転職―ネットワークとキャリアの研究 M グラノヴェター(著), Mark Granovetter (原著)#120

11月 28th, 2009 by blogown

有名な社会学者マーク・S・グラノヴェターの著書。
専門職、技術職、管理職といったホワイトカラーを対象に、転職情報の伝達経路について研究したもの。

結果としては、56%が人的ネットワーク(人的つながり)を用いて職を見つけ、18.8%がフォーマルな方法(9.9%が広告、8.9%がほかのフォーマルな方法・たとえば、エグゼクティブ・サーチ・サービスや公私の職業紹介所など)、そして、18.8%が直接応募を使用。6.7%がそのほかのカテゴリーに属しているというものだ。

本書でグラノヴェターが研究・主張しているのは、56%という大きな割合を占めている転職情報の伝達経路、人的ネットワークの内容についての点である。

端的に言えば、よく、頻繁に顔を合わせる、コンタクトを取るような、強いネットワークによって転職情報がもたらされるのではなく、あまり接点のない弱いネットワークからもたらされる傾向にあるということだ。

これは、強いネットワーク内であれば、相互に既知のものであることが多いからだ。
つまり、親しい、頻繁に顔をあわせる者同士は、それぞれのネットワークが相互に重複している傾向にあるからだ。

反して、弱いネットワークからの情報であれば、未知の情報である可能性が高い。
そのため、貴重で重要な転職情報を入手しやすいのである。

これは、つまり、情報の広い伝播においては、弱いネットワーク(弱い紐帯・weak ties)が重要な役割を持っていることを示している。

弱いネットワークを重要視し、大切に扱うこと。
そう学んだ一冊。

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ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか マルコム グラッドウェル (著) #79

3月 5th, 2009 by blogown

『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターとして活躍中の著者、マルコム・グラッドウェルによる著作。世界的な大ベストセラー。

本書のタイトルである「ティッピング・ポイント」とは、あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと。

たとえば、それまで知られていなかった本が一躍ベストセラーになる現象などが、どのようなプロセスによって起こっているのかについて、また、犯罪率が著しく増減したりといった謎の多い現象を解明しようとしたのが本書。

本書では、爆発的感染の3原則として、原則1:少数者の法則、原則2:粘りの要素、原則3:背景の力、という3つをあげている。

本書で最も印象的だったのは、やはり「少数者の法則」で書かれている、スタンリー・ミルグラムの実験に代表されるコネクター論の部分だ。

ミルグラムは、ネブラスカ州のオマハに住む160人の住所・氏名を電話帳から入手し、それぞれに手紙を郵送。その手紙には、マサチューセッツ州のボストンで株式仲買人として働き、シャロンに住んでいる人物の名前と住所が入っている。それを受け取った人はその手紙にさらに自分の氏名を記し、株式仲買人のより近くに住んでいる友人や知り合いに転送するように指示されている。

そしてミルグラムは、ほとんどの手紙が株式仲買人に届くまでに五段階か六段階経ていることを発見した。
この実験から、関係の六段階分離という概念が生まれた。

このことは、広く知られており、「Six degrees of separation」として有名だ。

本書で、もうひとつ注目すべき点が書かれており、それは以下のことだ。

わたしたちはほとんどの場合、それほど広範囲で多岐にわたる交友関係を持っているわけではない。ある心理学者のグループによる有名な調査研究によると、マンハッタン北部に建設された公営集合住宅「ダイクマン」の居住者に親しい友人の名前を挙げてもらったところ、その友人の八八%は同じビルに住み、さらにその半数が同じ階に住んでいるという結果が出ている。

つまり、ほとんどの人にとって、社会とは、少数の人(調査・研究によれば、小さな物理的空間を共有している人がほとんど)とのつながりでしかないということになる。短く言えば、範囲は狭く、限られた交友関係によって、その人の社会は構築されているわけだ。

しかし、その一方で、ミルグラムの実験を見るとわかるように、遠くの株式仲買人に手紙を届けるのに6段階程度しか、関係性のつながりを要しないという。なぜか。それは、「コネクター」が、個々の(ある種、孤立しかかっている)社会をつなげているからだ。

シャロンにある株式仲買人の自宅まで届いた二四の手紙のうち、一六の手紙は、ミルグラムがジャコブ氏と呼ぶ織物商の手で本人に渡されていることがわかった。

残りの手紙は株式仲買人の事務所に届いているが、その大半は、ミルグラムがブラウン氏およびジョーンズ氏と呼ぶ二人の人物を通じている。合計すると、株式仲買人の手元に届いた手紙の半分がこれら三人の人物の手で本人に届けられていたのである。

関係の六段階分離説は、すべての人が自分を除くすべての人とちょうど六段階でつながっていることを意味しているのではない。ごく少数の人がわずかな段階でその他すべての人とつながっていることを意味する。残る人々はこの特別な少数者を通じて世界とつながっているのである。

世界を束ねる特殊な才能を持っているこのような人々を、本書では媒介者(コネクター)と呼ぶ。

僕らの世界は、コネクターによってむすびつけられている。
世界の裏側について、思いをはせることのできる一冊。

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