
7月 15th, 2010 by

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スモールビジネス紹介センター代表取締役。元「旗篭家」オーナー。大学中退後、22歳で父親の経営する飲食店に入社。25歳で経営を託され、6年で同社を赤字状態から20店舗・年商20億円の外食チェーンに育て上げ、優良企業のうちに事業売却。
その後、FUTURE CONNECT株式会社(現・株式会社スモールビジネス紹介センター)を設立し、代表に就任。執筆やコンサルティングを手がける。
現在は「横浜桜木町日の出らーめん」「やきとん大黒(大国)」「宅配とんかつ専門店ぶたみち」のフランチャイズ展開に尽力中という著者、鬼頭宏昌氏が、店舗のデザイン、繁盛店作りの法則、経営の原理原則、成功軌道に乗るための方法等、大きな利益をもたらした、本物のノウハウを厳選して掲載したものが本書。
本書の特徴をまとめると、「飲食ビジネスの構造が、客観的に分析されている」。
著者の鬼頭宏昌氏は、非常に分析的な思考をされる方のように感じます。
それは、「儲かる」という言葉の数字的根拠が「投資収益率(ROI)」にあるのだと断言していることからもうかがえます。
飲食ビジネスでの成功パターンは、「1店舗ごとの採算性を確保した上で、1店舗の年商を1億円と仮定して30店舗を出店したから30億円の企業になる」というものです。
つまり、店舗として収益の上がる業態を開発し、適切な立地を見つけ、店舗開発を継続してし続けることにあるというわけです。
また、本書では、非常に実践的で有益な内容が書かれているのですが、特に印象的だったのは、個人店経営が大手に勝つ方法です。
鬼頭宏昌氏の持論だそうですが、個人店経営の場合、人件費は基本的に自分たちの給与が中心となり、FLコスト(食材費と人件費のコスト)の配分はチェーン店に比べてはるかに自由度が高くなる。
だからこそ、個人店経営で初期投資を大きく抑えて出店した際は、思い切って原価率をかけることが勧められる。
資本力ある大手がお金をかけて立派な店をつくり、熟練した店長や店員を配置した大型飲食店をつくったとすれば、同じコスト構造で戦うのは無理。
であれば、料理のコストパフォーマンスで勝負するのが王道とのこと。
ケースとして、鬼頭宏昌氏の知人がレストラン経営をしていて、客単価4000円で原価率30%のメニューを、客単価8000円で原価率50%のメニューに変更して大成功した人がいるとのこと。
つまり、食料原価を高め、「おいしい」「高質な」料理を提供することで、顧客満足度を高めるというわけです。
単純に大手企業が攻めているからといって、戦えないわけではない。
たしかに、真っ向勝負を仕掛ければ、大敗を喫してしまうだろう。
しかし、コスト面での強みを生かしたり、自由度を効かせることで、大手企業にはできないことをする。
そうすることで、個人店でも勝てる。
色々な戦略のバリエーションを考えさせられます。
良書。
小さな飲食店 成功のバイブル―赤字会社から年商20億円企業までの軌跡 鬼頭 宏昌 (著) #146
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5月 26th, 2010 by

