成功の法則92ヶ条 三木谷 浩史 (著) #153

8月 25th, 2010 by blogown

成功の法則92ヶ条 三木谷 浩史 (著)

僕は、敬愛するウォーレン・バフェットの例に倣って、おニューなビジネスよりも、オールドなビジネスのほうが好きだ。

ドットコムなビジネスよりも、食品、コーヒーショップ、日用品、インフラのような長期的な試練に耐えてきたようなビジネスのほうが好きだ。

なぜ、おニューなドットコム的なビジネスとは距離を置きたいのかというと、そういうビジネスはたしかに興奮や情熱、スピード感にあふれてはいるのだが、あまりにスピードがありすぎて、すぐに陳腐化してしまい、長期的にずっと続けていくようなビジネスではないからだ。

なぜ、そんなにすぐに陳腐化してしまうのかというと、テクノロジーの進展ペースが非常に速く、次々に新しいものが出てくるために、技術的なアドバンテージ、競争優位性が長い時間維持していることが難しいからなのだ。

ヤフー、グーグル、そして、それ以外のいわゆる”ポータルサイト”の死屍累々っぷり。

アメリカだと、AOLができて、タイム・ワーナーと合併して、AOLタイム・ワーナーになって、ITバブル崩壊で合併を解消して、AOLと。

みんなmixiを使うようになったと思ったら、facebookが増えてきて、twitterもみんなしだして・・・

ケータイでは、モバゲーやグリーっすか?

じゃあ、正直10年後に、同じようなサービスで同じような収益を上げている会社って、どんだけあるのか?

そして、これらの大手企業のきらびやかな台頭の影に、どれだけの無数の死体が積み上がっているのか。

若干、気分が盛り上がってきたので論じてみたいが、おニューなドットコム的なビジネスのなかには、現時点で、株主に恩恵を与えていない企業も多い。

たとえば、ドリコムとミクシィ。

ドリコムの株価チャート

ドリコムの株価チャート

ドリコム
2006/02/13始値:3,470,000
2010/8/25:267,300

ミクシィの株価チャート

ミクシィの株価チャート

ミクシィ
2006/09/15始値:1,475,000
2010/8/25:409,000

これは、どうなんだ、と。

株式の市場公開時の価格と現在の株価を比較すると、
ドリコムは92.3%マイナス。
ミクシィは72.3%マイナス。

たしかに、株式投資は自己責任とはいえ、株主にとって、好ましい状況とはいえない現状、経営者および取締役会に何らの責任もないとは思えない。

こういう話は、単純に僕の趣味嗜好であって、おニューなドットコム的ビジネスが大好きだという人は多いし、それを否定するつもりもない。

ただ、僕がビジネスをするのであれば、ポッと現れて、泡のように弾けてしまうような、「5年内にイグジット(まあ、売却とか、譲渡とか、上場とか)する」感じの波乗りビジネスではなく、本当に長期で、顧客に向き合った、ロングなビジネスがしたいと思うだけだ。

まあ、そういうことが僕のなかでバイアスとして存在している。

そういうことが背景にあるために、まあ「おニュー」ではない感じがするけれども、ドットコムーなビジネスをしている「楽天」創業者、三木谷浩史さんの本を手に取ったとき、正直「これもドットコムーな、シリコンバレー的な、ハイテクベンチャー的なニオイのするメッセージが書かれてるんかな?」と思っていた。

でも、実際に読んでみると、率直に言って、すごかった。

三木谷浩史さんは、インターネットビジネスを選んだからこそ、ここまで大きく成長できたのだと思う。

ただ、ここまで成長できたかどうかは別にして、彼はどんなビジネスを選んだとしても、たとえ、地ビール製造ビジネスを選んだとしても、成功させられる男なのだと感じた。

つまり、本書には、ドットコムーな、シリコンバレー的なにおいの話が書かれているのではなく、より普遍的な、あらゆるビジネスに通じる、三木谷流成功論が書かれていたのだった。

ここでは、大きく3点、僕が三木谷浩史さんはスゴイと思ったところについて述べてみる。

スゴイと思ったポイント1:組織的な意思統一と、日々の行動目標の整理をさせている

楽天では月曜日の朝、社員全員で自分たちの職場の掃除をすることになっている。
社員全員あわせても10人に満たなかった時代から、ずっと続けている習慣だ。
新入社員も役員も関係ない。全員で徹底的に掃除する。床に膝をついて、椅子の脚まで磨く。
会社の仕事で自分に無関係なものなどひとつもないのだということを、僕自身も含めて社員全員が確認するためにやっている。

楽天ではそれぞれの部署で、朝会を行っている。朝会では主に、その部署のメンバーが情報を共有するために、それぞれの部署の現状説明が行われる。1日の始まりに、今日の仕事のテーマを具体的に明確にするわけだ。

これは、毎朝、具体的な行動目標を立てていくことだ。
1日の仕事の始めに、今日の行動目標をきちんと整理する。

人間は弱くて、忘れやすい。
昨日、悔し涙を流したのに、今日はけろりとしている。
今日、理想を語っても、明日になれば忘れてしまう。
そういう生き物なのだ。
だから、誓いや目標を立てる。
今の自分の熱い気持ち、心に抱いた高い志を忘れないために。
けれど、その熱い気持ちも、そのままではいつか冷めてしまう。
楽天には、いくつか象徴的な儀式がある。
月曜日の全社をあげての朝会と、社員全員による掃除だ。
これは、楽天市場がスタートした頃、社員がまだ数人しかいなかった時代から続けている。

