貧困のリアル+“35歳”を救え  #134 & #135

3月 16th, 2010 by blogown

僕はラッキーだと思う。
今のところ、生活困窮している状態ではないし、今まで生活保護を受けることも、路上生活をすることもなかったからだ。

ただ、社会の影の部分は、想像以上に暗いのだということ、そして、機会の扉を開き続ける必要があることを痛感した。

まず、若年層の貧困層は、拠りどころとなる場所が存在しないということが極めて問題を深刻にしているのだと感じた。

10代や20代前半の貧困層は、親に頼れない状態の若者たちがほとんど。
児童養護施設の出身者も多く、家族がいない、家族がいるとしても親が生活保護を受けている。
もしくは親もホームレスになっている。
実家で肉体的、精神的な虐待があったりするケースもあるそう。

そして、いったん路上生活者になってしまうと、住所を失ってしまうので、再就職が極端に困難になり、住居なくして仕事には就けない。

自立支援センターが2000年にできたが、入居希望者が定員を大きく上回るため、抽選で当たるまで待つ必要があったりと、「命のくじ引き」が行われているそう。

実際、自立支援センターからアパートを借りて独立できるのは、三割程度といわれており、二割は住み込みの仕事へ、残り五割の多くはまた路上生活者へ逆戻りという。

運よく仕事を見つけられた人も警備や建築関係など日雇いの不安定な仕事に従事していて生活は安定しない。

住み込みであっても結局その職場をクビになったら、また路上生活。

そういうプロセスで、一度転落すると、抜け出せない仕組みになっているというのだ。

本書のオビが端的にこの問題を描き出している。

貧困はアリ地獄だ!!
働けど、働けど低賃金、
足を踏み外せば路上生活者
セーフティネットは穴だらけ!!

その一方で、貧困層ではない層、一般的な若者も、これまでの生活設計ではやっていけない面も出てきている。

たとえば、勤務先の会社の倒産。
必死の職探しで正社員で再就職したとしても、給与カットやリストラが待ち構えている。
不安で子供も持てない。

正社員から派遣社員へ。
一度、非正規社員になってしまうと、その後、正社員としての再就職をしたくても、なかなか抜け出せない。

不安定で、未来に希望が見出せない。
そんな現在の日本を象徴するような2冊。

ポジティブな戦略性、そして、国家レベルでの政策が必要なのだろう。

貧困のリアル 稲葉 剛 (著), 冨樫 匡孝 (著) #134 You can buy this book on amazon.
“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか NHK「あすの日本」プロジェクト (著), 三菱総合研究所 (著) #135
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Supermoney Adam Smith (著)(洋書) #121

11月 30th, 2009 by blogown


本書はアダム・スミスの書いた本だが、かといって、「見えざる手」や『国富論』のあのアダム・スミスではない。

ワイリー(アメリカの出版社)から新しいエディションが出ているようだが(下記写真)、とりあえず、僕の持っている本書は、RANDOM HOUSE NEW YORK(これもアメリカの出版社)から出版されたハードカバーの本で、なんと1972年に出たものだ。

まあ、本書は金融関係の本で、市場についてとか、ベンジャミン・グレアムについてなど、色々と投資関係のお話が出てくるわけだが、本書で特筆すべきなのは、そこではない。

本書の重要な価値は、無名時代のウォーレン・バフェット(僕の敬愛する)とのエピソードがあるという点である。

とりわけ印象的だったのは、居住地選びの点(よくウォーレン・バフェットが語っているところであるが)。

ニューヨークでも、ロサンゼルスでも、どこでも3時間くらいで行ける。そうして都市を訪れれば、楽しみたいことはすべて楽しむことができる。僕は、たぶん、ここよりも、ニューヨークとカリフォルニアのほうが、友人が多いと思う。けれども、ここは子供たちを育てるにはいい場所だし、住むにもいい場所だ。そして、考えごとをするには、とってもいい場所なんだ

住む場所は重要だ。
仕事も変われば、環境も変わる。
出会う人も変われば、できることも変わる。

ウォーレン・バフェットは、そういう重要な選択を上記の基準で選んだというわけだ。
バリバリ仕事をする人、市場との近接性が重要な人にとっては、異なる選択肢だろう。
しかし、彼にとっては、彼のベストプレースこそがネブラスカ州オマハだったということだ。