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本書は要約して言えば、森ビル・森トラストという大企業を生み出した森泰吉郎氏と、その子供である森稔氏・森章氏にフォーカスを当てながら、森ビルと森トラストの経営についてレポートした内容。
印象的だった点は2点。
まず、創業者である森泰吉郎氏も、ビジネスする地域をフォーカスしていた点(地域戦略)。
森泰吉郎氏は港区への集中投資にこだわっていた。
「この港区が集中して開発するに足る立派な所だから開発するという考えだ。(中略)そして終戦後は港区の虎ノ門に移ったといえるのではないか。(中略)立派な場所が他にあるならば、そこを一点集中主義的な方法で開発すればいいことであり、私の場合はたまたま故郷である港区が、開発の対象先になったということだけ」
(中略)
港区で「森です」といえば、「ああ、どうも」とすぐに反応してもらえるような信頼関係も築き上げてきた。見知らぬ土地で底地買いをするよりはるかに港区は泰吉郎にとって効率的だった。
もう一点は、森稔氏がビジネスをする上での迷いを晴らしたところの部分だ。
「自分を納得させるためのいい訳だった。悩んだ末にたどり着いたのは、企業には三つの目的があり、それが三位一体だということだった。
まず、企業は利益を上げる。
ただし、最大利潤の追求が自己目的化してはいけない。
利益はあくまで能力開発。
では、何のための能力開発か。
それはよい商品をつくりだす。
不動産デベロッパーの場合は、よいビルを建て、美しい街並み、空間をつくるためのものでなければならない。このプロセスのなかに企業の存在価値がある。そう納得してからは迷いが晴れ、経営にまい進できるようになった」
単純に、利益を上げ、最大利潤を追求することが是であるというのが、現在の自由市場主義的な発想だろう。
しかし、その結果として、労働者階級やそれに準ずる層からの搾取によって、それが実現されてしまう。現状の、とりわけアメリカの行き過ぎた資本主義は、それが現実であることを物語っている。
しかし、本来的に、ビジネスは、森稔氏が述べるような存在価値、社会に対しての存在価値を示さなければならないのだ。
つまり、企業は利益を上げ、その利益を以って、よい商品、社会にとってさらなる価値あるものを開発し、社会に提供するということだ。
そうであれば、その企業の成長や存在が大きくなればなるほど、社会にとって、より好ましいものとなる。
ビジネスをしていく上で、心に留めておきたい考え方だと思う。
企業は利益を上げる。その利益を以って、よりよい商品を生み出す能力開発を行う。そして、よりよい商品を社会に提供し、また利益を上げる。
森ビル・森トラスト 連戦連勝の経営 小沼 啓二 (著) #136 You can buy this book on amazon.
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3月 6th, 2010 by

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ニューコア – Nucor Corporation。
ニューコアはすごい。
ニューコアのすごさは、たしかにインテグレーテッド・ミル(高炉)ではなく、ミニミル(電炉)を活用している点や、薄スラブ連続鋳造技術の導入といったテクノロジーが背景にあるのかもしれない。
しかし、それと同時に、従業員と経営陣との関係、経営姿勢がすごい。
その経営姿勢が、自らが大企業にもかかわらず、常識を常に疑う姿勢を保てている要因なのだと感じた。
では、その「経営姿勢」とはどのようなものなのか。
それをちょっと見ていきたい。
端的にそれを示しているのが、明確な原則である。
ニューコアでは、従業員と経営者の関係は次の四つの明確な原則の上に成り立っている。
(1)従業員がその生産性に応じて報酬を受ける機会を持てるように会社を経営することは、経営者の義務である。
(2)今日の職務を適切に果たしさえすれば明日もまた自分に仕事があることを、従業員は確信できなくてはならない。
(3)公平な処遇を受けることは従業員の権利であり、従業員は自分が公平な処遇を受けるであろうことを確信できなくてはならない。
(4)処遇が公平でないと思う従業員には、改善を申し出る何らかの方法が与えられなければならない。
このような原則、ある意味、当たり前のように感じるが、たいていはできていないようなことが実際に原則として提示されてあることは意義深い。
では、実際にどのように運営されているのか、その前に、著者・ケン・アイバーソン氏の主張を聞いてから見ていきたい。
人がやる気を起こす理由は、煎じ詰めれば次の三つの理由による。
(1)平均以上の収入を得るチャンスがある。
(2)雇用が保証されている。
(3)昇進のチャンスがある。
給料がよくて、クビになる心配がなく、昇進の見込みがあるのでなければ、そのほかのことはたいして意味を持たない。
それでは、実際にニューコアでの運用を見ていこう。
・ニューコアの生産労働者の基本給は業界平均より低い。
それは、基本給をはるかに上回る週間ボーナスを稼いでおり、低いときで基本給の100%、高いときは200%超だという。
現場勤めの典型的な従業員は、時間当たり8-9ドルの基本給に加えて、出来高払いのボーナスを時間当たり16ドル以上受け取ることもあるということ。
ニューコアの工場労働者の1996年の平均年収は6万ドルを超えた。これは業界最高水準。
・週間ボーナスを得るために必要なことは、1.チームで働き、2.生産すること。
1チーム、20-40人。チームに対して、生産基準量が設定されている。
その基準を超えた生産量に対し、ボーナスが支給される。
・生産部門以外の従業員にもボーナス支給基準がある。
エンジニア、秘書、事務職員、受付係など、非現業社員たちにも独自のボーナス支給基準がある。
これはそれぞれの事業所の総資産利益率に基づいて算出されている。
これによって彼らは仕事の能率を上げ、顧客との関係を強化し、生産労働者の助けになることなだったら何でもするように動機付けられる。
根底にある思想について、こう述べられている。
「われわれは製品に含まれる人件費が問題だと考えています。競合他社の二倍の給料を払ったとしても、社員がやる気を出して、よその三倍の生産を上げるなら、わが社の製品は相対的に安くなる計算じゃありませんか」
1996年、ニューコアの人件費(付帯給付を含む)は、鋼材1トン当たり40ドルをきった。大手鉄鋼会社のおよそ半分だ。
鉄鋼会社としては、ローコスト、ロープライスの製品を販売しているポジションのニューコア。
たしかに、製品コストは、ローコストなのだが、従業員の給料は業界最高水準。
そのギャップは、やる気を引き出すための報酬体系、インセンティブによって形成されているのだ。
総じて感じることは公平さ、フェアである、ということだ。
フェアな環境づくり、重要である。
真実が人を動かす―ニューコアのシンプル・マネジメント ケン アイバーソン (著) #133 You can buy this book on amazon.
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11月 30th, 2009 by