僕のインターネットベンチャーの先入観は、もっと革新的で、個性を重視していて、自由闊達で、個々人の自由裁量で何でもやらせている感じがしていた。

それは、アメリカのシリコンバレー的なイメージとグーグル社内などで語られるエピソード、そして、インターネットベンチャーで重要になってくる、属人的な高い技術を持つエンジニアたちの存在から感じたことだ。

しかし、楽天ではどうも違うらしい。
組織として、全社をあげて朝会をし、全員で掃除をさせている。

朝会では、現状説明などを含めて、組織全体としての意思統一をはかり、それと同時に、個々人にも日々の行動目標の整理をさせている。

これは、インターネットベンチャーというよりも、成功する組織、ビジネスの方法論だ。
これをスタート当時、社員数人の時代から続けているという。
すごいと思った。

よくある「個々人の自由で、勝手にやらせて、高いパフォーマンスを」という感じではなく、組織戦を最初からやっていたというわけだ。

スゴイと思ったポイント2:洗練されたシミュレーションでビジネスを構築している

直感を数値化し、常に進化させる

たとえば、この駅前に書店をオープンしたら流行りそうだと思う。
それは、あくまで直感だ。

直感は絵の下書きのようなものだ。
ディテールを描き込む作業を中途半端にしてビジネスモデルを構築するから失敗するのだ。

直感という絵の下書きのディテールが、つまり数値化ということになる。
たとえば流行るという直感を、具体的な数字で検証してみる。

駅前を通る人の数、商店街の売り上げ、隣駅の書店の来客数、あるいは利益率、さらには家賃や人件費など様々な数字を集めて、実際に書店を開業したとして、想定される利益を計算するわけだ。

具体的な数値を集めて検証した結果は、たいていの場合、自分が漠然と想像したよりも低いはずだ。けれど、もちろんそこで諦めてはいけない。

細かく描き込んだ絵を、ちょっと遠い所から眺めながら、想像したよりも低い数値を最初の直感に近づける方法を考える。
何が予想と違っているのか、どうすればその数字を上げられるか。そこでまたアイデアが湧く。第二の直感だ。

その第二の直感は、最初のものよりも具体的になっているはずだ。書店の形、つまりビジネスモデルがより鮮明になるわけだ。

そのモデルをふたたび数値化する。集めるべき数字は、また別のものになるだろう。
直感を数値化し、そこからもう一段深い直感を引き出す。その直感を数値化する。この往復を繰り返しながら、より具体的なビジネスモデルを立ち上げていく。

たしかに、ビジネス思考といえば、ビジネス思考ではある。
ただ、これをインターネットビジネスをやっている人が話していることが、スゴイ。

よくあるインターネットベンチャーの論理は「ニーズがあることをする」「ユーザー数がすべて」「ユーザー当たり、X円が見込める」という感じで、なかば妄想的な計画を以って、ビジネスプランとするようだ。「で、どこからお金が生まれるの?」

しかし、三木谷浩史さんは、かなり現実的な人らしい。
具体的な数字で検証して、絵を描きこんでいく。そこからアイデアを使って、さらに具体的なものにする。その往復で、精緻なビジネスモデルを立ち上げていくという。

まったく違うスタイルだし、すごい。

スゴイと思ったポイント3:オリジナリティ一本槍でない考え方

差分+オリジナリティ=勝利

これは、現段階で負けているライバルに、勝つための思考法だ。
差分は、競争相手との差がどれくらいあるか。
たとえば料理店なら、料理の味、サービス、コストパフォーマンス、店の雰囲気などなど。
いろいろな部分で差があるはずだ。その中で、どの要素がライバルに差をつけられているかを調べて、まずその差分を埋める。

つまりどの要素においても、相手に負けている要素を消す。競合相手との差をまず埋めるわけだ。

その上で、自分たちなりのオリジナリティを付け加える。これをやれば、必ずライバルを抜ける。小学生でもわかる足し算だ。けれど、これが案外とできていない。

ライバルと同じことをしていても勝てない、独自色を出そうなどといって、オリジナリティのことばかり考える。だから勝てない。

ライバルが勝っているのは、そのライバルが他にはないオリジナリティを持っているからだ。差分を消す作業は、そのオリジナリティを消す作業でもある。

客の側からすればその時点で、2つの料理店は同等になる。
そこに自分たちのオリジナリティを加えれば、どちらを選ぶかは明白だ。

分解してそれぞれの要素について、相手との差分を解明する。そしてすべての差分を埋めれば、相手との差はゼロになるというわけだ。

相手との差をゼロにしておいて、そこに自分たちのオリジナリティを付け加えれば、自分たちの方がプラスになる。

相手との差を埋めて、はじめて自分たちのオリジナリティを生かせるのだ。

インターネットビジネスは、フロンティアで、誰もやっていないサービス、オリジナリティあふれるサービスをすることがすべてを決するように感じる。新しいビジネス、新しいアイデア、新しいサービス。オリジナリティ一本槍な雰囲気がある。

