Hot Pepperミラクル・ストーリー – リクルート式「楽しい事業」のつくり方」 平尾 勇司 (著) #100

6月 22nd, 2009 by blogown

本ブログもようやく100冊目になった。
100冊目は、それにふさわしいような名著である。

本書のタイトルには「ミラクル・ストーリー」とある。

これは「ホットペッパー」が4年で全国42版展開、売上約300億円、営業利益約100億円の事業となり、近年では500億円規模となったことを指しているのだろう。

ぼくにとっては、売上約300億円・営業利益約100億円の高収益モンスタービジネスについての、この種の企業秘密的な戦略情報、ビジネスシステムについて率直に書かれた本を、たった1,575円で手に入れることができることが「ミラクル」だと思う。

このモンスタービジネスは、何によって生み出されたのか。

ぼくが見るところ、それは「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」「高度なパターン化・システム化」「高い組織運営能力」によって生み出されたのだろう。

大きな、そして、鋭く研ぎ澄まされたシナリオは、迅速な拡張をもたらすように設計されており、高度なパターン化・システム化によって、労働力の迅速な戦力化を促し、高い組織運営能力がそれらを束ねる、という構図である。

まず、「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」について見ていこう。

『「まずは飲食コンテンツに集中する
半径2キロのコア商圏でNTTデータの飲食件数のうち15%を獲得すれば、読者のマインドシェアを獲得できて、流通段階でみんなが自ら喜んで手にとって持ち帰るインフラができる

その流通インフラが確立できれば、一気に効果のある媒体になれる。
その後に美容室、キレイ、スクール、リラクゼーション、ショッピングなどのコンテンツに展開を拡大する。
そして、街の生活情報誌になる。そのために、半径2キロにある街の飲食コア商圏内の飲食店へ、特に居酒屋へ営業に行く。
1/9スペースを3回連続で受注する。
1人1日20件の訪問を実行する」

これが『ホットペッパー』の勝つシナリオだった。』

「ホットペッパー」の勝つシナリオ、それは「研ぎ澄まされたシナリオ」であると同時に、容易にイメージしやすい、「これからどのようにすればいいのか?」という関係者全員の疑問に答えることのできる、シナリオである。

そして、「ホットペッパー」という高収益モンスタービジネスの根本であり、事業モデルであり、事業戦略であり、成功の秘密のひとつである。
つまり、「ホットペッパー」という高収益モンスタービジネスの基本レシピこそが、このシナリオなのである。

このシナリオは実に驚嘆に値する。
地域密着によるエリア支配、コア商圏におけるシェアの拡大、流通インフラの確立、拡張性の方向性とエレガントなまでに美しい。

ぼくは、この『「ホットペッパー」の勝つシナリオ』を見たとき、思った。
「ぼくも、こんなエレガントなシナリオを描いてみたいものだ」

もちろん、シナリオが美しいだけでは不十分である。それは、そのシナリオを実現するために行動しなければならないからだ。
その行動段階に組み込まれた仕組みが「高度なパターン化・システム化」である。

「ホットペッパー」は、組織構成として1,500名によって構成されているそうだが、その85%は非正社員だという。
また、創刊当初から、業務委託と契約社員(3年の契約社員)とアルバイトによって創られたという。

非正社員がほとんどの組織で、十分なトレーニングに基づくスキルを要する仕事をこなす、ということは非常に難しい。

にもかかわらず、そのような組織であった「ホットペッパー」がなぜ、ハイスピードの拡大を達成できたのか。

その答えのひとつが
「高度なパターン化・システム化」だ。

『後の営業戦略の中核となる「コア商圏・飲食・居酒屋・1/9・3回連続受注・20件訪問・インデックス営業」というコンセプトが生まれ、それを「念仏」と呼んだ。

「人通りが多く飲食店が集積する中心地を営業活動のコア商圏として設定し、飲食店のなかでも居酒屋にフォーカスして訪問する。情報量を確保できる1/9スペースを3ヵ月連続=3回連続セットで受注する。そのために一日20件を必ず営業訪問する」

一人ひとりがその念仏を唱え、自分の行動がその行動基準から外れていないかを毎日のなかで確認できる、それが「念仏」だった。
成功のコンセプトを日々の具体的な行動に落とし込むことが、もっとも大切なことだ。』

