My Brain is Open―20世紀数学界の異才ポール・エルデシュ放浪記 ブルース シェクター (著)#131

2月 25th, 2010 by blogown

ポール・エルデシュは、ハンガリーの数学者で、放浪の天才数学者と呼ばれる人物だ。

彼は、いつ寝ているか分からないほど数学をやっていたらしく、一日19時間数学の問題を考えていたと言われている。

また、生涯のほとんどを旅に過ごし、行く先々でいろいろな数学者たちと研究し共著で論文を発表することを好んだ。そういう人物だ。

片手には家財一式を入れたスーツケース。
もう片手には、論文を詰め込んだバッグを持って、夜昼の見境なく訪問先の玄関をノックする。
50年以上も。

玄関先でこう宣言する。
「マイ・ブレイン・イズ・オープン!(My brain is open.)」

ふらふらと揺する腕、瞬間的な興奮、講義中の居眠り、背を丸めて碁盤に執着する姿。
彼は450人を超える共同研究者とともに1500を超える論文を書いた。

冷静に考えて、彼は変人、奇人である。
50年以上もの間、放浪を続けながら、数学者たちと数学について研究を続けたのだから。

すべてを数学にささげたといっても過言ではない。

では、なぜ、彼のような人物について、伝記が書かれるのだろうか?
なぜ、僕は、彼の伝記を2冊以上も読んだのだろうか?

それは、きっと彼の生き方にあこがれているからだろう。
人は、彼の生き方にどこかで魅かれているのだろう。

一心不乱に数学に打ち込むこと。
世界中を放浪しながら、さまざまな数学者たちと共闘する日々。
この世のしがらみのほとんどをなげうって、数学にどっぷりと浸かる日々。

そして、なにより、人生のほぼすべてを犠牲にする価値があるほどの対象、彼にとっての数学、を人生で見つけられていることだ。

現代は、モノにあふれている。
豊かな社会だ(先進国は)。
だからこそ、自分が何をすべきか、何をしたいのか、夢は何か、打ち込むことが何か、わからずにいる。

だからこそ、彼のように、何かにすべてを捧げるような生き方ができること、それにあこがれを抱くのだ。

生き方について、考えさせられる一冊。

参考:
ポール・エルデシュ. (2009, 7月 25). Wikipedia, . Retrieved 10:44, 2月 17, 2010 from http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%A5&oldid=27070402.

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プロジェクトファシリテーション 白川 克 (著), 関 尚弘 (著) #119

11月 25th, 2009 by blogown

本書で、とりわけ印象的だったのは2点。
なぜなぜ分析で真の原因を「見える化」する

ある問題を解決したいとき、「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」とその因果関係を辿っていく。すると五回くらいで問題の本質に行き当たる、という思考方法のことだ。

中期計画からの課題「人事総務部門の体制強化、効率化」
現状の問題点「非効率」
なぜ1「各工場に業務の担当者がたくさんいるから」
なぜ2「同じような業務を、各工場でバラバラにやっているから」
なぜ3「各工場で異なるシステムを使っているから」
なぜ4「ローカルルールをに応じてシステムを作っているから」
なぜ5「「工場主義」により工場ごとにルールが決められているから」

昔、アニメの「一休さん」で、「どちて坊や」という子がいたのを思い出した。
「どちて坊や」は、なにかにつけて「どちて?」と聞く子で、多くの人が答えられなかったり、いらだったりするキャラクターなのだが、物事の追求に関しては、大変優れた子供だと思う。

なぜなら、一般的な先入観なしで、物事に対して、「どうして?」と問いかけ、本質を追求しようという姿勢を持っているからだ。

上記の「なぜなぜ分析」も、「どちて坊や」も同じこと。
一休さんにおける「どちて坊や」は、作者による何らかのメタファーなのでは、と思ったりした。

他には、感覚の曖昧さについて。

ヒアリングしながら気をつけたのは、質問に数字で答えてもらうことだ。
「すごく大変って、具体的には一ヵ月当たり何時間のことですか?」と聞いていく。

「ざっとでいいんですよ、三〇分か、三時間か、三〇時間か、というレベルでまずは把握したいので」
なんとか聞き出すと、同じ「すごく大変なんですよ」でも一〇分の場合もあれば、一〇〇時間の時もあった。