しかし、三木谷浩史さんは、地道なビジネス論、ビジネスでの戦い方を語る。
競争相手との差がどれくらいあるかを考え、その差分を埋める。
相手に負けている要素を消して、その上で、自分たちのオリジナリティを付け加える、と。

新しいサービス、新しいテクノロジーを使ったビジネス、そういうものがあふれにあふれている業界で、本質的なビジネス戦略を語っているのだ。

僕は、本書を読んで、三木谷浩史さんは、どんなビジネスでも成功させることのできるビジネスマンなのだと感じた。

考えてみれば、それもむべなるかな。

三木谷浩史さんは、日本興業銀行というリアルなエスタブリッシュメントなビジネスの側にいた経歴を持つ。
しかも、楽天は創業初期は、商店街を飛び込み営業していったそうな。

ということは、楽天はインターネットベンチャーというより、インターネットビジネスをしているゴリゴリの事業会社といった表現のほうが適切だろう。

成功の法則92ヶ条 三木谷 浩史 (著) #153

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自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー インスティチュート (著), 金森 重樹 (著), 冨永 星 (著) #151

8月 16th, 2010 by blogown

自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー インスティチュート (著), 金森 重樹 (著), 冨永 星 (著) #151

本書の内容は、とても説明しづらいです。
それは、この本がストーリー調、小説風のつくりになっているからです。

ただ、この本は良書だ、と言っておきます。

Amazonの商品紹介には、本書の主張が端的に述べられています。

「身の周りの人間関係は実はすべて自分が原因で引き起こしている
ことに気づかせてくれる『自分の小さな「箱」から脱出する方法』。」

あの人が、、、
アイツがいなければ、、、
あいつのせいで、、、

そういう気持ちになった経験のある人は、多いでしょう。
ただ、その気持ちが「本当は」どんな原因で起こっているのかを深く考えることはなかなかないものです。

本書は、そういう気持ちが起きる「本当の」原因について考えさせてくれる機会をもたらします。

まあ、Amazonの商品紹介にあるように、自分が原因なのですが、、、(笑)

この本の効用は、心が安らぎ、安心でき、心の広い人間に変われて、人間関係がうまくなる、というところでしょうか。

人間関係は、トラブルがつきもので、複雑なものです。

そんな人間関係が良好になって、いい感じになる。

そういう一冊ですね。

良書です。

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借金の底なし沼で知ったお金の味 金森 重樹 (著) #140

6月 19th, 2010 by blogown

金森重樹氏の著書。

率直な感想を述べると、「生々しい」。

25歳でフリーターだった金森氏。
先物取引によって数千万円の借金をつくってしまう。。。

結局は、借金1億2000万円、利息24%ということに、、、

当時の破産法では、投機的な行為での借金は免責不許可事由とされて、破産もできない状態。

絶望感に満ちた日々。
それが、金森氏の東京に出てきてからの18年間。

その話が、克明に描かれています。

現実の社会では、あまり目にすることはないにしろ、こういうことも存在しているということが痛感させられる。

そういう状態で、彼が求めたのは「理詰めで億万長者になる方法」。

『事業はロジックによってきっちりと仕上げるもの』

『事業をやるのに度胸が必要だと考えるようでは、まだ不確定要素が潰しきれていませんので、その事業をスタートする段階ではありません』

その言葉たちからは、金森氏自身の高い知性と同時に、借金のプレッシャーのなかで苦しみ、叩き上げられた力が感じられる。

借金地獄を疑似体験できる、そんな良書。

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ビジネスで失敗する人の10の法則 ドナルド R キーオ (著), 山岡 洋一 (翻訳) #137

5月 31st, 2010 by blogown

本書は、有名企業コカ・コーラの元社長・COOで、バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェットとも親しい人物であるドナルド・キーオの著書。

逆説的な表現ではあるけれども、10の法則が1つでも当てはまるならあなたの仕事は高確率で失敗だ、という話。

印象的だったのは、「法則1 リスクをとるのを止める」。

生活が楽になり、豊かになり、快適になると、リスクをとるのを止めようという誘惑が強くなる。
これは、成功がもたらす大きな病のひとつだ。年齢が高くなるほど、この誘惑に負けやすくなる。年齢が高いといっても、六十歳になればという意味ではない。四十歳でもこの病にかかる。こう考えるのだ。「これまで苦労の連続だった。心配して夜も眠れないことが多かった。そろそろ、心配するのは誰かに任せよう。いまのままで満足だ」

たしかに、リスクをとったとしても、うまくいかないということも多々ある。
しかし、リスクをとらなかったとして、安心して長生きできるのかというと、意外にそうでもない。

リスクをとることなく死亡した企業はたくさんあるそうだ。

リスクをとらず、現状に満足したまま生きていくのも、まあいいかもしれない。
しかし、それでは、いつまで経っても、現状維持のままで、変わり映えのしない、単調な日々を繰り返して死を待つだけだ。

現状に満足せず、リスクをとって、何がしかの行動をとるということは、社会にとっても、人生にとっても素晴らしいことのように思う。

本書にもあるように、リスクをとって航海に出たからこそ、コロンブスは新大陸を発見できたのであり、リスクをとったからこそ、アメリカが生まれた。

リスクをとったからこそ、偉大な企業が生まれ、リスクをとったからこそ、新しいイノベーションが生まれる。

計算したリスクを多少はとって、新しい一歩を踏み出してみたいと思う。

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独裁者の言い分―トーク・オブ・ザ・デビル リッカルド オリツィオ (著)#132