自分自身がどのような選択をするのかはさておいて、偉大なるウォーレン・バフェットの判断基準は参考になる。

もうひとつの点は、バフェットらしいエピソード。
おそらくは、ネブラスカ・ファニチャーマートのことだと思うのだが、話はベタボメするところから始まる。

『(翻訳すると・・・)
オマハの通りを車で走っていると大きな家具店を通り過ぎた。
ウォーレンは言った「あの店を見た?」

「あれは、本当に素晴らしいビジネスだよ。だって、a平方フィートの床面積で、年間販売数量がb。でも、在庫はたったのcだけなんだ。つまり、資本回転率はdなんだよ。」(アダム・スミスは、つまりは、数字を覚えていないわけだ。。。)

アダム・スミスは言った。”Why don’t you buy it?(何で買わないの?)”
ウォーレンは言った。「非公開企業なんだよ」
アダム・スミスは言った。「おぉ。それは、、、」

ウォーレンは言った。

「とにかく、買うよ・・・」
「いつの日にかね」

もし、それがネブラスカ・ファニチャーマートだとすれば、ウォーレン・バフェットは、その言葉をまさに実行に移したことになる。

なんというか、、、ウォーレン・バフェットっぽいエピソードで、大好きだ。

そんな話が書いてある本。

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貧困の終焉 ジェフリー サックス (著) + 世界を変えるお金の使い方 山本 良一 (著), Think the Earth Project (著) #103,104

8月 15th, 2009 by blogown

はるか遠くの地では、構造的な苦難に直面し、飢えと病気に苦しみ、汚染された飲料水を飲み、極貧のうちに生涯を終える人々が存在している。

経済発展をハシゴにたとえ、その段を上がることが経済的な幸福につながると考えるなら、世界中でおよそ十億人(全人類の6分の1)が現在、開発のハシゴの一番下の段にさえ、足のかからない人々が存在しているのだ。

本書は、私たちが生きているあいだに世界の貧困をなくすことについて書かれた本だ。

この世界がすべて正しい方向に進んでいるとはかぎらない。
アメリカ政府は4500億ドルを軍事費に回す一方で、世界の貧困対策には150億ドルしか投入していない。

世界の貧困を救うよりも、戦争に対して30倍ものお金を使っているというのが現実なのだ。

たとえば、ケニアのサウリでは、人々は飢えとエイズとマラリアに苦しんでいる。
成人のエイズ罹患率はおよそ30%。ほぼ全家庭が、エイズのせいで親を亡くした子供を引き取っている。しかし、その一方で、エイズ治療である抗レトロウイルス治療は、誰も受けていない。

4分の3の家庭には、マラリア患者がいる。しかし、すべての家庭がひとつ数ドルのマラリア予防の蚊帳を知っていて、使いたいと望んでいるにもかかわらず、実際に使っているのは200人中2人だけ。高すぎて、買うことができないのだ。

病気にかかってしまったとしても、事態は好ましいとはいえない。なぜなら、医師がいないからだ。それは、医師への給料が支払えず、薬も買えないためだ。

児童のほとんどは、授業料、制服代、備品などのお金がないことから、中学に進学できない。そして、ほとんどの児童は、授業のあいだ、空腹ですごすことが多い。

現状の問題を端的に述べよう。

この村や似たような世界中の貧しい村は、救うことができ、開発への道を歩むことができる。

しかし、自力ではできない。なぜなら、彼ら自身が自分たちでそのコストをまかなうには大きすぎる金額だからだ。

ただ、彼らにとっては大きすぎる金額でも、世界にとってはわずかな金額にすぎないのである。

では、このような飢えと病気と死によって彩られた極貧の社会を健康で経済開発の可能な社会へと変えるためにどのようにすればいいのだろうか。それには大きく5つの項目がある。

1.農業への投資
肥料、改良休閑地、緑肥、雨水貯留などの導入で、1ヘクタールあたりの食料収穫量を3倍に増やすことができ、長期的な飢餓の解消につながる。

2.基本的な健康への投資
住民5000人につき、医師と看護師1人ずつのいる診療所をつくり、マラリア予防の蚊帳を無料で配給する。基本的な各種医療サービスの提供。

3.教育への投資
児童の健康状態改善と教育成果、出席率向上のため、小学校の全児童への給食を受けられること。職業訓練の充実によって、近代農法、コンピュータなど、自立に必要な知識を学ぶことができる。