人の感覚は、曖昧なものだ。
ある人にとっての「簡単なこと」は、ある人にとっては「大変なこと」。
ある人にとっての「超えられない壁」は、ある人にとっては「ワクワクするハードル」。
明確に、その状況を把握するためには、補完的な部分ででも、きちんと数値で示さなければならないのだと感じた。

本書のメインの議論からは外れているかもしれないが、ふと強く感じたことがあった一冊。

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脳が冴える!朝1分勉強法 宮川明 (著) #116

11月 8th, 2009 by blogown

脳が冴え、学習効果が高まり、目標達成にも役立つ「朝1分勉強法」について書かれたのが本書。

本書のメインテーマ、「朝1分勉強法」である、「制限となるビリーフをはずす」ための方法については、本書を読んでいただくとして、個人的に参考になったのは「寝る前のメンタルリハーサルのすすめ」の部分。

時間のやりくりがうまくいかないケース、勉強時間が作り出せないというケース、つまり、時間管理において重要な価値をもつ方法がこの「メンタルリハーサル」だ。

簡単に言うと、翌日の仕事や作業を頭の中で事前にリハーサルするものです。私が実践している方法は、前の晩に1分間だけ、次の日にやることを順に思い浮かべます』

『やることを箇条書きの状態で思い出すだけで十分』

このメンタルリハーサルをすることで、仕事や作業が効率的に進み、時間もうまくつかえるという。

どうして、このメンタルリハーサルが印象的だったのかというと、ちょうど少し前に話をした、大きく成功した経営者の方が話していた習慣が、まさにこのメンタルリハーサルだったからだ。

本人は、この習慣がメンタルリハーサルという名前であるとは知らなかっただろうが、彼のやっていたことはまさにメンタルリハーサルだった。

そういうこともあって、本書を読む前から、自分自身でも、この習慣を実践していた。
その結果から言うと、やはり、時間効率が高まり、色々とスムーズに進むようになった気がする。

そういう背景があって、本書を読んだとき、この習慣には名前があって「メンタルリハーサル」というのだと気付いた。

価値ある習慣、「メンタルリハーサル」。
身につけたい習慣のひとつである。

ところで、著者の宮川明さんが2009.11.10まで出版キャンペーンをされているそう。
ご興味があれば。
>> http://www.miyabook.com/asa1/

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成功のコンセプト 三木谷 浩史 (著) #110

9月 27th, 2009 by blogown


楽天の創業社長である三木谷浩史氏がその成功の秘訣について語ったのが本書。

急速な成長を遂げた背景には、やはりIT市場、インターネットの市場規模の急拡大という面があることは否めないだろう。

しかし、本書を読めば、それだけでなく、どのような業界であったとしても、三木谷氏が成功していたであろうことは肌で感じることができる。

特に印象的だったのは、下記の部分。

一生かけても達成できないと思えてしまうのは、一つ一つの小さな目標を達成する速度が常識的だからだ

目標を達成するのにかける時間は、常識から計算してはいけない。
常識などは忘れて、まず最終目標をいつまでに達成するかを決めてしまう。
そこから逆算し、個々の小さな目標をクリアするのにかける時間を割り出すのだ

当然のことながら、割った時間は常識で考えればあまりに短いはずだ。
けれどそれが、自分の登るべき断崖なのだ。』

このことは第5のコンセプト『スピード!!スピード!!スピード!!』に書かれてあった。

そして、このことこそが、楽天の急成長をもたらした大きな要因なのだと感じる。

つまり、常識的なスピードで個々の目標を達成していったとしても、なかなか遠くまで行くことはできない。

しかし、逆に、最終目標をいつまでに達成するかを決め、そこから逆算して個々の目標達成時間を割り出し、そうして、短いかもしれないが、その期間で、目標を達成していく、というプロセス。