3月 1st, 2010 by blogown

本書のAmazonでの評価は低い。
たいしたことがない本なのかもしれない。
僕は、そう思っていた。

けれども、実際に読んでみると、実は、本当はとっても素晴らしい本なのだと気付いた。

たしかに、学術的な要素も少ないだろう。
追いつめるまでのストーリーも長い。

しかし、最も重要なのは、この本からは、著者の愛というか、探究心、好奇心が伝わってくるからだ。それは、僕自身が共感する部分でもある。

彼は、あるとき、堕ちた暴君たちのその後を調査してやろう、と決意して、何年もの間、多くの国々をわたり、足取りを追跡し続けた。そうしてできたのが、本書「独裁者の言い分」である。

独裁者、とひと括りに言っても、実際には、さまざまな独裁者がいる。

血と武器があふれる独裁者。
そもそもはピュアな信念から腐敗した独裁者。
私腹を肥やすのに執心している独裁者。

たとえば、シエラ・レオネの独裁者だったヴァレンティン・ストラッサー(バレンタイン・ストラッサー)は、1992年に25歳の時、彼と同じ若い将校のグループと共に軍事クーデターを起こし、シエラレオネの元首になった。しかし、1995年に政権内部でクーデターが起こり彼は権力を追われ、イギリスに逃亡。

そして、ウォーリック大学で法事を勉強し、職員をしていたが、シエラレオネ人学生の抗議を受けて解雇され、2000年の時には失業。その後シエラレオネに帰国し母親と同居。

彼は若く、私腹を肥やすことを知らなかったようで、自前の銀行口座すら持たず、独裁者になったにもかかわらず、経済的に困窮し、シエラレオネで母親と同居。外出するたびに、人々から嫌がらせを受けているそうだ。

その一方で、腐りきった独裁者とその周辺もいる。

ハイチ共和国の第33代大統領・ジャン=クロード・デュヴァリエ。
「ベベ・ドク」(Bebe Doc)または「ベビー・ドック」(Baby Doc)と称される。

独裁者と呼ばれたハイチの大統領フランソワ・デュヴァリエの息子。
世襲して大統領になり、15年間やはり独裁者として君臨。

彼自身の政治は、独裁政治で、腐敗政治。
結局は、1986年に食糧暴動に端を発した国民運動をきっかけに、アンリ・ナンフィ将軍による軍事クーデターによって失脚する。

彼も腐敗しているのだが、最たるは、彼の元妻、ミシェル・デュヴァリエ(現・ミシェル・ベネット)である。
彼女は、ある種、極めて合理的なかたちで、国家から富を搾取した人物である。
ある意味、ビジネスマンであるが、国民からしてみれば、腐りきった女帝である。

彼女が何をしたか。
それは、独裁者が何をするかということを端的に示す事例といえる。
ちょっと見てみよう。

まず、結婚式は首都のポルトープランスの大聖堂にて行い、300万ドル(3億円)の費用をかけた。
次に、直後、ミシェルは自分専用の貯金箱として、ミシェル・B・デュヴァリエ財団を設立。
さらに、デュヴァリエの親族を宮殿より追い出し、自分の親族を入れる。

その後、実の父、エルンストをハイチ・コーヒーの独占輸出権を持つ25人のひとりに据える。
他の24人と違って、免許税まで免除で。

だが、ワシントン・ポストによれば、コーヒーは表向きで、実際のビジネスはコロンビア・コカインの密売らしいが。
ちなみに、ミシェルの兄弟であるフランツは、薬物密売容疑でプエルトリコで逮捕された。

合衆国商務省の資産によれば、80年代のハイチ政府の歳入の63%は、デュヴァリエ一家の息のかかった企業や個人が不正に吸い上げていたという。
追放されたハイチ財務大臣の告白によれば、月に1500万ドル(15億円)の金が予算外支出として計上されていた。

1980年12月にはハイチがIMFより借りた2200万ドル(22億円)のうち、実に2000万ドル(20億円)がミシェルの財団を経由してデュヴァリエの個人口座に入っていたのだ。

つまり、ハイチの路上で、弾圧や圧政に苦しみながら、さらに栄養失調や貧しい生活を強いられながら生きている人々を放置しておきながら、自分たちは贅沢三昧。
さらには、世界がハイチという国家に貸した金(IMFの資金)のほとんどを個人的な懐に入れているのだ。

人の上に立つ者は、高潔でなければならず、思想も崇高なものであるべきだと思う。
それは、つまり、私・自分を殺し、公のために生きるということだ。

なぜなら、権力を持つ者は、その意思しだいで、私腹を肥やすこともできるし、公のために幸福をもたらすこともできるのだからだ。

リーダーたる者、己のエゴのために、動いてはならない。

腐りきった独裁者たちを見ることで、それを学ばねば。

追記:

最後に、独裁者になるプロセスを考えてみる。

大体は、軍部にいた人物でリーダー。
そういう人物がクーデターを起こし、政権を取る。
そうでない場合は、政党に所属して政治活動を経て、なんとか国家元首になる。

政権を取った後は、反対派を排斥、弾圧、処刑。
血の海ができる。
自分を支持する者のみを残し、あとは排除する。

そうすることで、独裁者が形成される。
あとは、その人物がやりたい放題するわけで、そいつが愚かな場合は、民衆は大変な苦労をさせられる一方で、そいつは派手で豪華な生活をこれから謳歌することになる。