まずは、行動プロセスのパターン化・システム化である。
この「念仏」もまた、シナリオと同様に美しい。

非正社員であれ、この「念仏」を唱えているだけで、自分の行動がシステムに沿っているのか、そうでないのかを判断できるからだ。
「念仏」そのものも、非常にシンプルに営業戦略がまとめられており、非正社員が迅速に戦力化され、ハイスピードの拡大を達成できた背景が見える。

この「高度なパターン化・システム化」は、営業戦略のみならず、よりミクロの営業現場での対処でさえ、徹底されている。

実はニーズは多様化していない。
『ホットペッパー』でも当初、顧客ニーズが多様化しているのに、それを型にはめるのは危険だという反対意見が出た。
型にはめることは個人の個性や成長を阻害するという反対意見も出た。
しかし、顧客ニーズを整理して絞り込むと、
団体をとりたい
回転率をあげたい
客層を変えたい
顧客単価をあげたい

せいぜいそんなものだった。

それら各々の課題を解決できた原稿パターンやクーポン内容パターン、それらの課題を解決できる商品設計や流通設計やプロモーション計画をまとめたツールパターンを用意した。
そのツールパターンを使った5分間の営業トークの完全シナリオをつくり、それを新規営業の「型」として完全に暗記して繰り返し、繰り返し徹底的に訓練した』

最初に顧客ニーズの分析によって、ニーズが多様化しておらず、実際には、『団体をとりたい・回転率をあげたい・客層を変えたい・顧客単価をあげたい』というニーズくらいであることを明らかにした。

次に、それぞれの課題に対応するアプローチをパターン化し、ツールパターンを用意。それらを「型」としてトレーニングする。

このような仕組みがあるからこそ、非正社員をインスタントに戦力化することが可能になるのである。

思わずうなってしまう。

最後の「組織運営」については、今のところ興味があまりないので、本書を読んでいただくとして、『フラット、業績把握、モチベーションを高める仕組み、評価システム』とスキのないつくりとなっている。

ぼくは本書を読み終えたとき、思った。

「ホットペッパー」が4年で売上約300億円、営業利益約100億円の事業となり、近年では500億円規模となったことは決して「ミラクル」ではないのだ、と。

思わず、美しいと言ってしまうほどの「研ぎ澄まされたシナリオ・ビジョン・ルート」と「高度なパターン化・システム化」、「高い組織運営能力」があるからこそ、そうなったのだ。

つまり、合理的に築き上げられたものであり、「なるべくしてなった」のだ。

ぼくは、別にこの読書感想文を書くことにお金をもらってはいない。

だが、ビジネスに関わる人であれば、本書に1,575円分以上の価値を見出すことは間違いないと思っている。

だからこそ、ぼくは1,575円の本書を押し売りしよう。

Hot Pepperミラクル・ストーリー – リクルート式「楽しい事業」のつくり方」 平尾 勇司 (著) #100 You can buy this book on amazon.

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「社長」になりたい君へ―起業家を志す人への応援歌 西川 清 (著) #85

4月 2nd, 2009 by blogown

時間貸し駐車場「タイムズ」で有名な東証1部上場企業で駐車場運営・管理の最大手のパーク24株式会社・創業者である著者西川清氏が、自身のサラリーマン時代のエピソード、起業家としてのエピソード、経営法やビジネス成功のノウハウについて語ったのが本書。

本書は、西川清氏の人生や思い、ノウハウ、行動原理がつまっており、非常に興味深かった。
個人的に、特に印象的だったのは、4点。

ビジネスは創造力と企画力が勝負である。
創造力と企画力がない社員は出世しない。
創造力と企画力がない経営者は、経営者として失格である。

創造力と企画力。
ビジネスは、誰かに「こういうことをしろ」と言われるわけではない。
自分で、勝手に、誰に言われたわけでもないことをしなければならない。

そのため、必然的に、創造力と企画力が必要とされるわけだ。
実際に、このように言葉で見ると、必要性がひしひしと伝わり、何かを生み出さねばならないと感じてくる。

会社を大きくしたいという意識もあり、常に危機感を持って経営している。
それでも会社を大きくできない経営者がいる。

これは前述したように、市場性を見極める能力がないからである。
扱っている市場性、マーケットの大きさ、公共性や社会性があるかないかといった要素により、大きな展開ができるかどうかの差が生じるのだ。