それは、たしかにハードで、達成困難な課題なのかもしれない。
しかし、それは乗り越えるべき壁なのだ、という。

これは、秘訣・秘密というには、あまりにも単純すぎるのかもしれない。

だが、これこそがスピードをもたらす重要な要因なのだ。

そうであれば、自分自身の目標設定において、適用してみよう。

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プロフェッショナルの条件 P・F. ドラッカー (著),上田 惇生 (著) #109

9月 24th, 2009 by blogown


知識労働者にとって、時間という資源は最も貴重なものである。
そのことをドラッカーは芸術的に表現する。

『成果をあげるものは、時間が制約要因であることを知っている。
あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、もっとも欠乏した資源である。

それが時間である。

時間は、借りたり、雇ったり、買ったりすることはできない。
その供給は硬直的である。
需要が大きくとも、供給は増加しない。
価格もない。
限界効用曲線もない。
簡単に消滅する。
蓄積もできない。
永久に過ぎ去り、決して戻らない。
したがって、時間は常に不足する。
時間は他のもので代替できない。』

時間は代替不可能な資源であり、人生そのものでもある。
あらゆるプロセスにおいて、時間は必要であるし、かかる時間を減らせば、その分、別の事柄をすることができる。実現可能なコトの数・量を増やすためにも、充実した人生のためにも、時間を十分に意識することは重要だ。

ドラッカーの提唱する時間管理のヒントは、時間の使い方を記録した上で、仕事を整理することだ。

『第一に、する必要のまったくない仕事、すなわち、いかなる成果も生まない完全な時間の浪費であるような仕事を見つけ、捨てなければならない。』

『第二に「他の人間でもやれることは何か」を考えなければならない』

『第三に、自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除しなければならない』

つまり、不要なコトを避け、他の人でもやれることは他人に任せ、それ以外の時間浪費要因をなくすことである。

実に基本的なアプローチではあるが、なかなか意識していたとしても、実行するのは難しい。そこにこそ、時間管理の難しさがあるのだろう。

最後にとても気になったのは、リーダーシップの本質についての記述。

『効果的なリーダーシップの基礎とは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に定義し、確立することである。
リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を決め、それを維持する者である。
もちろん、妥協することもある。』

リーダーについて、考えさせられる。

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20代で始める「夢設計図」-必ず“スピード成功”する5つの原則 熊谷 正寿 (著) #108

9月 18th, 2009 by blogown

GMOグループのトップ、 熊谷正寿氏の本。

スピード成功、夢をかなえるというテーマで現在の活動との関連を感じ、読む。

特に感じ入ったのは、下記の部分。

『どんなアルバイトであろうとも、「一番になる!」、「今後に役立つ何かを吸収してやる!」という気概をもって、与えられた仕事に一生懸命取り組む姿勢が必要だと思うのです。』

『私は自分自身に対しても、社員に対しても、口ぐせのように、「一番になれ!一流になれ!」と言い続けています。』

『お客様は常に、自分が払うお金の対価として、最高の物・サービスを買いたいと思っています。』

要は、意識の問題であり、向上心、前向きな姿勢といったところだろうか。
マインドとして、方向性として、一番・ナンバーワンを目指すことで、スキルやビジネスの質も高まるし、シェアをとっていくこともでき、収益性も高まる。

お客様が常に、最高の物・サービスを買いたいと思っている以上、一番・ナンバーワン、一流になる必要がある。
それは、どの分野でも、何をしてても同じだと思う。

己を振り返らざるを得ない。

『(起業してもおそらく9割方は失敗する・・・)そういう事実があるのになぜ、私が若者に起業を勧めるのか、それは、事業に失敗すること自体が、経営を知る貴重な経験、勉強になるからです。

不幸にして最初の起業に失敗したら、自分の力がいかに未熟であるかを素直に受け入れ、何が足りなかったのか、なぜ失敗したのかをよく分析し、次はその轍を踏まないようにどうすればいいかを考えることです。