また、独裁者を打倒するプロセスとしては、やはりレジスタンス活動。
民衆が意思を統一させることが、一番なのだ。

色々と勉強になる一冊。

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My Brain is Open―20世紀数学界の異才ポール・エルデシュ放浪記 ブルース シェクター (著)#131

2月 25th, 2010 by blogown

ポール・エルデシュは、ハンガリーの数学者で、放浪の天才数学者と呼ばれる人物だ。

彼は、いつ寝ているか分からないほど数学をやっていたらしく、一日19時間数学の問題を考えていたと言われている。

また、生涯のほとんどを旅に過ごし、行く先々でいろいろな数学者たちと研究し共著で論文を発表することを好んだ。そういう人物だ。

片手には家財一式を入れたスーツケース。
もう片手には、論文を詰め込んだバッグを持って、夜昼の見境なく訪問先の玄関をノックする。
50年以上も。

玄関先でこう宣言する。
「マイ・ブレイン・イズ・オープン!(My brain is open.)」

ふらふらと揺する腕、瞬間的な興奮、講義中の居眠り、背を丸めて碁盤に執着する姿。
彼は450人を超える共同研究者とともに1500を超える論文を書いた。

冷静に考えて、彼は変人、奇人である。
50年以上もの間、放浪を続けながら、数学者たちと数学について研究を続けたのだから。

すべてを数学にささげたといっても過言ではない。

では、なぜ、彼のような人物について、伝記が書かれるのだろうか?
なぜ、僕は、彼の伝記を2冊以上も読んだのだろうか?

それは、きっと彼の生き方にあこがれているからだろう。
人は、彼の生き方にどこかで魅かれているのだろう。

一心不乱に数学に打ち込むこと。
世界中を放浪しながら、さまざまな数学者たちと共闘する日々。
この世のしがらみのほとんどをなげうって、数学にどっぷりと浸かる日々。

そして、なにより、人生のほぼすべてを犠牲にする価値があるほどの対象、彼にとっての数学、を人生で見つけられていることだ。

現代は、モノにあふれている。
豊かな社会だ(先進国は)。
だからこそ、自分が何をすべきか、何をしたいのか、夢は何か、打ち込むことが何か、わからずにいる。

だからこそ、彼のように、何かにすべてを捧げるような生き方ができること、それにあこがれを抱くのだ。

生き方について、考えさせられる一冊。

参考:
ポール・エルデシュ. (2009, 7月 25). Wikipedia, . Retrieved 10:44, 2月 17, 2010 from http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%A5&oldid=27070402.

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僕の起業は亡命から始まった!―アンドリュー・グローブ半生の自伝―アンドリュー・S・グローブ (著)+不撓不屈の日々 石橋 信夫 (著) #129,130

2月 17th, 2010 by blogown

今回の読書感想文は、アンドリュー・グローブ氏と石橋信夫氏(以下、敬称略)の自伝である。

アンドリュー・グローブは、世界最大の多国籍半導体メーカー・インテルの共同創業者
そして、石橋信夫は、大手住宅総合メーカー・大和ハウス工業創業者

彼らは、どちらも兆円単位の大企業(インテル、大和ハウス工業)を創業したという経験で共通している。

そして、もうひとつ、彼らには重要な共通点がある。
それは、「強烈な戦争体験者」であるということである。

アンドリュー・グローブは、もともとハンガリーで生まれ育ったが、第2次世界大戦とドイツ軍進行に伴うホロコーストを経て、ハンガリー動乱のさなかにオーストリアに脱出、米国に亡命するといった体験をしているのである。

たとえば、アンドリュー・グローブのおば・マンツィは、第2次世界大戦下、家族全員がポーランドにある強制収容所に送られた。それもアウシュヴィッツと呼ばれた強制収容所である。

彼女は、戦争前に腕のいいお針子だったため、ドイツ兵の服を縫う工場に移されたが、ほかの家族は全員ガス室に送られ、結局、マンツィだけが一人生き残ったという。

それが身近なことである体験。
強烈である。

また、アンドリュー・グローブがハンガリー動乱のさなかにオーストリアに脱出する際のエピソードは、生死を分ける体験、生き抜くための脱出といった様子で印象的だ。

一方、石橋信夫は、大和ハウス工業創業者であるが、端的に述べれば、戦時中に捕虜としてロシアに連行され、シベリアの強制収容所にて、極寒の地で過酷な労働の日々を送ったのである。

石橋信夫のエピソードも極めて衝撃的で、実際にシベリア送りになった者がどのような体験をするのかが、ありありと伝わってくる。

それは、まさに過酷だっただろう。

印象としては豪胆な人物であろう、石橋信夫が『シベリア抑留時のことは、これまであまり語ろうとしなかった。意識的に避けたい気持ちがあったことは確かである。当時を思い出すこと自体、索漠とした感情を自分自身に強いることになるからだ』と語るほどの体験である。

彼はこう語る。

シベリアの生活をひと口でいえば、やはり飢えと寒さと重労働と、そして絶えず死と直面せざるをえない辛さであった。

食べ物もわずかな黒パンとスプーン一杯の砂糖、薄いスープのみ。加えての重労働。
栄養失調になる者、肺炎にかかる者が続出した。
ろくに治療も受けられず、死亡率は高い。

