ソロスは警告する ジョージ・ソロス (著), 松藤 民輔 (解説) #59

10月 9th, 2008 by admin

1960年代のアメリカで、ヘッジファンド「クォンタム・ファンド」を設立、投資活動により、今日までに1兆3000億円もの個人資産を築き上げた著者、ジョージ・ソロスが、「今年中に世界経済は、大恐慌以来の巨大バブル崩壊を迎えることになるだろう」という警告を発したのが本書。

解説「私が今までで一番勉強させてもらった本だ」松藤民輔
序 目前に迫る「超バブル」崩壊
危機の背景
第一部 危機の全体像
第一章 根本概念
第二章 私はいかにして哲学者として挫折したか
第三章「再帰性」の理論
第四章 金融市場における「再帰性」
第二部 分析と提言
第五章 超バブル仮説
第六章 私はいかにして投資家として成功したか
第七章 2008年は、どうなるか?
第八章 政策提言
結論 ソロスは警告する

ジョージ・ソロスは、巨万の富を築くと同時に、自身の過去(ナチスによるハンガリー支配とホロコースト)の体験から、オープン・ソサエティという思想をベースに40億ドル(4000億円以上)以上もの巨額の寄付を行い、継続的な慈善活動をしている。また、ジョージ・ソロスは、僕の尊敬する人物の一人でもある。

本書でソロスは、現在の世界がアメリカ住宅バブルの崩壊以上の危機であり、ドルを国際基軸通貨とした信用膨張の時代が終焉を迎えようとしているのだと主張している。(⇒これをジョージ・ソロスは「超バブル」と呼ぶ)

その背景には、2つの事柄が重要な地位を占めている。

ひとつは、「支配的なトレンド」としての信用膨張、つまり信用マネーのあくなき肥大化

もうひとつは、「支配的な誤謬」としての自由放任主義、市場にはいっさい規制を加えるべきではないという考え方、つまり、市場原理主義があるのだと述べる。

信用膨張の背景には、「信用創造の手法が際限なく洗練されていく」ということがある。たとえば、不動産ローンの証券化が好例といえよう。これらの手法は、一見、リスクを低下させるように見えるが、金融商品全体を見れば、当然のごとくリスクはあり、しかも高いわけなので、債権の内容が明瞭でない以上、本当のリスクは高くなってしまうといえる。

市場原理主義とは、自由放任主義であり、市場メカニズムに対する行き過ぎた信頼の念、いわば市場信仰である。これらは、経済学における完全競争の理論に根本を求めることができ、ソ連の崩壊によって、勢いづくことになった。

しかも、興味深い点があり、それは、過去25年間に発生した金融危機の数々が、「それなりにうまく克服されてきたおかげで」、信用膨張のトレンドも、市場原理主義という誤謬も、かえって強化されてしまったのだという点だ。

このことは、まるで筋肉のようだ。ある程度の刺激を与え、それを克服することで、筋肉は強化される。ただ、筋肉と違うのは、それが強化されてしまうがゆえに、危機の拡大をもたらしてしまうという点だ。

加えて、一般通念として、危機には必ずFRBが資金供給で応じるという信念があるため、過去の救済劇におけるのと同じモラル・ハザードの成長が起きてしまっている。

ソロス曰く、実際には、FRBは過去あまりに多く金融システムを救済してきた結果、将来における救済余力を大幅に弱めてしまっているそうだ。これは、非常に重要な点である。

なぜなら、それが、危機の強化という側面と同時に、危機の対応力を弱めるという、危機をより悪化させる方向に集中していることになるからだ。そのため、真の危機が顕在化した際に、その力は、通常のものではなく、強化と対応力の弱体というかたちで大きなインパクトを与えることになってしまうのだ。

超バブルは、このような背景を持ちながら、3つの大きな流れが組み合わさってできているのだとジョージ・ソロスは言う。

第一の流れは、住宅ローンや消費者金融などで顕著な、担保価値に対する融資額の比率の上昇、信用のGDPに対する比率の上昇に示される、際限のない信用膨張の長期トレンドである。

先ほども述べたように、金融システムが危機に陥ったり、不況が訪れそうになったりするたび、金融当局は破綻しかかった金融機関を救済したり景気刺激を行ったりと介入する。

その結果、起こるのはモラル・ハザードだ。金融機関は、融資残高をひたすら増大させることが最も理にかなった行動となる。なぜなら、たとえ無鉄砲に貸し出しを増やしても、結果がダメなら、救済してもらえるのだから。

非常にシンプルな論理ではあるが、実際に起こったことであるし、日本でも起こる。これからも起こるだろう。

第二の流れは、金融市場のグローバル化

第三の流れは、金融規制の撤廃の進展と、その結果としての金融技術の加速度的な発達である。

これらの3つの大きな流れと、それらに付随する欠陥とが結びついた結果が、超バブルなのである。

ここで、住宅バブルの形成プロセスとその破滅プロセスについて、わかりやすくまとめてみる。

「住宅バブルの形成プロセス」

1. インターネットバブル崩壊・テロ問題
2. 金利低下・実質マイナス金利
3. 貸付基準の緩和・担保物件に対する融資額比率の拡張
4. 信用膨張
5. 不動産価格の上昇
6. 投機熱が高まる
7. 変動金利ローン・サブプライムローンによって、さらに過熱に
8. 加えて、証券化による「偽りのリスク低下」
9. 不動産業界のビジネス論理(手数料ビジネスなので、回転数を高めようとする)
10. 詐欺まがい商法
11. 住宅バブル