4.電力、輸送、コミュニケーション・サービス
電力によって、安全な水をくみ上げるポンプ、製粉、加工、電灯などが利用できる。加えて、移動手段の充実と外界とのコミュニケーションが可能になることで、社会的な孤立を防ぐことができる。

5.安全な飲料水と衛生設備
汚染された水を飲まずにすみ、女性や子供たちが毎日何時間もかけて水汲みしなくてすむようになる。

たとえば、ケニアのサウリ住民5000人に対して、これらのサービスにかかるコストは、トータルで年間35万ドル。サウリ住民1人あたりにすれば年間70ドル。

これらの項目に対して、世界にとってはわずかなコストを支払うことで、極貧住民たちの自立支援を行うことができるのである。

豊かな社会に生きているために気づかないでいるだけで、はるか遠くの地では極度の貧困にあえぐ人々がいる。

彼らは自分たちの声を伝えていくことができないために、多くの人は彼らの存在を意識することもなく日々をすごしている。

しかし、彼らの存在に気づき、少しでも何かできたとすれば、少しではあるが、よりよい社会になっていくのではないだろうか。

それでは、よりよい社会のために、私たちが何ができるのか、を考えてみよう。

参考になる書籍として、「世界を変えるお金の使い方」がある。

本書は、「お金をどのように使うべきか」について論じた本であり、社会貢献できるお金の使い方について書かれた本である。

世界をよりよい場所にするために、豊かな社会に住む私たちが少しばかりのお金でできることについて、わかりやすく伝えてくれている。

前述のジェフリー・サックスの書いた書籍の流れから、極度の貧困に関係するお金の使い方について、少し書き出してみる。

100円で・予防可能な感染症の中で死亡率が高く、手足に重い後遺症を残すポリオからミャンマーの子ども5人を守ることができます。

500円で・西半球の最貧国、ハイチ共和国の診療所で、不足しているお医者さんをひとり雇うことができます。

1兆2,000億円で・教育の機会を与えられていない世界中の子供たち全員が初等教育を受けられます。

最後の項目は、非常に大きな金額のように感じる。しかし、本書の下部には、こう書かれている。

「1兆2,000億円・世界全体の軍事費、4日分」
2003年の世界での軍事費は合計9,560億ドル
1日あたり26億2,000万ドル。

1週間分の軍事費を教育費に回せば1億人を超える子供たちが十分な基礎教育を受けられることになる。

誰かが言った。

「少年は年をとり、大人になるにつれて、社会の理不尽さについて学ぶ」

たとえ、大人になって、社会の理不尽さを学んだとしても、それに抗うことをやめてはならない。

自分だけの未来ではなく、社会全体の未来を。
世界をよりよい場所とするために。

本書には、具体的にどのようにアクション、行動すればいいのかが案内されているので、本書を参考に、具体的な行動をされてみてはいかがだろうか。

追記:
なぜ、このような格差が生じたのか。
なぜ、経済発展に差が生じたのか、というテーマについて深く知りたいと考えたとき、この問題の背景を知りたいと考えたときに参考になる本としては、「銃・病原菌・鉄(上下)」ジャレド ダイアモンド (著)(草思社刊)がある。
銃・病原菌・鉄〈上巻〉 ジャレド ダイアモンド (著)
銃・病原菌・鉄〈下巻〉 ジャレド ダイアモンド (著)

貧困の終焉 ジェフリー サックス (著) #103 You can buy this book on amazon.
世界を変えるお金の使い方 山本 良一 (著), Think the Earth Project (著) #104 You can buy this book on amazon.