自ら命を絶った者も少なくない。
飢え、寒さ、病気にさいなまれながら、明日をも知れない身を重労働に駆り立てられる日々。

それが3年間。
その3年間の捕虜生活を経て、石橋信夫は日本に戻った。

彼らは、どちらも兆円単位の大企業(インテル、大和ハウス工業)を生み出した。

その背景には、これらの強烈なまでの戦争体験があっただろう。
少なくとも、その体験が、彼らの活躍を後ろから支えていたことは間違いない。

石橋信夫は、本書でこう述べている。

とっさの状況判断、敵味方の峻別、逆境時の身の処し方、集団をたばねるコツ、こういった経営者として必要な資質は皆、軍隊生活、とりわけ、シベリア時代にいやおうなく養われた。私はシベリアをこやしにここまできたといっていい。しかし、あの地には二度と足を踏み入れたくない。

実際に戦争を体験したくはないものだ。
しかし、これらの書籍を読めば、平和かつ安価に追体験できる。
恵まれた時代である。

僕の起業は亡命から始まった!―アンドリュー・グローブ半生の自伝―アンドリュー・S・グローブ (著) #129 You can buy this book on amazon.

不撓不屈の日々 石橋 信夫 (著) #130 You can buy this book on amazon.

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ランディ・コミサー―あるバーチャルCEOからの手紙 ランディ・コミサー (著) #128

2月 12th, 2010 by blogown

本書は、Kleiner Perkins Caufield & Byers(クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズ)のパートナーであり、クラリスの共同創業者、ルーカスアーツなどのCEOを勤めた著者、ランディ・コミサー氏が自身の人生を元に描き出した、半自伝的小説。

物語は、ベンチャーを立ち上げたいと望む若者レニーと、彼を導く自身(ランディ)によってつむがれていく。

本書で最も印象的だったのは、やはりランディの語る思想・生き方・ビジネス人生の歩み方の部分である。

彼が言っているのは、ビジネスを通して自分の人生を築くには2つのプランがあるということだ。

1.後配ライフプラン
2.生涯ライフプラン

1.後配ライフプラン
「やらなければならないこと」を優先させ、「やりたいこと」を後回しにするプラン。
義務をエネルギー源として金銭的な満足を得、その後、精神的な豊かさを享受する。
自分を捨てることが求められる。

2.生涯ライフプラン
「やりたいこと」を最優先させるプラン。
「やりたくないこと」をするより、もっと意味のあることに情熱を注ぎ、まず精神的な充足を得る。
金銭的な成功は副次的な要素と見なす。

ちなみに、1.後配ライフプランをもっと詳しく述べているので引用しておこう。

後配ライフプランでは、人生は二つの異なったステップに分類される。

ステップ1:一生懸命に働く。
ステップ2:定年退職後に人生を味わう。

私たちはみな、この後配ライフプランで教育されてきた。
シリコンバレーでも、後配ライフプランが動機づけとなって長寿を前提に定年退職までせっせと働き、そのあとでセカンドライフを味わうという人が多い。

ちなみに、この後配ライフプランには、2つの落とし穴があるそうだ。

ひとつは、まず、一般に、金さえ儲ければ、ステップ1の退職の時期を早めることができると思われているが、現実は甘くなく、実際に成功する人の数は極めて少ない。
つまり、そもそも、成功することが難しい。

二つ目は、運良くステップ2まで到達したとしても、ステップ1の生き方しか知らず、途方に暮れる人が多い、ということがある。

ランディ・コミサーが本書で語っているのは、ビジネスをよりうまくやっていく方法論ではない。
ビジネス人生の生き方について、である。

自分を捨て、後々の充足感のために、今、やらなければならないことを優先させて、「頑張る」のか。
自分自身が本当にやりたいと望んでいることをやり、意味あることに情熱を注ぎ、そのプロセス上で金銭を得るのか。

その選択肢を選ぶのは自分自身である。

ちなみに、2.生涯ライフプランを選んでしまった者はこう思う。

世間一般では、1.後配ライフプランが常識的な生き方だと思う。
それは、定年退職が一般的であり、また、セカンドライフという言葉が知られていることからもわかるだろう。

そのために、生涯ライフプランを選んだ者は、それが世間から認められるようになるまでの間、非常に世間体が悪いことになる。
なぜなら、一般的な生き方ではないからだ。

たとえば、「お笑い芸人」がそうだろう。
本当に「お笑い」が好きで、情熱を持って、「お笑い芸人」として知られたいと望む若者がいる。

彼は、きっと世間的に売れるまで、売れないお笑い芸人、収入的に低い人として、世間体は非常に悪い。
周囲からは冷たい視線を浴び続けることになる。
もちろん、売れてしまえば、手のひらを返したかのように、誰しもが賞賛してくるのだが。

このように、2.生涯ライフプランを選ぶには、それなりに犠牲もあり、覚悟も必要となるわけだ。

ただ、一方で、1.後配ライフプランを(無意識的にでも)選んだ人で、定年退職後を楽しみに、セカンドライフを充実させるぞ、と意気込んでいたけれども、実際に退職してみると、仕事しか知らずに生きてきたために、気の抜けてしまったようになってしまう人もいるそうだ(それが落とし穴の2つ目なのだが)。

どちらが正しいということはないだろう。
どちらを選びたいと思っているか、どちらの人生を生きたいと思っているか。
そういうことだ。

ランディ・コミサー―あるバーチャルCEOからの手紙 ランディ・コミサー (著) #128 You can buy this book on amazon.