常に市場性を見極めながら会社を経営していかないと、力を伸ばすことはできない。
しかし、会社を設立した当初からこういったことが全て分かるかといえば、そんなことはない。
わたし自身、最初からこのようなことが、全て分かっていたわけではない。

これもまた、非常に有益なことを学んだ。
ビジネスの規模、会社を大きくするために重要なことのひとつが、市場性だというわけだ。
扱っている商品の市場性、マーケットの大きさ、公共性や社会性が重要な要素となり、大きさを左右するという。

たしかに、経営者個人の能力が格段に違うわけではないのに、事業規模の大きな会社と小さな会社があるが、これらは、種々の要因、特に、商品の市場性が大きな影響を与えているように思えることも多い。

●五つの経営方針
ニシカワ商会を設立した当時から、会社の経営方針としていたことが三つある。近年それに二つを加えた五つをパーク24の経営方針としている。

一. 在庫は持たない
二. 流行性のある商品は扱わない
三. 腐るものはやらない
四. 外部要因に影響されない会社経営をする
五. 政府の方針によって左右されるような経営体制をとらない

資金力のない弱小企業が、在庫を抱えるというのは、爆弾を抱えているのと同じ感覚がある。
同様に、一時的な流行商品や、新鮮さを売り物にする商品に手を出すことも不安定な要素が多い。

何かビジネスをする際には、とても参考になる情報。
つまりは、西川清氏のリスクマネジメントである。

在庫を持たない。
これによって、資金の固定を防ぎ、余計なキャッシュアウトを防ぐ。

西川氏の表現「爆弾を抱えているのと同じ」は、特に印象的だ。
流行性のある商品、腐る商品も、同じような意味で、すぐに売れなくなるもの、時間が経つと売れなくなってしまうものであるから、「爆弾を抱えているのと同じ」である。

お金をみすみす失ってしまう可能性が高くなってしまうからだ。
たとえば、不良在庫をたくさん抱えて、倒産してしまうケースは、これらのリスクをとっていたのが原因といえる。

頭の中でアレコレ考えた結果、あきらめていることでも、いざ実行してみると、意外なほど簡単にできてしまうものが、世の中にはたくさんあるはずだ。

人間の能力には、たいした差はない。
アクションを起こせるか起こせないかでその人間の能力が決まる。
行動しない頭デッカチ(専門家)より、行動するバカ(素人)の方がいい。

行動することの重要性。
耳が痛い。

いざ実行してみると、意外なほど簡単にできてしまうことも多い。
行動をすべきである、と。

そのとおりだと思う。
行動しよう。

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一倉定の経営心得 一倉 定 (著) #62

10月 24th, 2008 by admin


事業経営の成否は、社長次第で決まるという信念から、社長だけを対象に大中小5000余社を情熱的に指導した異色の経営コンサルタントである著者、一倉定氏が、「社長は何をなすべきか」を明示した一倉社長学の要諦104項と著者の解説を併せて書いたものが本書。

書き方的には、神田昌典氏の「仕事のヒント」と類似(というか、こちらが先だと思うが)。

「一倉定の経営心得」目次

─事業活動の本質(14項目)─
─最高責任者としてのあり方(25項目)─
─事業と販売(17項目)─
─経営の数字(17項目)─
─未来事業(15項目)─
─組織と人(16項目)─

全体的に言えば、一倉定氏のエッセンスをまとめたもの、といったところだろう。
個人的に印象的だったのは、「会社の支配者」、「理想的な経営構造」、「景気下降期の対策」の三点だ。

会社の真の支配者は、お客様である。

会社というものは、その会社の商品がお客様に売れて、はじめて経営が成り立つという、何とも当たり前のことを、私は絶えず叫び続けている。というのは、お客様を無視し、無視しないまでも第二義的にしか考えない、という会社が世の中に多すぎるからである。

この文章が書かれたのは、実際上はかなり昔のことだろう。
しかし、一向に色褪せていない。

時代が変わっても、世の中は変わっていないのだと気付かされる。と同時に、一倉定氏の主張する、「会社の真の支配者は、お客様である」という言葉をきちんと受け止めて行動しなければならないのだと感じた。