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人生の短さについて セネカ (著) #102

7月 14th, 2009 by blogown

セネカは、二千年前の古代ローマ帝国を生きた思想家。哲学者にして、詩人・劇作家、政治家。

雑事をしているだけで、あっという間に時間は過ぎ去ってしまう。そのため、私たちは、毎日忙しい日々を過ごしています。

読まなければならない資料や本、雑誌。返信しなければならないメール、手紙。決断しなければならない事項の山。ある場所から、ある場所へと飛び回る移動。

私たちは日々、何かに追われるかのように時間をすごし、あっという間に過ぎ去っていく時間を振り返る時間すら、ほとんど残されていません。

そんな私たちに対して話しているかのように、二千年前に生きた思想家、セネカは「人生の短さ」について、このように話してくれています。

人生は短くなどありません。
与えられた時間の大半を、私たちが無駄遣いしているにすぎない
のです。

人生は十分に長い。
上手に使いさえすれば、偉業を成し遂げられるほどたっぷりと与えられているのです。

人間はそれを、何の役にも立てず湯水のごとく浪費した挙句、土壇場になってようやく気づくのです。

いつのまにか人生は過ぎ去ってしまった、と。

つまり、人は短い人生を与えられるのではなく、むしろ自分で短くしている。足りないのではなく、浪費しているというわけです。

価値ある情報が何も得られないようなテレビ番組や雑誌、ウワサ話、安易な娯楽、事務作業。そのような価値のないことに時間を浪費してしまうことこそが、自分自身の人生を短くしている原因であるというわけです。

では、なぜ、私たちは時間を無駄遣い、浪費してしまうのでしょうか?

時間が貴重なものであると、本当にわかっているのであれば、浪費することもないでしょう。

その理由についても、セネカは語っています。

人は、自分が永遠に生き続けるものと思っているからなのです。

自分の弱さなど少しも念頭になく、どれだけの時間が失われたかにも気づかない。
涸れることのない泉か何かのように時間を無駄遣いしている

そうやって他人やものごとのために使っている今日という一日が、最後の一日かもしれないというのに。

死を免れない者として何もかもを恐れながら、そのくせ不死の存在であるかのように、何もかもを手に入れたいと望むのです。

つまりは、自分の死について、人生の有限さについて、自覚できないということが理由なのです。

自分の人生に、まさか終わりが来るなどとは思ってもいませんし、今の日々がずっと続くものと思っているものなのです。

私自身を含めて、いくばくかの人たちが、自分の生き方や自分の振る舞いを振り返り、違う人生を生きるようになる原因のひとつは、「死に直面すること」であることが多々あります。

たとえば、それは父親といった肉親の死であったり、近しい友人の死であったり、はたまた自分自身が大病を患い、死を意識したというようなかたちで、訪れます。
しかし、たいていの人にとっては、死は自分の人生からは、ほど遠い存在、普段はまったく意識することのない存在であることから、人は人生が永遠に続くものと思ってしまうのです。

これまで話してきたように、人生には限りがある一方で、私たちは無駄遣いをしてしまっていて、自らの人生をより短いものにしてしまっているのです。

それでは、人生を最大限に活用し、何かを成し遂げるためには何をすべきなのでしょうか?

それは、「自分の人生において、価値のあることに時間を配分する」ということです。

人の時間は有限で、どんなにお金持ちでも、1年は365日で1日は24時間しかありません。

しかし、一方で、何かをなすには時間と労力が必ず必要になってきます。

つまり、人は自身の限られた資源をいかに配分すべきか、という判断を慎重にしなければならないというわけです。

なぜなら、無価値なものに時間を配分してしまうと、それは、価値あることに配分できたはずの時間を失ってしまうことと同義だからです。

また、このことは、同じ年齢でも、成果をあげた人とあげていない人の違いを生み出している要因のひとつでもあります。
セネカはこう語っています。

相手の白髪やしわを見ただけで、長く生きてきた人間と思うのはおやめなさい。
長く生きてきたのではなく、長く存在してきただけかもしれないのです。

それはまるで、港を出た直後にひどい嵐に遭った男を見て、長旅を経てきた人間と思い込むようなものです。

実際には、四方八方から強風に煽られてあちらへ吹き飛ばされたかと思えば、こちらに吹き戻され、同じ海域をぐるぐる巡っていたにすぎません。

そんなものは、長く翻弄されたのであって、長く旅してきたことにはならないのです。

何かを成し遂げたいと望むのであれば、長く存在してきただけであるような人間であるべきではありません。

そうならないためには、自分の人生において、価値あることに時間という資源を配分すべきなのです。

もし、あなたが世界における極度の貧困をなくしたいと望むのであれば、ぼんやりとテレビを見ていてはいけないのです。

その望みに、一歩でも前進することのできるような活動に時間を配分すべきなのです。

たとえば、関連した書籍を読んだり、最前線で動いている人に話を聞きにいったり、実際の現場を見に行ったり、実際に自分自身でできる行動をしたりといったことです。

果たして、人生は短いのか、長いのか。
セネカの言うことがすべてではありません。

しかし、自分の人生において、その時間はできるだけ、価値のあることに配分したいものです。

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