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ピザーラ成功の方程式 浅野 秀則 (著) #124

1月 21st, 2010 by blogown

前回の読書感想文の投稿が12/23で、今回が2010.1.21なので、一ヶ月近く離れて、しかも、年をまたいでいるので、かなりサボった感がある、ひさびさの投稿です。

ブログは更新していませんが、今、流行のtwitterでは、かなりアクティブに動いています(笑)。

竹内正浩のついったーアカウント
http://twitter.com/mashiro777

長い文章を書かずにすむので、やりやすい感が強いですねー。

本書は、『ピザーラ』で有名な株式会社フォーシーズ社長・浅野秀則氏の書いた本。
もちろん、成功本である。

僕が本書で印象的だったのは、淺野秀則氏が600億円企業の株式会社フォーシーズを築き上げるにいたる基礎となる考え方、「目的」「目標」志向についてである。

目的が変われば計画も変わる

実際、その人その人の目的のとり方によって、行きつく先は大きく違ってきます。

同じ会社を経営するのでも、「会社をメチャクチャ大きくすることが、何よりも大切だ」と考える人もいれば、「年に二回、家族で海外旅行へ行き、楽しく過ごすために会社をやっている」という人もいます。「株式公開が命」と思って、頑張ってる社長さんもいるでしょう。

そうした目的のとり方、置き方によって、おのずと「やり方」も変わってくるし、そこへいたる「計画」も変わってきます。

となると、人間まず最初に「目的」を明確にする必要があります。ビジネスマンでも、基本は同じです。

自分はいったい、何を重視しながら働いているのか。あるいは、なんのために働いているのか。その会社で、何をやりたいのか。将来的にどうなりたいのか。

場合によっては、会社は単なる「勉強の場」ととらえ、ノウハウを身につけたらさっさと独立したい、という人だっているでしょう。

目的が明確になったら、その実現に向けて、計画を立てる。
後は実行に移せばよいだけです。

目的もなく、ただその日その日をしゃにむに頑張っている人がいますが、あまり得策とはいえません。この際もう一度、自分自身の「生きる目的」を確認すべきだと思います。

目的・目標志向のタイプであれば、そもそもの設定する目的・目標がすべてを決する傾向にある。

それは、浅野氏が述べているように、目的・目標が違うと、やり方や計画もそれに伴って違ってくるからだ。起点となる目的・目標をベースとして、一直線にその達成・実現に向かうこと、それが目的・目標志向のタイプにとっては重要となる。

次に「三十歳までにベンツに乗るぞ」の続きですが、明確な目標を持つとどうなるか、というと、まず考え方が変わります。

「この夢を実現させるためには、今のような考え方じゃダメだ。自分自身をもっとこう変えてかなきゃいけない・・・」

夢は、人の考え方を変えるわけです。
考え方が変わると、今度は行動が変わります。

前述の、妻が「家を建てましょう」と言った時、私たちは話し合いました。
「うーん、このやり方じゃマズいな。だったらこうしよう」

「それぞれが人の三倍働けば、二人合わせて六倍になる。そうすればきっと、普通の人の倍ぐらいの人生は歩めるかもしれない。それを信じ、とにかくやってみよう!!」

行動が変わると、今度は人生がかわります。
何かを信じ、その目標に向かっていくことによって、目の前に昨日とまったく違う、新しい道が開けてくるのです。

人生が変わると、最後には運命まで変わります。
よく人は、「自分は運が悪い」と言いますね。

それは決して、運が悪いのではない。
「自分次第で運は変わる」と思わない、その自分がいけないのです。

夢をみない。夢を持っていない。
そもそも運が悪くなってしまった出発点・原因はそこにあります。

しつこいようですが、人間、自分の運命は変えられます。
私が若い人に言いたいのは、「自分に蓋をするな」「メチャクチャでかい夢を見ろ」ということです。

もうひとつ、本書で明らかになっているのは、目的・目標志向のタイプの「思考様式」とこのタイプの「キーファクター」である。

まず、「思考様式」としては、明確な目標を持つことで、状況が極めて明確に把握できる。
その後、状況と目標を参照しつつ、目標のブレイクダウン(落とし込み)を行う。
浅野氏の場合、「家を建てる」という目標であったが、そのブレイクダウンの結果、「人の三倍働く」という行動計画を立てるにいたったわけだ。

次に、このタイプの「キーファクター」。
それは、彼のアドバイス、「自分に蓋をするな」「メチャクチャでかい夢を見ろ」ということだ。

目的・目標志向のタイプは、どのような目的・目標を持つかで、人生が大きく変化する。
だからこそ、浅野氏は、「自分に蓋をするな」「メチャクチャでかい夢を見ろ」と言うことで、起こりがちなメンタルブロック・メンタルバリアを解き放つのだというメッセージを伝えているのである。

思いっきり、分析的な感想文となってしまいました。。。

ピザーラ成功の方程式 浅野 秀則 (著) #124 You can buy this book on amazon.