きっと、一回りも二回りも成長した自分になって、自信をもって再び起業に挑戦することができるはずです。』

起業をして、たとえ失敗したとしても、貴重な経験・勉強をしたことになる。
そうすれば、次に起業したときには、フィードバックしてもっとうまくやればいい、というわけだ。

要は、経験とそれを反映させて、行動を続けていくことの重要性を示しているのだ。

スピーディにさまざまな経験をして、スピーディに反映させ、さまざまな行動をしていきたい。

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「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 美崎栄一郎 (著) #106

9月 12th, 2009 by blogown

著者の美崎栄一郎さんはイケメンだ。
しかも、花王でアタック、ニュービーズ、ワイドハイターなどに関わったそうだ。加えて、僕も参加した築地朝食会を含めて、毎月のべ150名以上の社会人を集めている。

つまり、「スーパーサラリーマン」だ。

本書はそんな「スーパーサラリーマン」がノート術について書いた仕事術本である。
基本は「三冊ノート術」で、

1.メモノート
2.母艦ノート
3.スケジュールノート

これらに付箋を組み合わせて活用するのが美崎氏のスタイルだという。

僕のノート(というかメモ帳)も何冊かに分かれている。それは、ひとつのノートにまとめてしまうと、どうしても内容・テーマが混在してしまい、どれがどれだかわからず、結局は活用しづらくなってしまうからだ。

その意味で言えば、使い分けという点から、「三冊ノート術」に似た感じのやり方をしていたわけだが、実際にノートを使いこなしている人の話は参考になる。

それは、ノートの書き方にも方法論があるという点だった。

また、『読書は「A書評」でまとめる』べきだという。
A書評とは「アクション書評」のことで、読んだ内容から、今の自分に活かせることをアクションプランとして書き出すことだという。

これはたしかに行動を促す点で有益だと感じる。
ということで、自分の今回のA書評。

『1コンテンツ、1ページが基本』という書き方だったり、『会議のノートで大事なのは、「何を決めるか」を最初に書いておくこと』だということを実行しよう。

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死、それは成長の最終段階―続 死ぬ瞬間 エリザベス キューブラー・ロス (著) #105

9月 10th, 2009 by blogown

本書の裏側にはこう書かれている。

『人が目的のない虚しい人生を送ってしまう原因の一つは、死の否認である。永遠の命を持っているように生きていると、やるべきことを先延ばしにしがちだからだ。死を意識することによって、人間は最後の段階まで成長する-。』

僕は今、さまざまな方の人生を取材して回るという活動をしている。
つまり、人の人生を数多く疑似体験しているというわけだ。

この活動を通して感じるのは、人の人生は短いということだ。
あっという間に時はたち、あっという間に時機を逃してしまうこともある。

人生には、必ず終わりがやってくる。
しかし、必ず来る終わりを無視して、否認してしまうと、だらけた生活を送ってしまうことになりがちだ。

エリザベス・キューブラー・ロスは、死を意識することが成長をもたらすと述べる。
同感だ。

本書でもこう書かれている。
仏教、仏陀について書かれたくだりの部分。
『万物は「変化と衰退から免れられず」、そして死は「万物に定められている終わりである」』
『「…しかも世間はその恐ろしさを忘れ、気にも留めていない。人の心は恐怖というものに実に無頓着になっている。考えてもごらん。人は、あの世への道を旅しているというのに、こんなにも安穏に暮らしているではないか…』

人生には終わりが存在し、それを意識し、短いものだと自覚したうえで、「諸欲の根を絶つ」のか、夢や目標に向かってまい進するのか、絶望にうちひしがれるのかは個々人によるだろう。

だが、その限りのあることを意識しないままでは、自分の資源を無駄遣いしかねない。
1日は24時間であり、1年は365日。
120歳まで生きられる可能性は今のところ、ゼロに近い。

