その日の取り分はなしで。時間厳守で、普通の会社並みに、うるさくやってましたね」

さらに、タカハシは、手書きのA4の紙を取り出した。
それは、詐欺のマニュアルで、だましのテクニックを仲間内で共有していたという。

別のグループ、平成19年9月16日に逮捕された、仲間内から「キング」と呼ばれた戸田雅樹被告の話。

戸田被告の元には、それぞれ数人からなるグループが少なくとも6つあり、それぞれに現場責任者を置いて、まるで会社のような組織を作り上げていた。

構成図も本書には図表として挙げられているが、通称「キング」を中心に、それぞれの現場責任者がリーダーとなり、数名の部下(だまし役)を管理する組織になっている。まさに、企業の営業組織である。

2.優秀な人物は、たぶん、何をしても優秀なのだ

第7章に書かれた、十数の詐欺グループを統括しているという男”顧問”の話。
31歳で、もともと、東京の六大学を卒業し、数年前まで一部上場の一流企業に勤めていたという。

詳細は、長いので、書ききれないが、とにかく頭の切れる人物であることが、読み取れるのだ。
携帯電話やATMの仕組みを熟知した上で、警察の捜査の手の内まで読んで逮捕を免れようとする”顧問”。

完全に犯罪者なのだが、優秀な人物だと思う。

著者も同じように感じたようで、こう書いている。

それだけの頭脳や情熱を、社会の発展に振り向けられなかったのかと思わずにはいられなかった。

社会について、振り込め詐欺について、ビジネスについて、さまざまなことを考えさせられる一冊。

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