理想的な経営構造

理想的な経営構造は、「工場を持たないメーカー」である。
(中略)
設備は止むを得ないもののほかは一切もたずに、自らは強い営業力と優れた事業開発力をかねそなえた「頭脳集団による経営」こそ賢明である。

この記述には、本当に驚かされた。
先ほども述べたように、この文章が書かれたのは、かなり昔。

にもかかわらず、このような主張をしていたとは、一倉定氏が慧眼を持っていたということを表していよう。

現在では、「ファブレス企業」などと言って、自社工場を持たず、営業力、事業開発力だけでビジネスをしている企業が出てきている。たとえば、コンピュータのデルやスポーツ用品のナイキなどがそうだ。

これらのコンセプトをかなりの昔から提唱していたことに驚かされた。

景気下降期の対策

景気下降期に入った時、まず手をうたなければならないのは、資金対策である。売上が下がってゆくのに、売上の多い時に振り出した手形を落としてゆかなければならないからである。

まず、売掛金の回収をいそぐ。資財は当用買だ。不急の支出は一切止める。新規設備投資は無論のこと、現在進行中の設備投資でも、中止できるものは中止し、中止できないまでも延期するか、ピッチを落とす。

場合によっては、新入社員や欠員補充の削減、中止、延期が必要かも知れないのだ。その上さらに、いち早く銀行にかけ合って、借金またはその約束をとりつけるのである。

最後は、景気下降期の対策についてだ。
アメリカの住宅バブルを端に発した景気後退の局面が訪れようとしている現在、このアドバイスは、非常に有益だろう。

たしかに、現金商売だったり、設備投資があまり必要でない産業であれば、乗り切れやすいだろうが、それなりに設備投資があったり、キャッシュフローがあまり潤沢でない産業であれば、重要なアドバイスといえる。

時代を経ても、なお劣化していない著者の主張。
それは、基本であり、原理原則であるからこそ、なのだろう。

62冊目

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仕事のヒント 神田 昌典 (著) #60

10月 10th, 2008 by admin

『あなたの会社が90日で儲かる!』などの著書で有名なベストセラー作家、神田昌典氏が、ビジネスや仕事のヒントとなる言葉を150コまとめたのが本書。

仕事のヒント 目次・アマゾン

第1章 モノを売るヒント(お客様の声の効用
歩行者天国でわかること
説得しない営業 ほか)
第2章 経営のヒント(自分はどこにいる?
ビジネスは掛け算だ
実績とは ほか)
第3章 生き抜くヒント(あなたの義務
あなたのライバル
価値観は変わった。行動は? ほか)

本書は、大きく3つの章に分かれており、それぞれ「モノを売るヒント(セールス・マーケティングについて)」、「経営のヒント(ビジネスの成功について)」、「生き抜くヒント(人生について)」となっている。

僕が特に印象的だったのは、次の項目。

【売れる仕組みを築くには】
集客商品を間違えると、儲かる仕組みは築けない。

集客のための商品(フロントエンド商品)と、利益を出すための商品(バックエンド商品)を区別しよう。
利益を出す商品は売りにくく、数が出ないことが多い。
その結果、「お客がいない、いない」と悩んでいるうちに、経営が立ち行かなくなってしまう。
努力しなくても売れる商品を集客商品として、まずはお客を集めよう。
集まったお客にきちんと満足を与え、信頼関係を築いた後には、利益が出る商品は簡単に売れていく。

基本的なマーケティング手法だが、基本だからこそ、重要だと感じた。

たいていの場合、利益がたくさん出て儲かる商品、つまり、バックエンド商品は売りづらい。
なので、数も出ないし、神田昌典氏の言う「お客がいない、いない」という表現は正鵠を射ている。

しかし、バックエンド商品が売れないことには、会社があんまり儲からないというのも事実。

では、どうすれば?

ということで、集客商品、つまり、フロントエンド商品を売れ、というわけだ。

お客を集め、信頼関係を築き、バックエンド商品を売る。
セオリーかもしれないが、非常に重要なのだと感じた。

ビジネスの際は、気を付けたい。

タイトル通り、ビジネス・仕事のヒントが見つかる一冊。

60冊目

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