さて、いかに生きるべきか。
そして、いかに死ぬべきか。

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人生の短さについて セネカ (著) #102

7月 14th, 2009 by blogown

セネカは、二千年前の古代ローマ帝国を生きた思想家。哲学者にして、詩人・劇作家、政治家。

雑事をしているだけで、あっという間に時間は過ぎ去ってしまう。そのため、私たちは、毎日忙しい日々を過ごしています。

読まなければならない資料や本、雑誌。返信しなければならないメール、手紙。決断しなければならない事項の山。ある場所から、ある場所へと飛び回る移動。

私たちは日々、何かに追われるかのように時間をすごし、あっという間に過ぎ去っていく時間を振り返る時間すら、ほとんど残されていません。

そんな私たちに対して話しているかのように、二千年前に生きた思想家、セネカは「人生の短さ」について、このように話してくれています。

人生は短くなどありません。
与えられた時間の大半を、私たちが無駄遣いしているにすぎない
のです。

人生は十分に長い。
上手に使いさえすれば、偉業を成し遂げられるほどたっぷりと与えられているのです。

人間はそれを、何の役にも立てず湯水のごとく浪費した挙句、土壇場になってようやく気づくのです。

いつのまにか人生は過ぎ去ってしまった、と。

つまり、人は短い人生を与えられるのではなく、むしろ自分で短くしている。足りないのではなく、浪費しているというわけです。

価値ある情報が何も得られないようなテレビ番組や雑誌、ウワサ話、安易な娯楽、事務作業。そのような価値のないことに時間を浪費してしまうことこそが、自分自身の人生を短くしている原因であるというわけです。

では、なぜ、私たちは時間を無駄遣い、浪費してしまうのでしょうか?

時間が貴重なものであると、本当にわかっているのであれば、浪費することもないでしょう。

その理由についても、セネカは語っています。

人は、自分が永遠に生き続けるものと思っているからなのです。

自分の弱さなど少しも念頭になく、どれだけの時間が失われたかにも気づかない。
涸れることのない泉か何かのように時間を無駄遣いしている

そうやって他人やものごとのために使っている今日という一日が、最後の一日かもしれないというのに。

死を免れない者として何もかもを恐れながら、そのくせ不死の存在であるかのように、何もかもを手に入れたいと望むのです。

つまりは、自分の死について、人生の有限さについて、自覚できないということが理由なのです。

自分の人生に、まさか終わりが来るなどとは思ってもいませんし、今の日々がずっと続くものと思っているものなのです。

私自身を含めて、いくばくかの人たちが、自分の生き方や自分の振る舞いを振り返り、違う人生を生きるようになる原因のひとつは、「死に直面すること」であることが多々あります。

たとえば、それは父親といった肉親の死であったり、近しい友人の死であったり、はたまた自分自身が大病を患い、死を意識したというようなかたちで、訪れます。
しかし、たいていの人にとっては、死は自分の人生からは、ほど遠い存在、普段はまったく意識することのない存在であることから、人は人生が永遠に続くものと思ってしまうのです。

これまで話してきたように、人生には限りがある一方で、私たちは無駄遣いをしてしまっていて、自らの人生をより短いものにしてしまっているのです。

それでは、人生を最大限に活用し、何かを成し遂げるためには何をすべきなのでしょうか?