「いったん坂を転がり落ちると、とめどなく破滅へと進むことになるプロセス」

1. 危機的状況が散見される
2. 金融市場への波及
3. ファンドを売却する投資家・利益のために空売りする投資家
4. 市場の下落
5. 投資会社の破綻
6. ヘッジファンドは巨額の借入金のため資金繰りがつかず損失・破綻
7. 貸し出していた金融機関の損失
8. それらを加速させる資産価値の低下
9. 住宅用不動産のみならず、クレジットカード債権、自動車ローン債権、商業用不動産などへの価値低下の広がり
10. AIG、リーマンの破綻

とはいえ、ジョージ・ソロスは、過去の著作においても、市場原理主義という支配的なバイアスに対立し、適度な金融規制を加えるべきだと主張していたので、全体的な主張自体に変化はないのかもしれない。

ソロスが見ているには、結局は、次期大統領の仕事次第で、大きく変わるということだ。また、中国、インド、産油国などは経済成長がまだまだ力強いと見ているので、複雑。

このような結果、ソロスは、現在は「一つの時代の終わり」なのだ、と語る。

「一つの時代の終わり」とは、一言で言えば、アメリカが覇権を握った、「支配大国」として、そして米ドルを主たる国際通貨、準備通貨として成り立っていた相対的な安定の時代が終わりかかっている、ということだと語るのだ。

結局、ソロスは、このような誤解に支配された世界に提言をしているというわけだ。

人類にとっての望ましい政治体制、金融市場を理解するためのパラダイム、金融市場の規制の在り方、国際金融システムの改革案、地球温暖化と核拡散の対応、国際政治秩序の構築など、今後の問題点、議論する点について、啓蒙することで本書は締められている。

とても、示唆に富む、素晴らしい本だった。

59冊目

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ウォーレン・バフェットと米金融不安

9月 28th, 2008 by admin

米金融不安は続く。

非情にも、金融収縮が加速することとなり、また、ひとつ大手金融機関が破綻した。

米史上最大の銀行破綻=貯蓄組合大手に業務停止命令-JPモルガンに事業譲渡(時事通信) – Yahoo!ニュース

米貯蓄金融機関監督局(OTS)は25日、経営不振に陥っていた米貯蓄貸付組合(S&L)最大手のワシントン・ミューチュアルに業務停止を命じ、連邦預金保険公社(FDIC)の管財下に置いた。総資産は3070億ドル(約32兆5400億円)で、米史上最大の銀行破綻(はたん)となった。

この金融危機に対して、大量の現金、流動性を保有している投資家は、これを好機ととらえることができる。
たとえば、ウォーレン・バフェットがそうだ。

バフェット氏、原発業界の勢力図塗り替える可能性も

バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイ(NYSE:BRKA)(NYSE:BRKB)は、メリーランド州ボルティモアに本社を置くコンステレーションを現金約47億ドルで買収することにより、3つの原子力発電プラントの経営権を取得する。

NIKKEI NET:国際: ゴールドマン、7900億円増資 バフェット氏側5300億円引き受け

米証券大手ゴールドマン・サックスは23日、総額75億ドル(約7900億円)以上の増資を実施すると発表した。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが優先株50億ドル(約5300億円)分を引き受け、残りのうち少なくとも25億ドルは公募増資で普通株を発行する。米政府は金融機関が保有する不良資産の買い取りなどを軸とする金融安定化法案を準備しているが、ゴールドマンは金融不安の再燃に備えて大規模増資に踏み切った。

バークシャーが引き受ける優先株は利回り10%相当の配当が付く。これとは別に今後5年間の間に50億ドル相当の普通株を購入できる権利も取得した。行使価格は一株あたり115ドルと、23日のゴールドマン株の終値(125ドル5セント)を約10ドル下回る。全額が行使されれば増資額は125億ドルに膨らむ計算。

10%の配当がある優先株に加えて、5年間の普通株の買いオプションを行使価格一株あたり115ドルというあたりに、よく言えば、チャンスをうまくつかんだ、悪く言えば、足下を見た、と言えよう。

賢明な行動、態度、姿勢をとり続けていれば、チャンスをつかむことができるのだと気づかされる。

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リーマン・ブラザーズの株式クラッシュ

9月 17th, 2008 by admin

現在、ホットな話題となっているリーマン・ブラザーズの破綻。

実際に、リーマンの株価をチャートで見てみると、えらいことに。
一年前の株価が60ドル程度なので、現在の0.2ドルは・・・。

0.2/60=0.3%

つまり、去年の今頃リーマン・ブラザーズの株式を購入していた投資家は、99.7%の資本を失ったというわけだ。

短く言えば、株式が紙切れになった、と。

リーマン・ブラザーズは、有名で、エリート的な要素もある投資銀行だったから、痛手をこうむった投資家も多かったと思う。

たしかに、不動産バブルに乗っかっちゃったのも悪いが・・・。

とりあえず、バブルには慎重な対処が必要だというわけだ。

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米証券大手リーマン、破産法適用申請へ

9月 15th, 2008 by admin

米証券大手リーマン、破産法適用申請へ=政府支援なく救済交渉決裂-金融界に動揺Yahoo!ニュース

米証券4位のリーマン・ブラザーズは15日、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きの適用を申請すると発表した。米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き危機に伴う信用不安などの影響で、同社は2・四半期連続で大幅赤字を計上、経営破綻(はたん)に追い込まれた。

リーマン・ブラザーズほどの大きな金融機関でさえ、バブルの渦中にいれば、倒産の憂き目に会うということなのだなーと実感。

これまでも不動産バブルはあったが、これからもあるだろう。
そのときは、気をつけようと思った。

サブプライムローンの余波は、まだ続くだろう。
ただ、また好景気に沸く時代も来るのだろうな。

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