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本書はアダム・スミスの書いた本だが、かといって、「見えざる手」や『国富論』のあのアダム・スミスではない。
ワイリー(アメリカの出版社)から新しいエディションが出ているようだが(下記写真)、とりあえず、僕の持っている本書は、RANDOM HOUSE NEW YORK(これもアメリカの出版社)から出版されたハードカバーの本で、なんと1972年に出たものだ。

まあ、本書は金融関係の本で、市場についてとか、ベンジャミン・グレアムについてなど、色々と投資関係のお話が出てくるわけだが、本書で特筆すべきなのは、そこではない。
本書の重要な価値は、無名時代のウォーレン・バフェット(僕の敬愛する)とのエピソードがあるという点である。
とりわけ印象的だったのは、居住地選びの点(よくウォーレン・バフェットが語っているところであるが)。
『ニューヨークでも、ロサンゼルスでも、どこでも3時間くらいで行ける。そうして都市を訪れれば、楽しみたいことはすべて楽しむことができる。僕は、たぶん、ここよりも、ニューヨークとカリフォルニアのほうが、友人が多いと思う。けれども、ここは子供たちを育てるにはいい場所だし、住むにもいい場所だ。そして、考えごとをするには、とってもいい場所なんだ』
住む場所は重要だ。
仕事も変われば、環境も変わる。
出会う人も変われば、できることも変わる。
ウォーレン・バフェットは、そういう重要な選択を上記の基準で選んだというわけだ。
バリバリ仕事をする人、市場との近接性が重要な人にとっては、異なる選択肢だろう。
しかし、彼にとっては、彼のベストプレースこそがネブラスカ州オマハだったということだ。
自分自身がどのような選択をするのかはさておいて、偉大なるウォーレン・バフェットの判断基準は参考になる。
もうひとつの点は、バフェットらしいエピソード。
おそらくは、ネブラスカ・ファニチャーマートのことだと思うのだが、話はベタボメするところから始まる。
『(翻訳すると・・・)
オマハの通りを車で走っていると大きな家具店を通り過ぎた。
ウォーレンは言った「あの店を見た?」
「あれは、本当に素晴らしいビジネスだよ。だって、a平方フィートの床面積で、年間販売数量がb。でも、在庫はたったのcだけなんだ。つまり、資本回転率はdなんだよ。」(アダム・スミスは、つまりは、数字を覚えていないわけだ。。。)
アダム・スミスは言った。”Why don’t you buy it?(何で買わないの?)”
ウォーレンは言った。「非公開企業なんだよ」
アダム・スミスは言った。「おぉ。それは、、、」
ウォーレンは言った。
「とにかく、買うよ・・・」
「いつの日にかね」』
もし、それがネブラスカ・ファニチャーマートだとすれば、ウォーレン・バフェットは、その言葉をまさに実行に移したことになる。
なんというか、、、ウォーレン・バフェットっぽいエピソードで、大好きだ。
そんな話が書いてある本。
Supermoney Adam Smith (著)(洋書) #121 You can buy this book on amazon.
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