それは、「自分の人生において、価値のあることに時間を配分する」ということです。

人の時間は有限で、どんなにお金持ちでも、1年は365日で1日は24時間しかありません。

しかし、一方で、何かをなすには時間と労力が必ず必要になってきます。

つまり、人は自身の限られた資源をいかに配分すべきか、という判断を慎重にしなければならないというわけです。

なぜなら、無価値なものに時間を配分してしまうと、それは、価値あることに配分できたはずの時間を失ってしまうことと同義だからです。

また、このことは、同じ年齢でも、成果をあげた人とあげていない人の違いを生み出している要因のひとつでもあります。
セネカはこう語っています。

相手の白髪やしわを見ただけで、長く生きてきた人間と思うのはおやめなさい。
長く生きてきたのではなく、長く存在してきただけかもしれないのです。

それはまるで、港を出た直後にひどい嵐に遭った男を見て、長旅を経てきた人間と思い込むようなものです。

実際には、四方八方から強風に煽られてあちらへ吹き飛ばされたかと思えば、こちらに吹き戻され、同じ海域をぐるぐる巡っていたにすぎません。

そんなものは、長く翻弄されたのであって、長く旅してきたことにはならないのです。

何かを成し遂げたいと望むのであれば、長く存在してきただけであるような人間であるべきではありません。

そうならないためには、自分の人生において、価値あることに時間という資源を配分すべきなのです。

もし、あなたが世界における極度の貧困をなくしたいと望むのであれば、ぼんやりとテレビを見ていてはいけないのです。

その望みに、一歩でも前進することのできるような活動に時間を配分すべきなのです。

たとえば、関連した書籍を読んだり、最前線で動いている人に話を聞きにいったり、実際の現場を見に行ったり、実際に自分自身でできる行動をしたりといったことです。

果たして、人生は短いのか、長いのか。
セネカの言うことがすべてではありません。

しかし、自分の人生において、その時間はできるだけ、価値のあることに配分したいものです。

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Hot Pepperミラクル・ストーリー – リクルート式「楽しい事業」のつくり方」 平尾 勇司 (著) #100

6月 22nd, 2009 by blogown

本ブログもようやく100冊目になった。
100冊目は、それにふさわしいような名著である。

本書のタイトルには「ミラクル・ストーリー」とある。

これは「ホットペッパー」が4年で全国42版展開、売上約300億円、営業利益約100億円の事業となり、近年では500億円規模となったことを指しているのだろう。

ぼくにとっては、売上約300億円・営業利益約100億円の高収益モンスタービジネスについての、この種の企業秘密的な戦略情報、ビジネスシステムについて率直に書かれた本を、たった1,575円で手に入れることができることが「ミラクル」だと思う。

このモンスタービジネスは、何によって生み出されたのか。

ぼくが見るところ、それは「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」「高度なパターン化・システム化」「高い組織運営能力」によって生み出されたのだろう。

大きな、そして、鋭く研ぎ澄まされたシナリオは、迅速な拡張をもたらすように設計されており、高度なパターン化・システム化によって、労働力の迅速な戦力化を促し、高い組織運営能力がそれらを束ねる、という構図である。

まず、「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」について見ていこう。

『「まずは飲食コンテンツに集中する
半径2キロのコア商圏でNTTデータの飲食件数のうち15%を獲得すれば、読者のマインドシェアを獲得できて、流通段階でみんなが自ら喜んで手にとって持ち帰るインフラができる

その流通インフラが確立できれば、一気に効果のある媒体になれる。
その後に美容室、キレイ、スクール、リラクゼーション、ショッピングなどのコンテンツに展開を拡大する。
そして、街の生活情報誌になる。そのために、半径2キロにある街の飲食コア商圏内の飲食店へ、特に居酒屋へ営業に行く。
1/9スペースを3回連続で受注する。
1人1日20件の訪問を実行する」

これが『ホットペッパー』の勝つシナリオだった。』

「ホットペッパー」の勝つシナリオ、それは「研ぎ澄まされたシナリオ」であると同時に、容易にイメージしやすい、「これからどのようにすればいいのか?」という関係者全員の疑問に答えることのできる、シナリオである。

そして、「ホットペッパー」という高収益モンスタービジネスの根本であり、事業モデルであり、事業戦略であり、成功の秘密のひとつである。
つまり、「ホットペッパー」という高収益モンスタービジネスの基本レシピこそが、このシナリオなのである。

このシナリオは実に驚嘆に値する。
地域密着によるエリア支配、コア商圏におけるシェアの拡大、流通インフラの確立、拡張性の方向性とエレガントなまでに美しい。

ぼくは、この『「ホットペッパー」の勝つシナリオ』を見たとき、思った。
「ぼくも、こんなエレガントなシナリオを描いてみたいものだ」

もちろん、シナリオが美しいだけでは不十分である。それは、そのシナリオを実現するために行動しなければならないからだ。
その行動段階に組み込まれた仕組みが「高度なパターン化・システム化」である。

「ホットペッパー」は、組織構成として1,500名によって構成されているそうだが、その85%は非正社員だという。
また、創刊当初から、業務委託と契約社員(3年の契約社員)とアルバイトによって創られたという。