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「ふつうの億万長者」徹底リサーチが明かす お金が“いやでも貯まる”5つの「生活」習慣 トマス J スタンリー (著), 本田 健 (翻訳) #123

12月 23rd, 2009 by blogown


本書のメッセージは、「本物の資産家になるには、質素倹約であれ」。
本書は、蓄財と消費の関係性についての考察がメインである。

浪費を繰り返す人たちは、次のような人だという。

ファッション界や小売業界で言うところの「上昇志向の人」、つまり、金持ちのように見えるけれども、金持ちになりたいと願っているだけの、金持ちではない人

そして、金持ちが金持ちになれる理由。

金持ちが金持ちになったのは、ぜいたくをしたいからではない。そして、金持ちが金持ちになれたのは、ぜいたくをしなかったからだ。

また、極めて興味深い話が、浪費と育った環境についての関係について述べられている部分。

高くないスーツを着ている人は、おそらくミドルクラスの生まれですね。両親は決して金持ちではないけれど、いわば安心して暮らせる収入があったのでしょう。両親の社会的地位や持ち物について、恥ずかしく思うことなく育った人です。

ぜいたくなヘアスタイル、2000万ドルの家、引き出しいっぱいの高級時計、複数のフェラーリ、オーダーメイドの服、2000本のビンテージワイン。これらは成功のシンボルの域を超えている。非常に裕福な人のなかで、ミスターMのような消費パターンをとるタイプの人には、共通する経歴がある。たいていは、経済基盤がほぼゼロに等しい家庭で育っているのだ。ミスターMの父親は、工場の非熟練労働者で年間所得は2万5000ドル以下だった。また、両親とも大学を出ていない。

「浪費する億万長者」には、貧しい境遇から叩き上げてきたケースが多い。

全体として、興味深い話が多いのだが、本書を通読する上で、把握しておかなければならないことがある。

それは、本書における「億万長者」の定義である。

本書では、100万ドル以上の資産を持つ人のことを億万長者と呼ぶ。

つまり、これはストックが大きい(純資産が大きい)人を定義づけしているということになる。
その定義からして、全体的にディフェンシブ(守りが堅い)、堅実、質素・倹約である人が多いこととなり、所得レベルはそれほど大きなファクターではなくなる。

そのため、所得を大きくすること、たとえば、年収XX万円や年収1億円といった方向性とは異なることは把握しておくべきことではある。
要は、稼ぎを多くするのではなく、本当の豊かさを考えましょう、というメッセージであるわけだ。

そのため、キャッシュフローの大きな人、所得の高い人は、本書のメッセージをそのまま、額面どおりに受け取りすぎてもいけないと思う。

たとえば、ディナーに高い金は払わない、というメッセージがあるが、重要な会合がディナーというかたちでセッティングされた場合、ビジネス上、そのディナー代は負担しなければならないこともあるだろうし、また、同様なケースは多々あるだろう。たしかに、当人の消費傾向とは異なっているとしても、だ。

つまり、どこまでこれらの考えを貫けるかどうかという点には、職業的な制約もあれば、置かれた立場、環境といった要因に左右されるということは意識しておくべきだろう。

本書で、最も賞賛されているケースは、端的に言えば、ブルーカラー、もしくは、ブルーカラーに準じるビジネスの経営者で、質素倹約をしていて、資産家である、というケースである。

そのケースからの逸脱度合によって、そうともいえない点があるのだ。

以上のように述べていくと、本書を批判しているように感じられるだろう。
しかし、僕は本書は賞賛されるべき良書だと思う。

それは、本書のメッセージの本質が価値あるものだと思うからだ。
その本書のメッセージの本質は、次のようなことにあると思う。

若者たちは、金を使うことがアメリカらしいやり方だと絶えず教え込まれます。若者のお手本になりやすいのは、巨額の報酬を受け取るプロスポーツ選手や芸能人です。来る日も来る日もマスコミは、あのスポーツ選手が購入した数百万ドルの大邸宅、この映画スターが所有するヨーロッパ車の一群といったストーリーを量産し続けています。そうした影響力のあるロールモデルたちを大々的に扱って賛美することで、マスコミは「車や家やパーティーに好きなだけ金を使えば、幸福になれる」というメッセージを送っています。しかし実際には、金を使うことは人を幸せにはしません。

つまり、「消費は素晴らしい」、「消費こそ最上の幸せである」という現代のドグマに対するアンチテーゼである。
たしかに、周囲を見回してみると、また、メインストリートで見渡してみると、あたりにあるメッセージは「金を使え!!!」「ここで金を落として!!!」というものしかない。

あらゆるマスコミやメディアは、消費を促し、雑誌の広告は素晴らしい写真で、そのブランドの素晴らしさを表現する。
テレビCMでは、流麗なボディをしたスポーツカーが消費をそそる。

しかし、立ち止まって考えてみよう。
本当に、それが幸せにつながるのだろうか

高い収入を稼ぎ、色々なモノに大金を払う。
そうすれば、ぼくらは本当に幸せになれるのだろうか。

そう考えさせる一冊である。

「ふつうの億万長者」徹底リサーチが明かす お金が“いやでも貯まる”5つの「生活」習慣 トマス J スタンリー (著), 本田 健 (翻訳) #123 You can buy this book on amazon.

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『コーヒーとサンドイッチの法則 -「利益を獲得する」ための6つの戦略』竹内正浩(著)(東洋経済新報社)
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