非正社員がほとんどの組織で、十分なトレーニングに基づくスキルを要する仕事をこなす、ということは非常に難しい。

にもかかわらず、そのような組織であった「ホットペッパー」がなぜ、ハイスピードの拡大を達成できたのか。

その答えのひとつが
「高度なパターン化・システム化」だ。

『後の営業戦略の中核となる「コア商圏・飲食・居酒屋・1/9・3回連続受注・20件訪問・インデックス営業」というコンセプトが生まれ、それを「念仏」と呼んだ。

「人通りが多く飲食店が集積する中心地を営業活動のコア商圏として設定し、飲食店のなかでも居酒屋にフォーカスして訪問する。情報量を確保できる1/9スペースを3ヵ月連続=3回連続セットで受注する。そのために一日20件を必ず営業訪問する」

一人ひとりがその念仏を唱え、自分の行動がその行動基準から外れていないかを毎日のなかで確認できる、それが「念仏」だった。
成功のコンセプトを日々の具体的な行動に落とし込むことが、もっとも大切なことだ。』

まずは、行動プロセスのパターン化・システム化である。
この「念仏」もまた、シナリオと同様に美しい。

非正社員であれ、この「念仏」を唱えているだけで、自分の行動がシステムに沿っているのか、そうでないのかを判断できるからだ。
「念仏」そのものも、非常にシンプルに営業戦略がまとめられており、非正社員が迅速に戦力化され、ハイスピードの拡大を達成できた背景が見える。

この「高度なパターン化・システム化」は、営業戦略のみならず、よりミクロの営業現場での対処でさえ、徹底されている。

実はニーズは多様化していない。
『ホットペッパー』でも当初、顧客ニーズが多様化しているのに、それを型にはめるのは危険だという反対意見が出た。
型にはめることは個人の個性や成長を阻害するという反対意見も出た。
しかし、顧客ニーズを整理して絞り込むと、
団体をとりたい
回転率をあげたい
客層を変えたい
顧客単価をあげたい

せいぜいそんなものだった。

それら各々の課題を解決できた原稿パターンやクーポン内容パターン、それらの課題を解決できる商品設計や流通設計やプロモーション計画をまとめたツールパターンを用意した。
そのツールパターンを使った5分間の営業トークの完全シナリオをつくり、それを新規営業の「型」として完全に暗記して繰り返し、繰り返し徹底的に訓練した』

最初に顧客ニーズの分析によって、ニーズが多様化しておらず、実際には、『団体をとりたい・回転率をあげたい・客層を変えたい・顧客単価をあげたい』というニーズくらいであることを明らかにした。

次に、それぞれの課題に対応するアプローチをパターン化し、ツールパターンを用意。それらを「型」としてトレーニングする。

このような仕組みがあるからこそ、非正社員をインスタントに戦力化することが可能になるのである。

思わずうなってしまう。

最後の「組織運営」については、今のところ興味があまりないので、本書を読んでいただくとして、『フラット、業績把握、モチベーションを高める仕組み、評価システム』とスキのないつくりとなっている。

ぼくは本書を読み終えたとき、思った。

「ホットペッパー」が4年で売上約300億円、営業利益約100億円の事業となり、近年では500億円規模となったことは決して「ミラクル」ではないのだ、と。

思わず、美しいと言ってしまうほどの「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」と「高度なパターン化・システム化」、「高い組織運営能力」があるからこそ、そうなったのだ。

つまり、合理的に築き上げられたものであり、「なるべくしてなった」のだ。

ぼくは、別にこの読書感想文を書くことにお金をもらってはいない。

だが、ビジネスに関わる人であれば、本書に1,575円分以上の価値を見出すことは間違いないと思っている。

だからこそ、ぼくは1,575円の本書を押し売りしよう。

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『コーヒーとサンドイッチの法則 -「利益を獲得する」ための6つの戦略』竹内正浩(著)(東洋経済新報社)
『コーヒーとサンドイッチの法則』韓国語版が出版

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